日本にはイタチやテン、ハクビシンといった害獣が存在します。本来であれば森林や雑木林に生息しますが、近年では生息場所を失い人里に降りてくることもしばしば。
場合によっては屋根裏に住みついたり、畑を荒らしたりすることがあります。
また、イタチやハクビシンの被害はそれだけではありません。糞尿による異臭や天井のシミ、衛生面での懸念など、さまざまな被害が報告されています。
そこで本記事ではイタチやテン、ハクビシンの生態やそれぞれの見分け方を解説。被害をもたらしているのがどの害獣なのか判断し、正しい方法で退治しましょう。
イタチ・テン・ハクビシンの違い。見分け方とは?
イタチ、テン、ハクビシンは似ていると思われがちですが、それぞれ全く異なる種類の動物です。生息する地域や生態、体長などだけでなく、どのような被害をもたらすかも種類によって異なります。
そこでまずはイタチとテン、そしてハクビシンの違いについて見ていきましょう。誰でも判断できる簡単な見分け方についても紹介します。
イタチの生態や特徴、生息場所
イタチとは、イヌ亜目クマ下目イタチ科に属する動物です。イタチには日本の在来種である「二ホンイタチ」と、外来種である「チョウセンイタチ」の主に2種類がいます。
二ホンイタチは体長がオスの場合25~35cm、メスが15~25cmです。一方チョウセンイタチは25~40cm、メスが25~30cmとやや大きめなのが特徴です。
食性は肉食で、主にネズミなどの小動物を狩って生活しています。生息域は起伏の少ない森林地帯が主で、川や池といった水場のあるエリアでもよく目撃されます。鳴き声はキキキ…ククク…といったものが多いです。
テンの生態や特徴、生息場所
テンはイタチと同じく哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ亜目 イタチ科に属する動物です。属性はテン属となるので、細かい分類上はイタチと異なります。
テンにはホンドテン、ツシマテン、エゾグロテンといった主に3種類の在来種がいます。中でも本州をはじめとする広い地域で見られるのがホンドテンです。
テンの体長は44~55cmと、イタチよりやや大きめ。また夏と冬で毛の色が変わるのもテンの特徴です。食性は雑食性で、イタチと違い小動物だけでなく果実や穀物なども食べます。そのため起伏の少ない森林地帯に生息していますが、餌を求めて街中で見られることもたびたびあります。
ハクビシンの生態や特徴、生息場所
ハクビシンは哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ目ジャコウネコ科に属しており、日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物です。属性はハクビシン属ですが、先に紹介したイタチ・テンとは全く異なる動物です。
体長はおよそ50cm〜75cmで、比較的大型といえます。全体的に黒い体色をしており、鼻筋に白い線が入っている見た目が特徴です。
食性は雑食性で、小動物から昆虫、果物まで幅広く食べます。雑木林などの木が多い場所に生息しますが、甘い果樹を好むため農園や畑でもたびたび目撃されます。日本では主に東日本と四国に生息しています。
イタチ・テン・ハクビシンの見分け
まず体の大きさですが、小さい順に並べるとイタチ→テン→ハクビシンです。イタチは体長が30cm前後の場合が多く、テンは40~50cm、ハクビシンは大きいもので75cm前後になります。
体長で判断できない場合は、足跡の大きさを見るのもおすすめです。足跡が2cm前後であればイタチ、4cm前後であればテン、5cm以上あればハクビシンと検討がつきます。見た目で判断する場合、イタチとテンはよく似ていて判別が難しいですが、黒い体に鼻筋に白い線が入っていればハクビシンです。
またフンはイタチが最も小さく、6mm程度で悪臭を放ちます。テンの糞は水っぽく、10mmほど。ハクビシンは5cm以上の糞をし、果実の種が混じっていることが多いです。
その他イタチみたいな動物
これまで紹介した動物のほかにも、以下のとおりイタチによく似た動物はいます。
・オコジョ
・フェレット
・カワウソ
・マングース
