ムカデは強力な顎と毒を持っており、噛まれると痛い危険な昆虫です。しかし、ムカデのような虫の中にヤスデやゲジゲジといった昆虫もいます。
ただしヤスデやゲジゲジは見た目が似てるものの、ムカデのように人を噛むことはありません。
そのため、家の中に侵入できないような環境づくりさえしておけば、徹底的に駆除する必要もないのです。
そこで本記事では、ムカデとヤスデ、そしてゲジゲジの見分け方や何類なのか、また生態の違いについて解説します。
それぞれの適切な予防法や駆除法についても触れるため、ぜひ自分の家に出ているのが何の虫なのか特定したうえで駆除してください。
そもそもムカデとは?生態や特徴、生息地など解説
ムカデとは、多足類に属する節足動物です。日本だけでなく世界中に生息しており、その種類はなんと3,000以上にものぼります。多足類という分類のとおり足の数が多く、場合によっては身の危険を感じたときに切り離して逃げることもあります。
そしてムカデのもう1つの特徴は、頭部についた強力な顎です。この顎には毒があり、噛まれると強い痛みを感じ、ひどく腫れる場合があります。
そんなムカデは1年中どこにでもいる身近な生き物ですが、特に暖かい時期には行動が活発になります。とはいえ基本的に夜行性のため、日中に室内や屋外で見かけることは少ないでしょう。日中は落ち葉の下や岩陰、草陰や軒下といった場所に身を潜めて暮らしています。
ムカデとヤスデ・ゲジゲジなどの違い・見分け方
ムカデと似た生き物の代表として、ヤスデやゲジゲジが挙げられます。
「どれも足が多いのはなんとなく知っているけれど、詳しい見分け方や違いは分からない」という人も多いでしょう。そこでここからはムカデとヤスデ、そしてゲジゲジの見分け方をそれぞれ紹介していきます。
ムカデとヤスデの違い・見分け方
ムカデと違い、ヤスデは攻撃性が高くありません。身の危険を感じると、ダンゴムシのように丸くなるのがヤスデの特徴です。
その上ヤスデにはムカデのような強力な顎や毒がありません。身の危険を感じると出す臭い体液には毒性があるものの、刺激さえしなければ向こうから攻撃してくることはない生き物です。
体長は2cm前後の個体が多く、ムカデより小さいのもヤスデの特徴といえます。また普段は落ち葉の下や腐葉土の中にもぐって生活していることが多く、ムカデほど民家に出没する生き物ではありません。雨や排水で土に水が溜まり、溺死の危険を感じると地中から這い出してきます。
ムカデとゲジゲジの違い・見分け方
ゲジゲジは体長5cm前後の昆虫です。ムカデとの大きな違いは、触覚と足の長さです。ムカデはほとんど見えないくらい触角が短いのに対し、ゲジゲジは体長よりも長い触角を持っています。
またムカデは身体に対して短い足が横に出ていますが、ゲジゲジは脚の節がしっかりと分かるほど長い足を持っています。細長い体よりも、足の長さのほうが目立つ見た目です。さらにゲジゲジはムカデよりも動きが素早いのが特徴です。
ムカデはうねりながら多数の足を使ってはい回りますが、ゲジゲジは長い足を使ってジャンプするようなしぐさを見せたり、より昆虫らしい動きをします。生態はムカデとほぼ同じで、ゲジゲジもゴキブリや白アリを食べる益虫です。
その他のムカデみたいな虫
この他にも、ムカデに似た虫は複数います。足が多いという点では、ワラジムシやフナムシもムカデに似ているといえるかもしれません。
ただしこれらの昆虫は人間にとって害虫ではないため、あえて駆除する必要はないでしょう。むしろ生態系の中ではダンゴムシと同様、掃除屋としての役割を担っている昆虫です。
また、イモムシや毛虫をムカデと見間違えることもあるかもしれません。イモムシや毛虫はムカデのように素早く動けないケースが多く、硬い甲羅にも覆われていません。
ムカデとはまた違った駆除方法が必要になるため、よく観察してどちらか見分ける必要があります。
ムカデはなぜ出る?発生原因など紹介!
