最近ではオール電化住宅の普及率が高まっているので、これから家を建てようと考えている方やオール電化住宅に引っ越しを考えている方の中にはオール電化住宅にしようか迷っている方もいるでしょう。
オール電化住宅は光熱費安いことで有名ですが、通常の住宅にはないデメリットもあるため必ずしもお得になるとは限りません。
そこでこちらの記事ではオール電化のメリット・デメリットを紹介するので、オール電化住宅の新築を検討している方はぜひ参考にしてください。
オール電化住宅とは?仕組みもわかりやすく解説します。
家庭で使用する調理・空調・給湯などの設備すべてを電気で稼働させる住宅を、オール電化住宅といいます。
一般的な住宅では給湯設備にガス湯沸かし器を使うところ、オール電化住宅では自然冷媒ヒートポンプ給湯機(通称「エコキュート」)もしくは電気温水器を使います。
また、ガスコンロにはIHクッキングヒーター、そして暖房設備にはエアコン・床暖房・蓄熱ヒーターなどが使われます。
このようにこれまでガスを使用した様々な設備を電気で稼働させるので、ガスを一切使用しないというのがオール電化住宅の特徴です。
オール電化住宅のメリット7つ
オール電化には以下のようなメリットがあります。
・ガスの基本料金がかからない
・深夜帯の電気代が安い
・熱源を持たないので安全性が高い
・災害時にタンク水を利用できる
・災害時の復旧が早い
・新築の場合、ガス導管の工事が不要
・環境に優しい
以下、順番に説明します。
メリット1. ガスの基本料金がかからない
オール電化住宅ではガスを使用することがないため、光熱費は電気代しかかかりません。
そのため基本料金が電気代に一本化されるので、ガス代の基本料金がかからず効率が良いのです。
比較的安い都市ガスであっても基本料金は絶対にかかってしまいますし、プロパンガスを使用している家庭はさらにガス代は高額になることもよくあります。
この点オール電化住宅にすることによりガス代はかからないため、料金面での大きなメリットがあるのです。
メリット2. 深夜帯の電気代が安い
オール電化住宅向けの料金プランは各電力会社にありますが、基本的にどの電力会社でも夜間の料金が安いという特徴があります。
そのためオール電化住宅では深夜にエコキュートなどでお湯を沸かしておき、それをタンクに溜めておいて日中に使うことでコスパよく電気代を使いです。
暖房設備でもこれと同じことが可能であり、夜間に蓄熱ヒーターへ保温した熱を日中使い、効率的に電気を使って節約することができます。
メリット3. 熱源を持たないので安全性が高い
火やガスを使う設備には、常に一定の割合で事故が発生する危険があります。
これはガスコンロの火が原因で火災が発生したり、ガス漏れによって一酸化炭素中毒になる危険があるためです。
この点オール電化なら火を使わないので火災が発生する心配もないし、ガス漏れによる一酸化炭素中毒の危険もありません。
また、IHクッキングヒーターは切り忘れ防止機能や温度過昇防止機能もあるため、小さなお子さんや高齢者のいる家庭でも安全に使うことができるのもメリットです。
メリット4. 災害時にタンク水を利用できる
エコキュートのタンク内に溜めた水は、生活用水として使用することもできます。
そのためオール電化住宅は災害時に断水が起こった場合などの備えになるのです。ただし、基本的にタンクの水を飲用水として使用することはできません。
これはエコキュートがタンク内に水を溜めておくという仕組みであるため、飲用水として認められる安全基準を満たしていないからです。
メリット5. 災害時の復旧が早い
過去の地震などの大きな災害時におけるデータによれば、ガスの復旧は数十日掛かるケースが多いのに対して電気の普及は2~6日程度になっています。
そのため災害時の普及はガスに比べて電気の方が格段に速いといえるでしょう。
また先ほど説明した通り、オール電化ならエコキュートのタンク内の水を生活用水としても使えるため、万が一断水したときのための備えにもなるのです。
メリット6. 新築の場合、ガス導管の工事が不要
オール電化住宅ならガスを使うことがないので、新築の場合であれば最初からガス同導管工事が不要です。
都市ガスのガス導管工事では地下に張り巡らされた導管を自宅まで引き込むという作業をしますが、この工事には10~15万円程の費用が掛かります。
このように都市ガスのガス導管工事は比較的高額なので、工事が不要なオール電化住宅ならこの分の費用は安く済むことになるのです。
メリット7. 環境に優しい
エコキュートが採用するヒートポンプ技術は熱効率が良いため、二酸化炭素の排出量が少ない環境にやさしいシステムです。
エコキュートを使ってお湯を沸かすときは、電力に加えて大気中の熱を取り込むことで熱を発生させます。
そのため通常よりも少ない電気消費量で熱発生させることができ、省エネな発熱システムなのです。
オール電化のデメリット7つ
オール電化にはメリットがたくさんある一方、下記のようなデメリットもあります。
