ノミに刺されると炎症を起こしたり発疹が出たりすることがあるので、自宅でノミを発見したらすぐに駆除しなければなりません。
しかし正しい駆除の方法がわからずに誤ったやり方で駆除してしまうと、かえって事態を悪化させてしまう恐れがあります。
こちらの記事ではノミが発生する原因・発生時期、ノミの駆除方法や予防対策、そしてノミを駆除する際の注意点について解説します。正しい駆除の方法を理解して、適切に対処しましょう。
ノミが発生する原因や時期とは?
そもそもノミはなぜ発生するのか、ノミが発生する原因や時期について解説します。
またノミのなかにもいくつかの種類があるので、ノミの種類や生態についても説明します。
そもそもノミとは?種類や生態など解説
ノミは体長1~3mm程度の生物であり、人や動物の血を吸う衛生害虫の一種です。
ノミはジャンプ力が非常に高く、動物から発せられる二酸化炭素や体熱に反応し、体長の100倍もの高さで跳びついて寄生します。国内でも約80種類ほど生息していますが、特に被害が多いのは以下の種類です。
・ヒトノミ
・ネコノミ
・イヌノミ
メスの成虫は血を吸ってから2日後くらいに卵を産み、卵からかえった幼虫は15日程度で成虫になります。成虫は血を吸いますが幼虫は成虫の糞や人のフケ、埃、食べこぼしなどを餌とします。
ノミが発生する原因
ノミが発生する原因としては、主に以下のようなことが考えられます。
・屋外で付いたノミが持ち込まれる
・部屋の掃除や換気を怠っている
・ペットのノミ対策が不十分
外出時は衣類などにノミが付くことがあるので、家に帰った際に衣類を払うなどして室内にノミを持ち込まないようにしましょう。またノミの餌となるフケや埃、食べカスなどが溜まるとノミが集まりやすく、湿気を好むため湿度が高い環境にも注意が必要です。
さらにネコノミ・イヌノミなど動物に寄生するノミもいるため、ペットの手入れをきちんとしていないこともノミを発生させる原因のひとつです。
ノミが発生する時期
ノミは高温多湿の環境を好むので、気温15℃〜25℃程度で湿度80%くらいの環境がもっとも生育に適しています。日本の季節でいえば、春〜夏にかけてのシーズンがノミの発生しやすい時期でしょう。
もっとも最近は気密性が高く冬場であっても暖かい環境を保てる建物が多いため、室内であれば冬でもノミは発生します。そのため冬であっても予防対策が必須であり、寒い時期でも対策を怠ってはいけません。
ノミの駆除方法5選!効率よく退治しよう
ノミの駆除の仕方としては、以下のようなものが効果的です。
・駆除剤、スプレーを使用する
・掃除機で吸い取る
・コロコロなどの粘着シートを使う
・乾燥機にかける
・ハッカ油を活用する
以上5つの方法について、順番に解説します。
駆除方法1.駆除剤・スプレーを使用する
市販されている駆除剤には主にスプレータイプ・燻煙剤タイプがあるので、用途に合わせて使い分けましょう。
ノミの発生する箇所が部屋の一部分であり、そこが特定できていればスプレータイプの駆除剤で撃退可能です。一方ノミがどこから発生しているのかわからず、部屋全体を駆除したいのであれば、燻煙剤タイプが向いています。
またノミはペットに寄生していることも多いので、ペットに使用する際は専用の駆除剤を使用してください。おすすめ商品や駆除剤の選び方については、下記の記事で詳しく解説しています。
駆除方法2.掃除機で吸い取る
カーペットやソファーなどのノミが発生しやすい場所に掃除機をかけ、ノミを吸い取ります。
普段の掃除をするなかで気軽におこなえるうえ、死骸や糞も取れるのがメリットでしょう。ただし布団の奥や畳の隙間に潜んでいるノミは、掃除機だけで吸い取ることができないので、この方法で完全にノミを駆除することはできません。
布団には洗濯機や乾燥機をかける、畳には駆除剤を使用するといったように、他の方法と併用するのが効果的です。
駆除方法3.コロコロなどの粘着シートを使う
コロコロなどの粘着シートを使うことで、ノミを吸着させて駆除できます。ノミを素手でとると、寄生虫に寄生されたりノミを潰して卵を飛び散らす危険があるので、ノミを発見したときはこの方法でとるのが一番よいでしょう。
