モグラはどこにいる?
モグラによる被害は?
モグラは地面のなかで生活しているため、実際に目にする機会は少ない生き物です。
そのためモグラの生態について詳しく知っているという人は少ないでしょう。
こちらの記事ではモグラの生態や生息地、巣の特徴や天敵など、モグラの生態に関することを網羅的に解説します。
農作物などがモグラの被害にあっているという方は、正しい対策をとるためモグラの生態を理解することが重要です。
ぜひ本記事を参考にして、モグラの生態を知ったうえで正しい対策を実践してください。
モグラの生態や特徴、習性について解説!
モグラは全長10センチメートルくらいの大きさをしている生き物です。体は暗い褐色で鼻と手足がピンク色になっており、短い体毛がビロード状に生えているのが特徴。ネズミのような鳴き声をあげます。
モグラが何を食べるかですが、肉食なのでミミズやムカデなどが主な餌です。モグラは畑が荒れる原因になりますが、野菜を食べることはありません。また食べる量が非常に多く、モグラは自分の身体の大きさの半分くらいの量のエサを食べます。
以上がおおまかなモグラの生態であり、ここからはさらにモグラの生態や体の構造・器官などについて具体的に解説します。
視力が悪く、嗅覚が優れている
モグラにも目は付いてますが、モグラの目は光を感じる程度のことしかできず視力はほとんどありません。
その代わりにモグラの生態としては嗅覚が非常に発達しており、においを立体的に把握してどこに餌があるのかを突き止めることができます。またモグラには天敵がいますが、発達した嗅覚が天敵の場所も察知して避けることができるような生態になっているのです。
土をかき分けられる大きな前足を持つ
モグラは土の中で生活しているため後ろ足よりも前足が発達しており、鋭い爪が生えた大きな前足が備わっています。
手のひらが外側を向くような形になっており、土のなかを移動する際はこの前足を左右に押し広げて土をかき分け進みます。哺乳類は基本的に前肢が地面に付く構造になっているのと比べると、モグラの前足は全く違った形をしていることがわかるでしょう。
アイマー器官で振動を感知できる
アイマー器官とは、モグラの鼻先に砂割っている振動を感知する感覚器官です。
モグラは視力が弱いぶん嗅覚で補っていますが、それだけでなくこのアイマー器官を使って細かい振動をキャッチし、餌の場所を探したりしています。アイマー器官も、モグラが生きていくうえではとても重要な役割を果たしているといえるでしょう。
泳ぎがうまく、水中でも狩りができる
モグラは土のなかで生活しているため水に弱いイメージがあるかもしれませんが、水の中を泳ぐこともできます。
実際に田んぼの中を泳いで渡ることもあるので、モグラは水に弱いということはありません。また種類によって水中で狩りをするモグラもおり、むしろ水の中はモグラにとって動きやすい場所ともいえるでしょう。
モグラ種類・生息地、巣や天敵など解説
モグラが何を食べるかについては説明しましたが、モグラは空腹に弱く、12時間以上何も食べないと死んでしまいます。またモグラの寿命は3~5年ほど。環境の変化にも敏感であり、温度・湿度の変化に弱いというのも特徴でしょう。
モグラは日光に当たると死んでしまうといわれますが、正確には日光に当たることによって体温が上昇し、体温変化に体がついていけないのです。
土の中に生息するという生態にはこのような理由があり、その他にも地中はモグラにとって多くのメリットがあります。たとえば地中であれば陸上にいる天敵に見つかりにくく、餌となるミミズや昆虫も多く生息しています。
このように地中で生きるために進化したモグラですが、種類や生息地、巣や天敵などについてさらに詳しくみていきましょう。
日本にいる主なモグラの種類
日本に生息しているモグラの生態を大きく分けると、真性モグラ類とヒミズ類の2つに分類され、全7種のモグラが生息します。
「真性モグラ類」
・アズマモグラ
・コウベモグラ
・サドモグラ
・センカクモグラ
・ミズラモグラ
「ヒミズ類」
・ヒミズ
・ヒメヒミズ
7種のモグラはすべて日本固有種であり、アズマモグラなど広域に生息するのは真性モグラ類です。このほかにも世界には約30種のモグラが生息していて、たとえばロシアデスマンは体長20センチメートルにもなる最大の種として有名です。
モグラの生息地
モグラの生息地は本州から四国、九州まで渡っており、北海道を除くほぼ全国が生息地といえます。
住んでいるのは雑木林や畔、畑などで水分を含んだやわらかい土の中。生息地は種類によっても異なります。たとえばアズマモグラは東日本に主に生息しており、コウベモグラは西日本が生息地です。
ほかにも佐渡島だけに住むサドモグラや魚釣島だけに住むセンカクモグラなど、特定の地域のみを生息地とするモグラもいます。
モグラの活動時期