上記の動物は市街地に現われることは少ないですが、姿形がイタチと似ているため見間違える可能性があります。このほかにも、アライグマやタヌキといった動物はイタチとよく間違えられます。
オコジョ
オコジョは場所により天然記念物に指定されている動物です。市街地で遭遇することはほとんどないでしょう。ただし見た目がイタチに似ており、特に夏毛の場合は茶色い体色に覆われています。
イタチとの違いは、大きさが15~30cmと小さい点です。また、オコジョは冬になると毛が生えかわり、全身が真っ白の毛に覆われます。
フェレット
フェレットは愛玩用として主に海外から輸入されているイタチ科の動物です。品種改良が進んでいるため、黒やグレー、白などさまざまな体色の個体がいます。
ただし現在野性化はしていないため、手を出さない限り直接被害を被ることはありません。屋外で見かけた場合は、飼育されていた個体が逃げ出したものである可能性が高いです。
カワウソ
カワウソはネコ目イタチ科に属する動物です。動物園で飼育されているだけでなく、世界各地で野性下でも生息している動物です。
ただし日本固有種の二ホンカワウソは絶滅危惧種に指定されており、現在は絶滅したとされています。そのため日本で野性のカワウソを目撃することはありません。海外の場合、主に魚や蟹などを食べるため、水辺で目撃されるケースが多いです。
マングース
マングースはハクビシンは哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ目ジャコウネコ科に分類される動物です。毒蛇にも果敢に挑んでいくどう猛さから、沖縄ではハブ駆除を目的に多数輸入されました。
そのため沖縄諸島では野性のマングースがしばしばみられます。体色は黒褐色から黄土色をしており、体長は30~40cmです。尾の毛がリスのようにフサフサとしているのも特徴的です。
イタチ・テン・ハクビシンによる被害
イタチやテン、ハクビシンが近隣や屋根裏に住み着くと、以下のとおりさまざまな被害があります。
・糞尿による悪臭被害
・天井にシミができる
・害虫や病原体が持ち込まれる
・襲われる可能性もある
・農作物への被害
単純に襲われるだけでなく、健康被害も懸念されるためイタチやテン、ハクビシンを見た場合は早急な駆除をおすすめします。
糞尿による悪臭被害
イタチやテン、ハクビシンの糞尿は非常に強い悪臭を放ちます。
たとえば屋根裏に住み着いた場合、同じ場所に糞尿をかけつづけるため部屋にまでにおいが漂ってくることもしばしば。
またイタチやテンといった動物は肛門付近に悪臭を放つ「臭腺」を持っています。外敵に出くわしたり、興奮したりすると臭腺から悪臭を放ちます。
天井にシミができる
イタチやテン、ハクビシンは一度糞をする場所を決めるとその後何度も同じ場所に糞尿をする性質があります。
そのため一度家の近辺に住みつかれると、糞尿の被害はどんどん大きくなるでしょう。時間が経過すると、天井に糞尿が染み込み、シミができる場合もあります。ひどい場合は柱や屋根の木材が腐食する可能性もあります。
害虫や病原体が持ち込まれる
イタチやテン、ハクビシンの体には、ダニやノミといった害虫が付着しています。特にダニはアレルギーの原因物質としても知られます。
空気の流れに乗って舞ったダニやノミの死骸、そのほかの害虫や汚れが部屋に入り、アレルギーを引き起こす可能性があります。また糞尿にもさまざまな病原菌やウイルスがいる可能性は高いです。
襲われる可能性もある
イタチやテン、ハクビシンには縄張りがあります。
たとえば家の近くに住みつかれてしまった場合、家に出入りするだけで縄張りを荒らされたと判断され、襲われる危険性があります。
イタチやテンの爪やキバは非常に鋭いため、遭遇した場合は刺激しないようにしましょう。また襲われると傷口からさまざまな病原菌が入るリスクがあり、非常に危険です。
農作物への被害
特にテンやハクビシンは、農作物を好んで食べます。
たとえば低木のミカンといった柑橘系、このほか甘い果物を作っている場合は狙われる可能性が高いです。
また、テンやハクビシンによって耕した畑が踏み荒らされてしまう可能性もあります。さらに糞尿で土壌が汚れ、作物が正常に育たないことも農家を悩ませる被害の1つです。
イタチ・テン・ハクビシンの退治方法や予防対策
イタチやテン、ハクビシンの被害に悩んだら、捕まえようとせず家に寄りつかないように退治する方法を検討しましょう。
