タヌキは農作物を食べる害獣の一種であり、タヌキに畑の農作物を荒らされて困っている農家もたくさんあります。
この害獣からの被害を防ぐためには、生態や被害の実態を知ったうえで正しい対策を実践することが大事です。
本記事ではタヌキの生態や被害を説明したうえで、自分でできる対策7選や退治・撃退の際の注意点について解説します。
正しい対策をとり、タヌキの被害をなくしましょう。
タヌキの生態や習性、種類など解説
タヌキは哺乳綱食肉目イヌ科タヌキ属に分類される動物です。雑食性であるため植物や昆虫だけでなく、農作物や家庭の生ごみなどを食べてしまうため害獣とされています。
タヌキは臆病な性格をしており、大きな音がすると気絶してしまうという習性があります。毛の色は全体的に灰褐色をしており、目の周りと脚の毛が黒いというのが特徴で、体長は50~60cm、体重は3~5キロほどの大きさ。
タヌキの見た目はアライグマやハクビシンによく似ていますが、アライグマは眉間に通っている黒い筋、ハクビシンは額から頭にかけての白いラインで見分けられます。
タヌキによる被害
野生のタヌキは、以下のような被害をもたらします。
・農作物を食い散らかす
・襲われて怪我をする可能性
・感染症のリスク
まずは被害の実態を捉えたうえで、どのような対策をとればよいかを考えるための参考にしましょう。
被害1.農作物を食い散らかす
雑食性でネズミや昆虫、ミミズなどの生き物のほか、野菜や果物といった農作物を食べます。そのため基本的には森林や山に住んでいることが多いのですが、餌を求めて都会に出てゴミを荒らすこともあります。
また畑の農作物を荒らすため、農家ではタヌキによって農作物を食い荒らされる被害が少なくありません。タヌキによる食害は、農家にとって大きな悩みの種となっています。
被害2.襲われて怪我をする可能性
タヌキは臆病な性格であり自分から積極的に人を襲うことはないため、基本的には身体に危害が及ぶことはありません。ただし身の危険を感じると攻撃してくる可能性もあるので、駆除対策の際は注意してください。
また2~4月の繁殖期には狂暴になっている可能性があるので、この時期の退治は避けた方が無難でしょう。
被害3.健康被害のリスク
タヌキは居心地のよい場所で一箇所にまとめてフンをする、「溜めフン」という習性があります。タヌキが集まってフンが溜まると体臭やふんの悪臭がするだけでなく、ダニやノミが集まり人に寄生する恐れがあります。
またそれだけでなく野生動物は病原菌を持っている場合も多いので、タヌキに近づいたり触れたりすることで感染症にかかることも。タヌキ駆除にはこれら健康被害のリスクがあるので、自分で退治する際はしっかり準備をしたうえで対策をとりましょう。
自分でできるタヌキ対策7選!駆除・撃退法や予防対策
自分でできるタヌキ対策を7つ紹介します。
・忌避剤を使って追い払う
・金網・電気柵
・音で追い払う
・強い光をあてる
・天敵の尿を使う
・畑をきれいにする
・餌を与えない
それぞれの対策について、具体的な方法や効果について詳しく解説します。
タヌキ対策1.忌避剤を使って追い払う
タヌキは木酢液、ハーブ、ハッカ油など嫌いな匂いがいくつかあるため、これらを忌避剤としてタヌキを近づけさせないことができます。木酢液などはそのまま使えますが、ハーブやハッカ油の成分を含む忌避剤もあるので、それらを使って対策することもできます。
置き型やスプレータイプなどさまざまな種類があるので、タヌキがどこにいるかを把握して目的や用途に合わせ、タヌキよけとしてうまく使い分けましょう。
木酢液
ハーブ
ハッカ油
タヌキ対策2.フェンス・電気柵
タヌキはアライグマのように木登りが得意ではないため、フェンスや電気柵を設置することで侵入を防げます。高さは1.5m程度あればよいので、侵入される箇所にフェンスを張って物理的に侵入を阻止しましょう。
フェンスの強度が弱いと破られてしまう可能性があるため、できるだけ金属製のフェンスを使い、また下から潜られないよう地面とフェンスの間にも注意してください。