ただし掃除機と同じく表面にいるノミしかとることができないため、根こそぎ駆除する効果はありません。何度とってもノミが発生するようであれば、駆除剤を使うなど別の方法を検討する必要があるでしょう。
駆除方法4.乾燥機にかける
ノミは熱に弱く60度以上の高温では生きられないため、布団などに潜むノミは乾燥機にかけることで駆除できます。目安としては、1~2時間程度乾燥機にかけておくと効果的でしょう。
これと同じ理由でベッドシーツやソファーカバーを高温洗浄の洗濯機で洗ったり、ノミのいる箇所にスチームアイロンをあてたりして駆除することも可能です。
駆除方法5.ハッカ油を活用する
ハッカ油とは、ミントの1種であるハッカソウを乾燥させて、その成分を抽出したオイルのことです。ノミはハッカ油のにおいを嫌うので、ハッカ油を使ってノミの忌避剤となるスプレーを作ることができます。
簡単に作れるうえに安全性も高いため、ノミを避けるにはハッカ油を使うのがおすすめです。詳しい作り方などに関しては、以下の記事を参考にしてください。
ノミ発生の予防対策3選!発生前の対処法
ノミ発生の予防対策としては、以下のような方法があります。
・定期的に掃除する
・部屋を換気する
・ペットがいる場合は定期的にケアする
以上3つの予防対策方法について、それぞれ詳しく説明します。
予防対策1.定期的に掃除する
定期的に掃除することで、ノミの餌となるフケや埃、食べカスなどが部屋に溜まらないようにしましょう。
ソファーカバーやベッドシーツなども取り外し、定期的に洗濯するのも効果的です。掃除を怠ると部屋全体がノミにとって生きやすい場所になるので、定期的な清掃は基本的な予防対策といえるでしょう。
予防対策2.部屋を換気する
ノミは湿気を好むため適度に換気して、湿度を下げるのが効果的です。梅雨から夏場にかけては特に湿度が高くなるので、念入りに換気して湿度が上がりすぎないよう注意してください。
最近では気密性に優れた住宅も増えているため、冬でも部屋を閉め切りにしていると湿度は高くなります。そのためノミ発生の予防対策としては、冬場であっても一日に何度かは換気して空気を入れ変えるようにしましょう。
予防対策3.ペットがいる場合は定期的にケアする
イヌノミ・ネコノミといったペットに寄生するノミもいるので、ペットの定期的なケアも忘れないようにしてください。ブラッシングで汚れを落とし、外から帰って来た時はシャンプーで洗うことで毛に付いたノミを落とすことができます。
ノミに寄生されたときは駆除剤を使って駆除しますが、選ぶのに迷ったら動物病院で診察を受けて処方してもらうのがよいでしょう。イヌノミ・ネコノミの駆除に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
ノミを駆除する際の注意点
ノミを駆除する際には、以下の点に注意しましょう。
・卵が散乱する可能性があるためつぶさない
・無鉤条虫が寄生しているかもしれないので素手で触らない
・駆除剤の成分などをチェックする
以上3点について、それぞれ理由も含めて解説します。
つぶさない:卵が散乱する可能性がある
つぶしたノミが卵を宿した雌ノミであった場合、つぶすことによって卵が散乱し、さらに繁殖してしまう危険があります。ノミは一日に20~50個程度の卵を産むため、ノミをつぶすとその数だけ部屋に卵が散乱することになるのです。
飛び散った卵が家具やカーペットの隙間など手の届きにくい場所に入ってしまうと、駆除できずに残ってしまいます。ノミを発見してもつぶさずに、粘着テープでとるか掃除機で吸い取るようにしましょう。
素手で触らない:無鉤条虫が寄生しているかも
ノミを素手で触ると無鉤条虫(むこうじょうちゅう)に寄生される危険があります。 無鉤条虫とは、ノミに寄生する寄生虫です。
ノミに触ったときに無鉤条虫が手に付いてしまう可能性があり、その手で口に触れると無鉤条虫を体内に取り込んでしまう危険があります。無鉤条虫に感染すると腹痛・下痢などの症状が表れるので、ノミをみつけても素手では触れないように注意してください。
