赤ダニは体調1mmほどで、全身赤い色をしたダニです。ただしダニといっても、人間や動物の血を吸うことはありません。
そのため人体に直接的な被害はありませんが、虫が嫌いな方にとって見ていて気持ちの良いものではないでしょう。
そこで本記事では、赤ダニの生態や発生原因、発生時期を詳しく解説します。そして赤ダニの生態に合わせた、自宅でできる駆除方法や発生予防のコツも紹介します。
赤ダニの駆除は通常のダニと比べて非常に簡単です。春先の赤ダニが気になった方は、ぜひ自分にとってやりやすい方法を選んで試してみてください。
赤ダニとは?ダニとの違いや発生原因・時期について解説
赤ダニは、ダニといっても人を刺すことはありません。一般的に言われるダニとは似て非なる種類のダニなのです。
ではここから、赤ダニとダニとの違いや発生原因、発生時期など、赤ダニの生態について見ていきましょう。
そもそも赤ダニとは?ダニとの違い
赤ダニの身体は幼虫で0.3mm、成虫で1mmほどであり、名前のとおり全身が赤い見た目が特徴です。
そもそも赤ダニとは「カベアナタカラダニ」と呼ばれるダニの一種であり、「真っ赤で、つぶすと赤い体液が出てくる虫」といえば、多くの方がご存知なのではないでしょうか。
布団や犬や猫によく付着している吸血性のダニとは異なり、赤ダニは人や動物の血を吸うことはありません。花粉や昆虫などを主な栄養源としているため、人間に直接的な被害はないのです。
赤ダニが発生する原因
これまで発見されている赤ダニはメス個体のみで、赤ダニはメスだけの単為生殖なのではないかと研究されています。そのため、大量発生するのは交尾のためではなく餌を求めて発生している可能性が高いです。
また赤ダニの苦情は1,980年代から特に増えているため、赤ダニは外来種のダニではないかとも考えられています。詳しい生体についてはまだ分かっていない部分も多い赤ダニですが、春先になると玄関先や外壁など、屋外で多く見られます。
赤ダニの発生時期
赤ダニの発生時期は主に4~5月ですが、3月中旬ころから見られる場合もあります。暖かくなると餌を求めて活発に動き出すほか、産卵場所を求めるため屋外では多くの赤ダニが見られます。
梅雨や夏の暑い時期になると成体の赤ダニはほとんど姿を消すのが一般的です。そのため、春先に赤ダニが大量発生していても、一年中被害に悩まされることはありません。
赤ダニが発生しやすい環境・場所
赤ダニは屋内よりも、屋外の外壁や玄関先で発生することが多いです。というのも、赤ダニはコンクリートに付着した花粉を好んで食べるからです。また、赤ダニはコンクリートのような乾燥した場所を好みます。
産卵においては、日の当たらず苔の生えたコンクリートのそばを好むため、家の裏手などでも発見されることがあります。このほか、野菜や洗濯物などに付着して家の中に侵入することも少なくありません。
赤ダニの駆除方法8選!屋内・屋外別に退治法を紹介
赤ダニは、人間に直接危害を加える昆虫ではありません。そのため刺される心配はありませんが、見ていて気持ちの良いものでもないでしょう。
そこでここからは、赤ダニの駆除方法8選を屋内・屋外別にご紹介していきます。
【屋外・ベランダ】赤ダニの駆除方法4選
まずは玄関や外壁、ベランダなど屋外で赤ダニを発見したときの駆除方法を見ていきましょう。赤ダニを駆除するにあたり、強力な殺虫剤を使ったり専門の駆除業者を呼ぶ必要はありません。
以下の方法で自分でも簡単に駆除できるため、ぜひ実践してみてください。
・壁やコンクリート部分を水で流す
・水で薄めた中性洗剤を吹きかける
・植物の手入れをする
・殺虫剤を散布する
駆除方法①壁やコンクリート部分を水で流す
1つめの方法は、壁やコンクリート部分を水で流す方法です。玄関やベランダなど、赤ダニのいる場所に水をまきましょう。
外壁を掃除できるような高圧洗浄機があるとベストですが、ホースやじょうろで流すだけでも効果的です。こうすることで赤ダニが流れていくだけでなく、赤ダニの餌となる花粉も掃除できるため効果的です。