金網柵
電気柵
タヌキ対策3.音で追い払う
タヌキは臆病な性格をしており、大きな音を立てれば追い払うことができます。タヌキは車のクラクションや猟師が使う銃の発砲音にも気絶してしまうので、音を立てれば近づいてきたタヌキが逃げていくでしょう。
また害獣対策用の超音波発生器があるので、そのような野生動物が嫌う音を使ってタヌキを追い払うという方法もあります。
タヌキ対策4.強い光をあてる
タヌキは夜行性の生物であるため強い光を嫌います。そのためセンターライトなどを使って光でタヌキを遠ざけるという方法もあります。ソーラー式の防獣ライトであれば電池交換の手間もいらず、楽に使用できるでしょう。
光をあてるときは畑など被害を防ぎたい農作物に向かってあて、できるだけ死角を作らないよう光の当て方を考えるのがポイントです。
タヌキ対策5.天敵の尿を使う
タヌキの天敵である狼の尿を使った忌避剤で、タヌキを撃退・退治できます。野生動物は自分の尿で縄張りを示す習性があり、天敵の尿がある場所にタヌキは近づきづらくなるので、この習性を利用して天敵の尿を忌避剤として利用できるのです。
市販されている製品ではウルフピーという狼の尿を使ったものがあり、野生動物対策用の忌避剤としてはよく使われます。
タヌキ対策6.畑をきれいにする
タヌキは夜行性で臆病な性格なので、藪の中などに身を隠す場所があると安心します。そのため畑や庭にタヌキが隠れやすそうな場所があれば、しっかり手入れしてきれいにしておきましょう。
手入れを怠るとタヌキにとって住みやすい環境になってしまうので、芝刈り機などで定期的に手入れをしてタヌキの好む環境を作らないようにすることが大事です。
タヌキ対策7.餌を与えない
タヌキは餌場の近くに住み着くため、餌を与えないことが大事です。農作物は柵やネットで保護し、収穫したら室内に保管しましょう。
また柿などの放置しがちな果物や生ゴミなどもきちんと処分し、お供え物にはできるだけ食べ物を使用しないなどの注意も必要です。タヌキに餌を与えないためには、農作物だけでなくより広い視点で対策を取ることが重要です。
法律違反に注意!無断で駆除してはいけない
タヌキは鳥獣保護法によって保護されている生き物であり、勝手に駆除・捕獲することは禁止されています。そのためタヌキを駆除するためには役所の許可が必要であり、自分でできる対策はタヌキを追い返すこと、近づけないことに限られます。
無断で駆除・捕獲すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があるので、撃退の際は注意してください。
自分で対策が困難な時は業者に依頼
自分でできる対策は、タヌキが慣れてしまい逃げないようになると効果は弱まります。一方狩猟免許を持った業者であればタヌキの駆除・捕獲ができるので、もし自分での対策が限界だと感じたら業者への依頼を検討しましょう。
業者に依頼すれば駆除の手間がかからないうえ、自分でおこなう以上に徹底した対策をおこなえます。アフターフォローがついている業者であれば、万が一被害が再発した場合も再駆除を依頼できるのでより安心感があるでしょう。
業者の選び方やおすすめ業者を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
タヌキは畑の農作物を食い荒らすだけでなく、フンによる悪臭や感染症などのリスクもあるため被害にあったら早期に対処する必要があります。
対策はまず手軽なものから実践しましょう。たとえば忌避剤や音などを使って追い払うのが比較的簡単な方法です。このような簡単な対策をしても被害が防げない場合、フェンスや電気柵などより大がかりな対策をとる必要があります。
また畑の手入れをして餌を与えないことも重要な対策です。このような基本的な対策も怠らないようにしましょう。自分での対策では効果が出ない場合、駆除・捕獲によって本格的に対策する必要があるので、その場合には業者への依頼を検討してください。