雇用保険とは?加入条件や手続き方法、保険料などをわかりやすく解説します。

雇用保険とは?加入条件や手続き方法、保険料などをわかりやすく解説します。

給与明細を見たときに、給与から雇用保険料が天引きされているのを見て少し損をしたような気分になる人も多いのではないでしょうか。

雇用保険とは、労働者が失業したときや休業により賃金が減少したときなど、いざというときに労働者を助けてくれる制度です。

また、正規雇用・パート・アルバイト・派遣を問わず一定の条件を満たした場合は雇用保険への加入が義務となります。

今回は、雇用保険とは何か、加入条件や保険料についてわかりやすく簡単に解説します。雇用保険とは何か知りたい方や労務担当の方はぜひ参考にしてみてください。

目次

雇用保険とはどんな制度?わかりやすく簡単に解説します。

雇用保険とは何か?という質問に対する答えをわかりやすく簡単に一言でいうならば、「労働者を保護するための制度」です。

雇用保険とは、労働者が失業した場合や就労を継続できなくなった場合に給付金を支給する制度です。毎月雇用保険料を支払うことで、いざ自分が失業した場合などに生活を補償してもらえます。

雇用保険とは、労働者の生活と雇用を守ることと再就職の支援を目的とする制度なので、経営者や個人事業主は加入対象となりません。雇用保険の加入対象は正社員に限らず、条件さえ満たせばパート・アルバイト・派遣でも加入が義務となります。

雇用保険は社会保険と混同されがちですが、両制度は補償の対象が異なります。社会保険とは健康保険と厚生年金保険から構成されるものです。

また、加入の条件も異なり、雇用保険の方が要件が厳しく加入が義務付けられるケースが多いです。パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用の方の中には、雇用保険には加入しているが社会保険には加入していないという方もいます。

雇用保険に加入するメリット

前述の通り、雇用保険とは労働者のための制度です。しかし、経営者にとっても雇用保険への加入はメリットをもたらします。雇用保険への加入は企業の信頼性をアピールでき採用面で好印象を与えられます。人出不足が深刻な現代において求心力を高めることは必須です。

加えて、要件を満たせば助成金をもらえることもあります。例えば、「雇用調整助成金」は、一時的な雇用調整によって従業員の雇用を維持するといった要件を満たすと給付されるものです。仮に解雇したとしても、再就職支援をハローワークに委託するなどの要件を満たせば「労働移動支援助成金」が給付されます。

他にも要件を満たせば給付される助成金は多数あります。雇用保険への加入は労働者だけでなく企業側にとっても大きなメリットとなるのです。雇用保険とは何かしっかり理解しておくことは、事業主側にとっても大切なのです。

雇用保険の加入条件は?

雇用保険の加入条件は以下3つです。

・週20時間以上働く
・31日以上働く見込みがある
・学生ではない

条件さえ満たせば、パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用の労働者であっても加入が義務づけられます。企業の規模や業種も関係ありません。

ここでは雇用保険の加入条件をわかりやすく簡単に解説します。なお、2017年以降は年齢制限が撤廃され65歳以上の労働者も雇用保険の対象となり、65歳以上であっても雇用保険への加入が義務となる場合があるのでご注意ください。

前述の通り、以下の条件に当てはまるとしても経営者や個人事業主は雇用保険の対象とはなりません。

週20時間以上働く

1週間の労働時間が20時間以上である必要があります。労働契約書などにおいて所定労働時間が週20時間以上定められていることが必要で、残業で20時間以上となるケースはこの条件を満たしません。

また、20時間という数字に休憩時間は含まれません。例えば、9:00~15:00の労働時間で休憩が1時間だとすると、1日あたりの労働時間は5時間となり、週4日以上勤務しているならばこの条件を満たします。

雇用保険に加入したい場合は所定労働時間を確認するようにしましょう。

31日以上働く見込みがある

31日以上の継続雇用の見込みがあることが条件となります。ここで注意が必要なのは、同一の事業主に継続して31日以上雇用される見込みがなければならないということです。

複数の事業主の雇用期間の合算や間隔を空けての通算で31日以上となっても条件を満たしません。31日以上の期間を定めて雇用されていれば、パート・アルバイト・派遣でもこの条件を満たします。