駆除剤の成分などをチェックする
駆除剤には様々な種類があり、それによって成分も異なるのでそれぞれの違いをおさえて使い分けるようにしましょう。たとえばスプレーや燻煙剤でもよく使用されるピレスロイド系の成分は、比較的人体への影響が弱く安全性の高い有効成分です。
そのため赤ちゃんがいる家庭などでも使いやすい成分といえるでしょう。有機リン系の成分も体内ですぐに分解される性質を持っているので、比較的安全性が高い成分です。またペットには専用の駆除剤があるので、そちらを使用すれば問題ありません。
ノミによる被害や病気
ノミによる被害としては、以下のような症例がみられます。
・吸血による貧血
・猫ひっかき病
・アレルギー症状
・瓜実条虫症
以上4つの症状について、順番に解説します。
吸血による貧血
人がノミに刺されて貧血になることはないですが、子猫・子犬の場合ノミから大量に吸血されると貧血を引き起こす可能性があります。
運動力の低下・食欲不振・下痢・嘔吐といった症状がみられたときは、貧血になっていることが考えられるでしょう。貧血に気づいたらすぐにノミを駆除し、それでも症状が改善しないようであれば病院で診察してもらうのがよいです。
猫ひっかき病
猫ひっかき病とは、歯や爪に「バルトネラ・ヘンゼレ」という病原菌を付着させた猫が人を噛んだりひっかいたりしたとき、猫から人に感染することで引き起こされる感染症です。
「バルトネラ・ヘンゼレ」はもともとネコノミが保菌してる病原菌ですが、グルーミングをしたときに猫の歯や爪にこの菌が付き、それがさらに猫から人へと感染します。
猫ひっかき病は猫同士がグルーミングした際に、ネコノミの排泄物をとりこんでしまうことでも感染するので、日ごろから定期的にノミを駆除するなどしてしっかり対策しましょう。
アレルギー症状:かゆみや水ぶくれ
人がノミに刺されるとアレルギー性皮膚炎を発症することがあり、激しい痒みが出ます。また刺された部分を掻いてしまうとそこから細菌が感染し、水ぶくれなどの症状が出ることもあるので注意してください。
軽いかゆみ程度であれば市販のかゆみ止めで対処できますが、痛みや水ぶくれ、発熱などががある場合には病院で診察を受けましょう。猫や犬などがノミアレルギー性皮膚炎を発症するとより深刻であり、湿疹・脱毛といった症状が現れることもあります。
瓜実条虫症
瓜実条虫症とは消化管に寄生する条虫症の一種であり、体に条虫を宿したノミを体内に取り込むことで感染します。
猫がグルーミングのときにノミを飲み込むことで感染することが多いですが、何かの拍子に人の口にノミが入った場合、人にも感染することがあるので注意しましょう。
瓜実条虫に感染しても特に症状が出ないことも多いですが、下痢・嘔吐・痒み・食欲不振などの症状が表れることもあるので、その場合には駆虫薬などによる治療が必要です。
ノミの駆除や予防対策を業者に依頼するのもアリ!
ノミは自分で駆除することもできますが、何度駆除しても再発してしまうことがあります。どんなに予防対策をしても成功しないときは、ノミ駆除の専門業者に依頼するのもよいでしょう。
屋根裏や床下など自分では手の届かない部分までみてもらうことができ、再発しないよう予防対策もしてくれます。さらに業者によっては一定期間の保証も付いているので、万が一再発した場合も心配いりません。
業者に依頼するメリットやおすすめ業者については、以下の記事でも解説しているのでこちらも参考にしてください。
まとめ
ノミは外から持ち込まれてくることが多いので、こまめに掃除して部屋の中で繁殖しないよう注意しましょう。駆除する際は素手で触れたりつぶしたりしないよう注意して、安全性の高い駆除剤を使って駆除するようにしてください。
ノミに刺されると痒みや水ぶくれの他、猫ひっかき病、瓜実条虫症などの症状を引き起こすことがあります。自分で駆除するのが困難な場合は業者に依頼するという手もあるので、きちんと予防対策してノミの被害のない快適な生活を送りましょう。