なぜなら、イタチやテン、ハクビシンは「鳥獣保護管理法」という野生動物を守るための法律で保護されているからです。そのため、捕獲用の罠を設置したり捉えて駆除するには狩猟免許が必要となります。
イタチのオスだけであれば、自治体に申請すれば狩猟の許可が下りるケースもありますが、この場合メスを捕えてはいけないため駆除の難易度が高いです。もし徹底的に捕獲・駆除したい場合は自治体に連絡するか専門業者に依頼しましょう。
また、イタチやテン、ハクビシンを寄せ付けないための対策として電気柵が挙げられます。特に畑に入られて困る場合は電気柵を設置し、進入を予防しましょう。
イタチの退治方法や予防対策
イタチを退治する方法は、以下の4つです。
・光を当てる
・木酢液や竹酢液の匂いを撒く
・音で追い出す
・超音波で追い出す
イタチは強い光を嫌う傾向にあります。そのため、見かけたら懐中電灯やスマホのライトを最大にして正面から当てると、嫌がって逃げていきます。
またイタチは木酢液といった酸っぱい香りを苦手とします。こうしたイタチの嫌う香りの忌避剤は市販されているため、それを撒いておくのも1つの手です。ほかにも、大きな音や人には聞き取れない超音波でイタチにストレスを与え、落ち着けない環境を作ることで追い出す方法もあります。
イタチがいなくなったのを確認したら糞尿を掃除し、再び戻ってこないようにしましょう。イタチの駆除について、詳しくは以下の記事で解説しています。
・内部リンク
テンの退治方法や予防対策
テンの退治方法は主に以下の2つです。
・光を当てる
・オオカミの糞尿の匂いを撒く
テンもイタチと同じく、強い光を嫌う傾向があります。そのため、テンを見かけたら懐中電灯やスマホのライトで正面から照らしましょう。住みついている場所が分っている場合は、テンのいるときに覗いて光を当てましょう。
またテンは天敵であるオオカミの匂いを嫌います。そのため、市販されている忌避剤はオオカミの糞尿と似た香りのする商品が多い傾向にあります。農家さんによっては、畑やテンの通り道に犬の毛を撒いてテンを予防している人もいます。
ハクビシンの退治方法や予防対策
ハクビシンを退治する方法は、主に以下の3つです。
・食料を与えない
・暗い場所を作らない
・侵入経路を塞ぐ
ハクビシンは畑や果樹園の農作物を荒らします。こうした被害に遭っている方は、ハクビシンの被害に遭う前に農作物を綺麗に収穫してしまいましょう。ハウスで囲ったりネットをかけたりするのも有効です。
またハクビシンは夜行性のため、昼間は暗く狭い場所で眠っています。できるだけ寝床を減らすためにも木が生い茂っている場所は伐採し、納屋や倉庫は整理しましょう。またハクビシンがいないときを狙って、侵入経路を塞ぐのも有効です。
イタチ・テン・ハクビシンの駆除は専門業者がおすすめ!
イタチやテン、ハクビシンの駆除は、専門業者に依頼しましょう。
先述のとおり上記の動物は鳥獣管理保護法により、狩猟免許のない人の捕獲が禁止されています。もしそれを知らずにイタチやテンを捕獲してしまった場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられるため注意しましょう。
こうしたリスクを避けるためにも、業者への依頼がおすすめです。駆除の専門業者は害獣の種類に合った対処ができるうえ、再発予防もしっかりと行ってくれます。企業によっては保証制度が設けられている場合もあり、駆除したあとも安心して暮らせます。
おすすめの駆除業者については、以下の記事をご覧ください。
・イタチ駆除のおすすめ業者10選!費用相場や依頼するメリット、選び方など解説!
まとめ
イタチやテン、ハクビシンの違いについて紹介しました。
これらは似た動物に思えますが、実は見た目も生態も異なる種類の生き物です。つまり駆除方法も異なるため、イタチのような動物の被害に遭った場合はまず害獣が何なのか、手がかりを探しましょう。害獣がいるということは、足跡や糞、鳴き声などさまざまな手掛かりがあるはずです。
こうした証拠をつかんだうえで専門業者に依頼すれば、詳細な見積りもすぐにもらえるでしょう。ぜひ被害が大きくなる前に、信頼できる駆除業者を探してご依頼ください。駆除業者は相見積もりで複数検討するのがおすすめです。