駆除方法②水で薄めた中性洗剤を吹きかける
2つめの方法は、水で薄めた中性洗剤を吹きかける方法です。スプレーボトルに中性洗剤を3プッシュほど入れ、水を足して薄めましょう。
ボトルをよく振って混ぜたら、直接赤ダニに吹きかけます。すると赤ダニは呼吸ができずに窒息死します。動かなくなったのを確認したら、水で流しましょう。
水で流すと赤ダニを処理できるだけでなく、付着した中性洗剤も流せます。このほか、粘着テープで取ったり掃除機で吸う方法もおすすめです。
駆除方法③植物の手入れをする
屋外の植物に赤ダニが発生している場合、葉全体を水で流したり霧吹きするのがおすすめです。赤ダニは水や霧吹きで簡単に溺れて死んでしまいます。
植物に直接水をかけられない場合は、葉を塗れたぞうきんなどでふき取るだけでも効果的です。埃っぽい場所や日陰にある植物は赤ダニの卵がつきやすいため、葉の裏まで丁寧に拭くと良いでしょう。
駆除方法④殺虫剤を散布する
最後に試したい方法が、殺虫剤です。ただし殺虫剤を購入する場合は、市販の「ピレスロイド系殺虫剤」を選びましょう。
ゴキブリやハチ用の殺虫剤は、赤ダニに効果がない場合もあります。使い方は赤ダニに直接吹きかけるだけ。赤ダニが動かなくなったのを確認したら、水で流したり粘着テープを使ったりして掃除しましょう。
殺虫剤は商品によって非常に強い成分を含むので、使用する際は周囲に人がいないか、近隣のペットがいないかよく確認しましょう。
・赤ダニ駆除のおすすめ殺虫剤10選!予防対策できる人気アイテムも紹介!
【屋内・部屋】赤ダニの駆除方法4選
続いて屋内や部屋の中で赤ダニを発見したときの駆除方法をご紹介します。
赤ダニは基本的に屋外の乾燥した場所を好みますが、洗濯物や野菜、ペットなどさまざまなものに付着して家へ入ってきてしまうケースもあります。
放っておくと家の中で繁殖してしまうことも考えられるため、直接人体への害はないものの、見かけたら以下のような方法を用いて早めに駆除しましょう。
・掃除機で吸い込む
・粘着テープを使う
・専用の駆除剤を使用する
・ダニ用マットを敷く
駆除方法①掃除機で吸い込む
1つめの方法は、掃除機で吸いこむ方法です。赤ダニはつぶすと赤い体液が出て壁やカーペットを汚してしまう場合があります。
また、人によっては体液に触れると湿疹が出てしまう場合も。そのため、つぶさず掃除機で吸いこむのがもっとも簡単でおすすめです。
駆除方法②粘着テープを使う
2つめの方法は、粘着テープで赤ダニを捕まえる方法です。
高い場所に赤ダニを見つけた場合や、掃除機が届かない場所は粘着テープやガムテープで駆除すると良いでしょう。このときも赤ダニをつぶさないように注意しましょう。
ただしこの方法は赤ダニを粘着テープ越しに触る必要があるため、虫が苦手な方にはおすすめしません。
駆除方法③専用の駆除剤を使用する
赤ダニを近くで見たくない方は、専用の駆除剤を使うのもおすすめです。
このとき駆除剤は市販の「ピレスロイド系殺虫剤」や、ハダニに効果があると記載されているものを選びましょう。散布する際は十分に換気をして、商品の使用方法をよく守ったうえでお使いください。
赤ダニの死骸は掃除機で吸うか、粘着テープで回収しましょう。また赤ちゃんやペットがいるなどの事情で駆除剤を使用できない場合は、玄関や窓辺に散布しておくだけでも赤ダニの侵入を防げて効果的です。
・赤ダニ駆除のおすすめ殺虫剤10選!予防対策できる人気アイテムも紹介!
駆除方法④ダニ用マットを敷く
最後に試したい方法が、ダニ用マットを敷いておくことです。ダニ用マットとは、ダニを誘因して捕獲するマットのことで、ダニ版のゴキブリホイホイのようなものです。
基本的には家ダニ用として販売されていますが、赤ダニにも使えます。また捕まったダニが外から見えないようになっている商品もあるため、虫嫌いの方にもおすすめです。
赤ダニ発生の予防対策5選!
