高圧・特別高圧・低圧電力契約の違いは?料金プランの仕組みや特徴を解説!

高圧・特別高圧・低圧電力契約の違い
目次

電気の高圧契約とは?契約区分の違いを解説!

私たちは日々、当然のように電気を使っていますが、電力会社との契約内容をしっかり理解した上で電気を使っている人は多くはないと思います。

電気の契約には「低圧」「高圧」「特別高圧」といった3段階で電圧の種類が分けられており、契約区分では以下の通りになります。

・低圧契約:50kW未満(一般家庭や商店など)
・高圧契約:50kW以上(企業や中小工場など)
・特別高圧契約:受電電圧20,000V以上、かつ契約が2,000kW以上(大工場や鉄道会社など)

ここからは、電圧の違いやその使い分けについて詳しく解説していきます。

電力の契約区分① 特別高圧契約

特別高圧とは?

特別高圧とは、供給される電圧が直流・交流ともに7,000Vを超えるもののことです。
大規模な電力が必要となる「工場」や「大型商業施設」などで利用されます。 特別高圧を利用したい場合、電力会社から特別高圧用の送電線を直接工場などに引き込む仕組みとなっています。

大量の電気が必要な場合、電流を流すのには非常に大きな高圧が必要となります。
そのため、工場や商業施設などの施設内に直接送電線を変電所から引き込み電流を流す必要があ流のです。

各需要家内の変電設備の維持のためには電気主任技術者を配置しなければなりませんし、送電線を引き込むには鉄塔などの支えも必要になってきます。

つまり、特別高圧を利用するためには大規模な設備や多くの人材が関わる必要が出てくるということです。

電力の契約区分② 高圧契約

高圧とは、直流で750V~7,000V・交流で600V~7,000Vの電圧で供給されます。

「中低層ビル」や「マンション」「スーパー」などで利用されます。 高圧電力を利用する場合、柱上変圧器(トランス)の手前で6600Vまで電圧が下げられ、この電力をキュービクルという自家用の変圧設備を利用して電圧を100Vまたは200Vに下げて使うという仕組みとなっています。

契約している電力の電圧が低圧か高圧かを見分ける簡単な方法として、この「キュービクル」の有無によって確認することができます。キュービクルがあれば高圧で、無ければ低圧ということです。その他にも電気料金の明細や請求書を見ればわかりますが、電力会社によっては「高圧」という言葉を使わないプラン名になっている可能性もあります。

電力の契約区分③ 低圧契約

低圧とは50KW未満の契約で、電圧が電柱に設置されている柱上変圧器(トランス)で100Vと200Vに変圧されて需要家に届けられます。「個人商店」や「クリニック」などの事業所から「一般家庭」までが契約しています。

そもそも電力は、発電所で作られてから変電所を経由して送電線によって送られています。作られた時点で数千V〜約2万Vの電圧が、効率よく送電するために変電所で変電され送電されています。

送られた電力は、各地にある変電所で電圧を下げられ、まず大工場や鉄道会社に送られ、次に企業や中小工場に送られます。そして最後に電柱の上の柱状変圧器(トランス)によって100Vまたは200Vに電圧を下げられた電力が各家庭に配電されます。

100Vの電圧が「従量電灯」、200Vの電圧が「低圧電力」という契約種別に分かれていて、一般家庭では100Vの契約のみで、空調や冷蔵庫などの設備が多い需要家では200Vの契約を加えているケースが多くなっています。

高圧契約の電力料金|どんな仕組みで計算されるの?

高圧契約の料金の計算方法は?

ここでは高圧電力での電気代の計算方法を解説していきます。

高圧契約の計算方法は次のようになります。

電気料金=基本料金電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)+燃料費調整額

電気料金の計算式の中で重要になってくるのは「基本料金」と「電力量料金」です。この2つの料金について詳しく解説していきます。

高圧の「基本料金」はどうやって決まるの?

基本料金の数値は、利用できる電力の上限である「契約電力」の高さに比例します。その計算方法は、次のようになります。

基本料金=契約電力×基本料金単価×力率割引(1.85-力率/100)

この基本料金について深掘りしようと思います。

「契約電力」とは?

電力会社との契約上、使用できる最大電力のことで、算出方法は契約電力の水準によって異なります。
契約電力が500kW未満の「高圧小口」の場合は、直近12か月の最大使用電力量で決まる「実量制」。500kW以上の「高圧大口」「特別高圧電力」では、電力会社との協議で決まる「協議制」になります。

実量制の場合、契約電力は、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうちで最も大きい値となります。 ただし、電気使用開始から1年間の各月の契約電力は、電気使用開始月からその月までの最大需要電力のうち最も大きい値となります。

「最大需要電力」とは?

需要家の30分毎の平均使用電力のうち、月間で最も大きい値を最大需要電力といいます。この値は、同時にお使いになる負荷設備が多いほど、大きくなります。

協議性の場合、使用する負荷設備および受電設備の内容、同一業種の負荷率等を基準として、契約電力は、需要家と電力会社との協議により決定しています。

「基本料金単価」とは?