モグラは冬眠をすることがなく、一年中活動できるという生態をしています。
4~6月に繁殖期となり、この期間にオスのモグラの行動範囲が通常の2倍程度に広がるようです。繁殖期のオスのモグラは、相手を探すために通常時よりも多くの穴を掘ります。
このことから、4~6月の活動が活発化する時期であればモグラが罠などにかかる確率が上がるため、駆除には適した時期であるといえるでしょう。
モグラの巣の特徴
モグラの巣は300メートルにもなるほど巨大であり、その内部は入り組んだ構造です。モグラの穴は本道・支道・幹道に分かれており、それぞれ別々の役割を果たしています。
本道はモグラが餌を探すときに通る道で、大量の餌を必要とするモグラは日中に本道を頻繁に通ります。支道は本道から枝分かれしてできた、獲物を捕まえるために掘られる道です。幹道は本道の奥に作られた巣やねぐらにいくための通り道として作られます。
このような巣の構造を知っておくことで、モグラが穴の中のどこにいるかを知る手掛かりになるでしょう。
モグラの天敵
モグラの天敵は、ワシ・タカ・フクロウなどの猛禽類のほか、イタチや猫などです。
猛禽類は視力がよく、上空からでも地表にいるモグラを見つけて捕まえることができます。イタチは雑食性であり、俊敏な動きでモグラを捕食します。猫もモグラを捕食することがありますが、狩猟本能によってモグラを襲ってそのまま放置することもあります。
このようにモグラには多くの天敵がいるため、地表に出たモグラはさまざまな危機にさらされているのです。
畑や庭にもたらすモグラの被害
モグラが発生した場合の被害としては、以下のようなものがあります。
・畑や庭が荒れる
・ネズミによる二次被害
・転倒の原因になる
・感染症の危険
モグラは農作物を食べることはありませんが、穴を掘ることで野菜の根が切られたり苗が倒されたりして被害が発生します。またモグラが掘った穴にはネズミが出入りするので、ネズミが畑の農作物を食べてしまうことがあるでしょう。
さらに被害は農作物にだけでなく、人間に及ぶこともあります。具体的にはモグラが庭に穴を掘ったことに気が付かず、穴につまずいて転倒してしまうという被害です。そしてモグラは破傷風菌を持っているため、噛まれると感染症を引き起こす危険もあります。
モグラの見つけ方!どこにいる?
モグラをみつけるにはまず、穴を掘ったときに出た土が積まれてできるモグラ塚を見つけます。モグラが地表に出てくることは少ないので、モグラ塚はモグラを発見するうえで重要な手掛かりになるでしょう。
塚の下には巣につながる穴が広がっているため、塚から真下を30センチメートルほど掘ってみると穴がみつかる可能性があります。穴を見つけたら、モグラがもっともよく通る本道をの場所を探しましょう。
本道はモグラの体毛にならされて表面がツルツルしているという特徴があります。本道に罠を仕掛ければ駆除できる可能性が高いので、以上のような手順で本道をみつけることがモグラ駆除のポイントです。
モグラの駆除・退治方法
モグラを駆除するには、以下のような方法があるので、生態にあわせて駆除対策をおこないましょう。
・嫌いな匂いを使う
・忌避剤を使う
・音や振動を発生させる
・罠を張る
モグラは唐辛子・木酢液・炭といった嫌いなにおいがたくさんあるので、これらを使ってモグラが寄り付かない環境を作ることができます。
モグラが嫌う匂いを使った忌避剤もさまざまなものがあり、市販の製品を使うのもよいでしょう。音波振動器などを使って音や振動を発生させると、危険な場所と認識してモグラが近寄りにくくなります。罠で捕獲するには役所の許可が必要な点に注意しましょう。
詳しい駆除方法については、以下の記事も参考にしてください。
モグラを寄せ付けない予防対策
モグラの駆除対策を十分におこなったとしても、予防対策ができていなければ再度モグラが発生します。そのためモグラの生態に合わせた予防対策が重要です。
モグラを追い出すことに成功したら、再度侵入しないよう金網や柵などを張り巡らしましょう。
金網や柵を張るときは、モグラを侵入させたくない場所を囲うように張り巡らせるのが効果的です。
柵の高さは地上20センチメートル程度、深さは地中50~60センチメートル程度が適切です。
モグラ塚や巣を塞いでもさらに深く掘って新たなトンネルを作ることもあるので、柵が浅すぎると効果がありません。
まとめ
モグラは天敵から隠れて土のなかで生活するためにさまざまな器官を発達させています。
駆除するためにはモグラの生態や巣の特徴を正しく理解して、適切な対策をとらなければなりません。モグラは畑や庭が荒らされたり転倒の原因になったりとさまざまな被害をもたらすので、発生したらきちんと対策をとりましょう。
駆除後には予防対策も重要であり、柵を張ってモグラの侵入を防ぎ、再び被害にあわない環境をつくることが大事です。