ムカデは通常、落ち葉の下や木のはがれた皮と幹の隙間など、暗くて湿った場所を好みます。そのため、民家の近くで発生したムカデは庭先の落ち葉の下や軒下、外壁のひび割れの中といった場所を好んで選ぶのです。
ちなみにムカデは夜行性のため、外に出てくるのは基本的に夜です。また、ムカデはゴキブリやクモといった生き物を餌としています。民家にはこうしたムカデの餌となる生き物が多く生息しているため、自然とムカデも近寄ってくるのです。
ムカデやヤスデ、ゲジゲジの駆除方法!確実に退治しよう
ムカデやヤスデ、ゲジゲジが家に出た場合、ハエたたきで叩き潰したり殺虫剤を使うといった方法が挙げられます。
このほかにも、ムカデは50度以上のお湯をかけると死んでしまいます。お湯が手元にある場合はムカデの身体全体にかけることで簡単に駆除できます。
またヤスデは普段潜んでいる地中に水がしみこみ、溺死する危険を感じたとき以外は基本的に地上へ出てきません。そのため家の周囲の水はけを良くするだけでも外に出てこなくなります。
ゲジゲジは市販の燻煙剤も効果的です。数時間部屋を燻すことで、物陰に潜んでいるゲジゲジも一気に撃退できます。
このように、似ている3種類の生き物ですがそれぞれ最適な駆除方法が異なります。まずは家に出ているのがどの虫なのか特定し、駆除方法を考えましょう。
ムカデを寄せ付けないための予防対策
ムカデを家に寄せ付けないためには、以下の予防策が重要です。
・湿気の多い暗所を作らない
・ムカデの餌となる昆虫を駆除する
・忌避剤や毒餌でムカデを寄せ付けない
ムカデは落ち葉の下や草の生い茂った場所、軒下などの湿気が多く、暖かくて暗い場所を好みます。たとえば落ち葉を掃除するなどしてこうした場所をつぶしていくと、ムカデは自然と住処を失いいなくなるでしょう。また家の周りに市販の忌避剤や毒餌を置いておくのもおすすめです。
ペットや小さいお子さんがいる場合は、ハッカ油を薄めた液や木酢液を撒いておくだけでも効果的です。トラップを仕掛けた場合は、生ごみを頻繁に捨ててムカデの餌となるゴキブリやクモを増やさないようにしましょう。
ムカデ・ヤスデ・ゲジゲジ退治を駆除業者に依頼するのもアリ!
ムカデやヤスデ、ゲジゲジは自分でも駆除できる害虫です。
しかし、場合によっては軒下など自分では確認しにくい場所を住処としている場合もあります。こうした場合は自分で完全に駆除するのが難しいため、業者に依頼するのがおすすめです。
業者は専門家の目線で侵入経路を特定し、薬剤で徹底的に駆除していきます。1回限りの駆除でピタリと害虫が出なくなるため、できるだけ早く駆除したい人やその後も再発させたくない人には特におすすめです。
まとめ
ムカデとヤスデ、そしてゲジゲジの違いについて紹介しました。この3種類のなかでは、ムカデがもっとも危険性の高い生き物と言って良いでしょう。ムカデが出た場合は噛まれる前に、適切な駆除や予防が必要です。
一方、見かけた虫がヤスデやゲジゲジだった場合、特に何か駆除をする必要はありません。家の中で見たくない場合は、忌避剤を撒いたりゲジゲジの餌となるゴキブリを駆除するなどして、虫が近寄らない環境づくりを心がけましょう。
玄関先の草や落ち葉を除去したり、エアコンの排水ホースに虫よけのネットをかけておいたりするだけでも、虫の侵入を防げます。