・停電したら全ての設備が使えなくなる
・初期費用(設備コスト)が高い
・昼間の電気代が高い
・原料の高騰が光熱費に直結する
・エコキュートの設置に場所をとる
・エコキュートの騒音が気になる
・調理器具が限定される
以下、こちらも解説していきます。
デメリット1. 停電したら全ての設備が使えなくなる
オール電化住宅はすべてのエネルギー源を電気に依存しているので、停電してしまうと一切の設備が使えなくなってしまいます。
例えばオール電化住宅で停電特に動かなくなって困るのは、以下のような設備です。
・エコキュート
・IHクッキングヒーター
・エアコン
・床暖房
もっともエコキュートはタンク内にお湯が残っていればそれを使うことができるし、IHや暖房はガスコンロや石油ストーブで代用が可能です。
きちんと備えをしておけば、停電時のリスクを最小限に抑えることはできるでしょう。
デメリット2. 初期費用(設備コスト)が高い
エコキュート本体の価格が50万円近くしますが、本体の購入代のほかに基礎工事や水道管・電気工事などの工事費用も10万円以上かかります。
その他床暖房の本体・工事合わせて100万円程度かかることもあるし、IHクッキングヒーターも10万円くらいはします。
このように、オール電化では初期費用が高額になることも多いのです。
デメリット3. 昼間の電気代が高い
オール電化プランでは深夜帯の料金が安い代わりに、日中の料金が高いのが特徴です。
そのため一般の住宅と同じように日中電気を使ってしまうと、かえって割高になってしまうこともあるのです。
例えば日中の料理やテレビ・ドライヤーの使用、そして夏場の冷房などは電気を多く消費するので、使いすぎると料金が高くなります。
また、エコキュートを上手く使わないと湯切れになることもあるので、翌日使うお湯の量にうまく合わせて湯を沸かさなければなりません。
デメリット4. 原料の高騰が光熱費に直結する
電気代は燃料の値段が上がって料金が高くなることもあります。
その場合、電気とガスにエネルギーを分散していれば大きな影響はないところ、電気に依存しているオール電化住宅は影響が大きいのです。
原料の値段高騰は光熱費の料金に直結し、燃料の値段が上がった場合の影響が大きいのがオール電化住宅のデメリットとなります。
デメリット5. エコキュートの設置に場所をとる
エコキュートの設備には「貯湯ユニット」と「ヒートポンプユニット」があります。
貯湯ユニットは高さ2m前後で奥行・幅60cm程度、ヒートポンプユニットはエアコンの室外機と同じくらいのサイズであり、それぞれ大きな設備なので設置場所は考えておかなければなりません。
あまり狭い場所に設置するとメンテナンスに不便もあるので、ある程度ゆとりを持たせて設置できる場所を考えておきましょう。
デメリット6. エコキュートの騒音が気になる
エコキュートのヒートポンプユニットから発せられる低周波が、騒音被害の原因になることがあります。
ヒートポンプユニットから発せられる低周波は12Hz程度であり、冷蔵庫の稼働音程度なのでそれほど大きな音ではありません。
しかしなかにはこの音が気になる人もいるので、その場合は設置場所を工夫したり防音シートを使うなどの対策がおすすめです。
デメリット7. 調理器具が限定される
IHクッキングヒーターを使用する場合、IH専用の調理器具を使わなければなりません。そのため一般的な家庭に比べてオール電化住宅では調理器具が限定されてしまいます。
とはいえ最近では賃貸マンションなどのキッチンでもIHクッキングヒーターが設置されていることは多く、IH対応の調理器具も増えているのでそれほど不便はなくなってきています。
またガスのように直火で調理することができないので、人によっては料理するとき不便に感じるところもあるでしょう。
オール電化の節約術!電気代を安くする方法
オール電化の節約方法はいくつかあり、おおまかには以下の6点です。
・電力会社を切り替える
・電気料金の単価が安い時間帯に使用する
・エコキュートの使い方
・断熱暖房機の使い方
・IHクッキングヒーターの使い方
・床暖房の使い方
こちらで具体的な節約方法を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
オール電化住宅は料金が安いだけでなく、災害時に効果を発揮するメリットもあります。
ただし家事や冷房など日中に電気を使うと料金が高くなるし、導入する場合の初期費用が高いことも忘れないようにしましょう。
最近ではオール電化住宅の普及率が高まっており、戸建て住宅を新築する際にオール電化にするかどうかを悩む方も多いと思います。
こちらで紹介したメリット・デメリットをよく比較したうえで、最終的にお得になるかどうかをしっかり検討してからオール電化住宅を選ぶようにしてください。
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