契約電力1KWごとにかかる単価のことです。
電力会社の契約メニューによって異なっていて、1,200円〜2,000円で設定している電力会社が多くなっています。

「力率」とは?

力率とは、電源から需要家に届けられた電力の内、実際に消費された電力(有効電力)の割合のことです。需要家に届けられたのに消費されなかった電力というものがあり、「無効電力」と呼ばれるこのような電力は、消費されることなく電源と設備の間を行き来しています。

電力会社からすると、電源から送り出したに消費されなかった電力(無効電力)は需要家に請求できないため、実際に消費される有効電力の割合(力率)が高い方が望ましいということになります。

そのため、力率が一定以上の需要家には、「力率割引」という形で基本料金を割り引く仕組みが取られていて、反対に力率が一定水準以下の需要家には、「力率割増し」として基本料金を割り増しにしています。

割引と割増しの境目になる力率割引の標準は0.85(85%)で、力率は毎月の電気代の明細書に記載されているので、一度確認してみることを推奨します。力率の改善が必要な場合は、有効電力を調整できるコンデンサを設置するという方法もありますので検討してみましょう。

高圧の「電力量料金(従量料金)」はどうやって決まるの?季節区分って何?

電気をどんなにたくさん使った月でも逆に全く使わなかった月でも、使う量に関わらず発生する基本料金に対して、従量料金とは電気の使用量に応じて支払う料金のことです。計算式は以下の通りです。

電力量料金=使用量×従量料金単価

電気料金のプラン毎に1kWhあたりの従量料金単価が決められていて、高圧の場合 「夏季(7/1〜9/30)」の期間と「その他季(10/1〜翌年8/31)」の期間で一年を通じて二種類の単価が存在します。

電力プランによってそれぞれ異なりますが、高圧の中でも大口の契約になればなるほど従量単価は安い金額になる特徴があり、夏季の方がその他季よりも1円ほど高く設定されているケースが多いです。

高圧契約は2000年から自由化になっている

最初の電力小売自由化は、2000年3月に始まりました。

最初は、「特別高圧」区分の大規模製造業や大型デパート、オフィスやビルが電力会社を自由に選択することができるようになり、新規参入した新電力会社からも電気を購入することが可能になりました。

その後、2004年4月・ 2005年4月には、小売自由化の対象が「高圧」区分の中小規模工場や中小ビル、スーパーなどへと徐々に拡大していき、2016年4月1日からは、「低圧」区分の家庭や商店などにおいても電力会社が選べるようになり、今があります。

基本的な考え方は同じですが、細かい部分まで掘り下げると同じ電気を使っていても、契約の区分などによって料金体系が違ったり、普段自分たちが生活している電気が実はかなり高い電気料金で使ってしまっているなんてこともありますので、一度見直しの機会を作ってみるのがおすすめです。

電気代削減のための電力会社選びのコツは?

全国で600社以上が参入し、様々なプランが登場している電力自由化ですが、選択肢が増えたからこそ、何が良くて悪くてどの会社が安心して安くできるのか?ブラックボックス化してきている面は否めません。そこで、ここでは電力会社選びのポイントを解説していきます。

選び方① 電気料金の安さで判断する。

一番分かりやすい判断基準は料金がどれだけ安くできるかです。
特に「従量単価」と「基本料金単価」のどちらの方が自分たちの拠点で、より多くの電気を使用しているかを踏まえ、その特徴に合わせたプランを打ち出している電力会社の選定が必要になります。

600社以上の電力会社があるので、自分たちの知識だけで選ぶのは少々リスクが伴うかもしれません。比較ができるサイトや、電力の削減をプロとして行っている会社に見積もりをお願いするのも一つの手段です。

選び方② 地球環境に優しい電力会社なのか?で判断する。

電力会社によって、発電の方法が違います。環境にやさしい再生可能エネルギーを中心とした、エコな電気を購入できるプランも少なくありません。

「エコ」と言われると料金が高くなりそうイメージがありますが、大手電力会社より大幅に安い料金で環境負荷がより小さい電気を売っている新電力もしっかりあります。「環境」と「節約」を両立させることも可能です。

ちなみに、電気の「地産地消」を謳う会社もあります。地元で作った電気を地元で使えば、地域振興につながると期待されています。どの電力会社を選ぶかは消費者の手に委ねられているので、未来のことを考えた選択も可能となっているのです。

選び方③ 顧客対応の質で判断する。

これは意外な盲点かもしれませんが、非常に重要なことです。

申し込みや契約変更、契約内容の確認などで、電力会社に連絡をすることはあるかと思います。ただ、10分待っても20分待っても電話が繋がらない、なんてことになったら困りますよね。実際に「電話がなかなか繋がらない」新電力会社もあるので、顧客対応に関する口コミは要チェックです。

筆者が経験したところだと、メールの返信に2週間かかった新電力会社もあります。今は電力自由化が落ち着いているので、さすがにそこまで酷い会社は無いと思いますが、メールの返信に1週間かかるような会社も少なくありません。

また、問い合わせの電話がフリーダイヤルでなかったり、土日休みだったりするケースも多いですので、事前のチェック項目として挙げられるでしょう。

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