当然、期間を定めずに雇用される正社員も条件を満たします。

学生ではない

雇用保険とは労働者を対象とする制度であり、学生を対象とする制度ではありません。そのため、高等学校または大学に在学中の学生は、週20時間以上労働し31日以上の継続雇用の見込みがあったとしても雇用保険へは加入できません。

ただし、卒業後もその職場で継続して勤務する卒業見込みの学生や休学中の学生は例外として雇用保険へ加入します。夜間学校や定時制の学校に在籍し卒業後もその職場で継続勤務する学生も同様、例外的に雇用へ加入します。

雇用保険の手続き方法

ここからは、雇用保険へ加入する場合や退職した場合の手続きや必要書類をわかりやすく簡単に解説します。

雇用保険の手続きは基本的には企業などの事業主が行います。事業主が従業員を雇い雇用保険への加入が必要となった場合は以下の手続きを行わなければなりませんから、手続きの進め方や必要書類をよく確認しておきましょう。

雇用保険へ加入するためにまずするべきことは、「労働保険保険関係成立届」を事業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出することです。

アルバイトやパート、派遣など雇った場合

初めて従業員を雇った場合、まずは前述の「労働保険保険関係成立届」を事業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出し保険関係を成立させましょう。

次に、事業所の所在地を管轄するハローワークへ「事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。受領印の押印された「労働保険保険関係成立届」も必要になるので、大切に保管しておきましょう。

その後、新たに雇用保険の対象となる従業員を雇用した場合は、その都度ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

従業員が給付金を受け取る場合

給付金には教育訓練給費や雇用継続給付などいくつか種類があります。

いわゆる失業保険と呼ばれる「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」や「介護休業給付金」を従業員が受け取ろうとする場合、各給費金ごとに用意された申請書を事業所の所在地を管轄するハローワークへ提出します。

その後、ハローワークにおいて受給資格があると判断されれば、給費金を受け取れます。給付金の金額や受け取るための要件は給費金の種類ごとに異なります。

従業員が離職した場合

従業員が離職した場合も、事業主と労働者の双方で手続きが必要です。まず事業主は、従業員が離職した日(雇用保険の被保険者ではなくなった日)から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」をハローワークに提出します。

このとき、必要書類として「賃金台帳」や「タイムカード」なども提出しなければならないので用意しておきましょう。

離職証明書は従業員にも交付します。離職証明書記載の離職理由と従業員が主張する離職理由が異なる場合、ハローワークが事実関係を調査します。

従業員は、住居を管轄するハローワークへ「雇用保険被保険者離職票」、個人番号確認書類や印鑑などを持参し求職の申し込みを行います。

雇用保険の保険料は?

続いて、雇用保険料の金額について解説します。雇用保険料は事業主と労働者の双方で負担します。雇用保険には扶養という概念はないので、配偶者の扶養に入っていたとしても保険料は払わなければなりません。

雇用保険料の金額は事業ごとに異なり、以下のように分類されます。

一般の事業 農林水産・清酒製造の事業 建設の事業
労働者負担 0.3% 0.4% 0.4%
事業主負担 0.6% 0.7% 0.8%

労働者の負担する保険料はわずかなので、大きなデメリットはありません。事業主側は雇用する従業員が増えれば増えるほど保険料の負担も増えますが、金額がそれほど高額でないことに加え前述の事業主側のメリットも考慮すれば、デメリットよりもメリットの方が大きいといえるでしょう。

雇用保険に加入しなかった場合の罰則は?

これまで述べてきた通り、雇用保険への加入は一定の条件を満たした場合は義務となります。事業主が虚偽の申告をしたり申告を怠った場合、事業主に対して6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

懲役期間や罰金の金額はともかく、罰則を受けたという事実だけで社会的信用を失い事業の継続は困難になってしまうでしょう。

従業員が雇用保険の対象になっているかは、ハローワークで簡単に照会できるので虚偽申告や申告の懈怠は容易に判明しますし、給与明細でも確認できます。

雇用保険は労働者と事業主の双方にメリットをもたらすものですから、雇用保険とは何か、その加入条件や手続きについて、よく理解しておきましょう。

 

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