ここまで赤ダニの駆除方法をご紹介しましたが、上記の方法は繰り返し行う必要があります。
そこでここからは、赤ダニの発生そのものを予防するための方法を詳しく解説します。
赤ダニ予防法は、以下のとおりです。
・水を撒いて花粉や卵を洗い流す
・忌避剤を使用する
・壁やコンクリート部分に防水材を塗る
・スプレーでハッカ油を噴射する
・苔を除去する
予防対策①水を撒いて花粉や卵を洗い流す
最も簡単な方法は、外壁や玄関に水を撒く方法です。
赤ダニは主にコンクリートに付着した花粉を食べにやってきます。そのため、定期的に水を撒いて掃除をしておけば壁や床についた花粉を洗い流せて赤ダニが寄ってきにくい環境づくりができます。また、それだけではありません。
水で流すことで、赤ダニの卵も除去できて翌年の発生を予防できるのです。春は温かい日が多いため、家の掃除ついでに玄関や壁に水を撒いてみてはいかがでしょうか。
予防対策②忌避剤を使用する
2つめは忌避剤を使用する方法です。
忌避剤とは、駆除剤と異なり虫が近寄ってこないようにするためのものです。有名なものではアース製薬のダニ除けスプレーなどがあります。ほかにも、ダニの嫌う成分を含んだテープ方式の商品もあります。
何らかの事情でスプレーできない方は、玄関や網戸の近くなど赤ダニの侵入経路になる場所にこうした忌避テープを貼っておくのもおすすめです。
ただし商品ごとに効果の持続する期間は異なるため、商品に合わせてテープを交換したり、スプレーを散布し直したりして効果を持続させましょう。
予防対策③壁やコンクリート部分に防水剤を塗る
壁やコンクリートに防水材を塗るのもおすすめです。
特に赤ダニに効果的な防水剤は、「ウレタン防水材」です。赤ダニはウレタン防水材のように表面がツルツルした場所を嫌います。
こうした場所には産卵もしない傾向があるため、防水材の散布は赤ダニ予防に効果的なのです。また家そのものにとっても耐久性が高まります。
防水材はローラーで塗るタイプのものからスプレータイプ、シートタイプとさまざまです。ぜひ自宅に合ったやりやすい方法を選んで、試してみてください。
予防対策④スプレーでハッカ油を噴射する
ハッカ油を市販のスプレーボトルに詰め、玄関や窓辺に噴霧しておく方法もおすすめです。ハッカの香りはダニが嫌うとされており、ダニ除けに効果的を発揮します。
またダニ以外にもゴキブリやハチなどもハッカの香りを嫌うといわれているため、多くの虫よけになるでしょう。さらにハッカには防臭や防カビ効果もあります。
ただしハッカの香りが好きな「シバンムシ」など、かえって寄ってきやすくなる虫もいるため注意しましょう。
・赤ダニ駆除にはハッカ油スプレーが効果的?作り方や注意点、予防対策など解説!
予防対策⑤コケを除去する
赤ダニは天敵から身を隠す場所として、苔の生えた場所や日の当たらない場所を選びます。
そのため、家の裏手や日の当たらないところに生えている苔を除去する方法も赤ダニ予防に効果的です。赤ダニはコケに身を隠すだけでなく、苔の生えた場所を産卵床とするケースも少なくありません。
つまり、あからじめ苔を除去しておけば、赤ダニが家の周りで繁殖するのも防げます。苔を除去すると家の見栄えも美しくなるため、ぜひ試してみてください。
・外壁の苔(コケ)の取り方|コケができる原因や落とし方を紹介します!
赤ダニに健康被害はない?
赤ダニが人間やペットに攻撃してくることはありません。
そのため、吸血されてかゆくなったり痛みが出たりはしません。しかし赤ダニをつぶしたときに出る体液に触れると、人によっては湿疹やアレルギー反応が出る場合もあります。また、赤ダニは見つけても素手でつぶさないようにしましょう。
赤ダニは雑食性のため、植物の汁も栄養源としています。そのため観葉植物を育てている方やガーデニングしている方は注意が必要です。
赤ダニに栄養を吸われると、植物の葉に白い斑点ができて枯れてしまうことも。大切な植物を枯らさないためにも、赤ダニ駆除は重要です。
まとめ
赤ダニの生態や駆除方法について紹介しました。
赤ダニは人体に直接被害を加える害虫ではありませんが、体液からアレルギー反応を起こす場合もあります。見つけても直接触れず、掃除機やガムテープなどで駆除しましょう。
赤ダニが大量発生してしまった場合は、水をまいたり殺虫剤を使ったりするのが効果的です。また翌年も同じ赤ダニの発生を繰り返さないためには、予防も重要です。
定期的に外壁を掃除したり、防水材を使ったりなど、赤ダニを見なくて済むよう自宅に合わせてやりやすい方法をお試しください。防水材の塗布や苔取りなど、大規模な作業が必要になる場合は業者に依頼するのも1つの手です。