テレワークを始めてから電気料金の請求額が増え、「パソコンとエアコンのどちらにいくらかかっているのだろう」と気になっている方も多いでしょう。テレワークによる電気代の増加額は、使う家電や勤務時間、季節によって異なります。
自宅で増えた電気代は、家電の消費電力と使用時間、契約中の電力量料金単価から概算できます。基本の計算式は「消費電力(kW)×使用時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)」です。消費電力がWで表示されている場合は、1,000で割ってkWへ換算します。
この記事では、テレワークの電気代を家電別に計算する方法、会社負担や在宅勤務手当の考え方、個人事業主が必要経費にする際の注意点を解説します。仕事や健康に無理が生じにくい節電方法や、電力会社を見直す際に比較したい条件も確認していきましょう。
【目次】好きなところから見れます▼
テレワークの電気代はいくら増える?目安は使用機器と時間で変わる

テレワークで増える電気代には、すべての家庭に共通する固定額がありません。「1日8時間働くと一律でいくら」と考えるのではなく、自宅で追加使用する機器ごとに計算する必要があります。
パソコンやモニターだけであれば、冷暖房を長時間使用する場合に比べて消費電力量が小さくなることがあります。一方、夏や冬にエアコンを勤務時間中ずっと使用すると、冷暖房が増加額の大きな部分を占める可能性があります。
まずは、テレワーク前から使っていた電気と、テレワークによって追加で使う電気を分けて考えましょう。例えば、ルーターを以前から24時間稼働させていた場合、ルーターの電気代全額をテレワークの増加分にするのは適切ではありません。
| 確認する要素 | 電気代が変わる主な理由 | 確認方法 |
|---|---|---|
| パソコン・モニター | 機種、画面数、処理負荷、使用時間が異なる | 本体ラベルやメーカーの製品仕様を見る |
| エアコン | 外気温、設定温度、部屋の広さ、断熱性で変動する | 製品仕様、使用時間、電力表示機能などを確認する |
| 照明 | 消費電力、点灯時間、照明の数が異なる | 電球や照明器具の表示を見る |
| 勤務日数 | 週1日と週5日では月間使用量が異なる | テレワークをした日数を記録する |
| 料金単価 | 契約中の電力会社や料金プランで異なる | 検針票、請求書、契約先の会員ページを見る |
増加額を把握するときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- テレワーク中に使用する家電を洗い出す
- 家電ごとの消費電力と使用時間を確認する
- 契約中の電力量料金単価を確認する
- 1日分を計算し、月間のテレワーク日数を掛ける
テレワークの電気代を計算する方法

テレワークの電気代は、特別な計算ツールがなくても概算できます。必要なのは、機器の消費電力、使用時間、契約中の電力量料金単価の3つです。
ただし、計算できるのは主に使用量に応じて増える部分です。実際の請求額は、基本料金や燃料費等調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などの影響も受けます。
電気代の基本的な計算式
家電1台あたりの電気代は、次の式で概算します。
消費電力(W)÷1,000×使用時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)
例えば、製品表示上の消費電力が60Wのパソコンを8時間使用する場合、消費電力量は次のように計算できます。
60W÷1,000×8時間=0.48kWh
1日分の電力量料金の概算は「0.48kWh×契約中の電力量料金単価」です。月20日使用するなら、月間消費電力量は9.6kWhとなり、「9.6kWh×契約中の単価」で月間の概算額を求められます。
複数の機器を使う場合は、パソコン、モニター、照明、エアコンなどを別々に計算してから合計します。
消費電力をWからkWへ換算する方法
家電の消費電力は、一般的にW(ワット)で表示されています。一方、電気料金の単価はkWh(キロワット時)を基準にしているため、計算前に単位をそろえます。
1kWは1,000Wなので、W表示の数値を1,000で割るとkWへ換算できます。60Wなら0.06kW、500Wなら0.5kWです。
消費電力は、本体やACアダプターのラベル、取扱説明書、メーカー公式サイトの製品仕様などで確認できます。ただし、定格消費電力や最大消費電力が勤務中ずっと続くとは限りません。
パソコンは作業内容によって負荷が変わり、エアコンは室温が安定すると消費電力が変化します。表示値を使った計算は、実際の請求額ではなく概算として扱いましょう。
試算額と実際の請求額が一致しない理由
家電ごとの計算結果を合計しても、電力会社から届く請求額とは一致しないことがあります。家庭の電気料金には、使用量に応じた電力量料金以外の項目も含まれるためです。
テレワーク前後を比較するときは、請求総額だけでなく使用量のkWhも確認してください。使用量と料金単価の両方を見ることで、在宅時間の増加と料金制度の影響を分けて考えやすくなります。
- 基本料金:契約容量や料金プランなどによって決まる部分
- 電力量料金:使用した電力量に応じて計算される部分
- 燃料費等調整額:燃料価格などをもとに調整される部分
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金:使用電力量に応じて加算される部分
請求項目や計算方法は契約先によって異なる場合があるため、現在の検針票や会員ページで内訳を確認しましょう。
家電別に見るテレワークの電気代

テレワークで使用する家電は、それぞれ消費電力と使い方が異なります。固定額をそのまま当てはめるのではなく、自宅で使っている製品の表示を確認して計算することが重要です。
特にエアコンは、同じ機種でも外気温や設定温度によって消費電力が変わります。家電別の金額はあくまで使用条件に応じた概算として考えましょう。
パソコン・モニターの電気代
パソコンの電気代は、ノートパソコンかデスクトップパソコンか、外付けモニターを使うか、どのような処理をするかによって変わります。
パソコン本体だけでなく、外付けモニターやドッキングステーションなども別の機器として加算します。製品ごとの消費電力と使用時間を確認してください。
例えば、消費電力60Wのパソコンと30Wのモニターを8時間使うと仮定した場合、1日の消費電力量は次のとおりです。
- パソコン:60W÷1,000×8時間=0.48kWh
- モニター:30W÷1,000×8時間=0.24kWh
- 合計:0.72kWh
実際の消費電力は、文書作成、オンライン会議、動画編集などの作業内容でも変動します。より正確に確認したい場合は、電力測定機器や機器の電力表示機能を利用する方法もあります。
エアコンの電気代
テレワークで冷暖房を長時間使用する家庭では、エアコンが電気代の増加に大きく影響する場合があります。
エアコンの消費電力は一定ではなく、外気温、設定温度、部屋の広さ、断熱性、日当たりなどによって変動します。カタログ上の数値だけで実際の金額を断定することはできません。
製品仕様に冷房時・暖房時の消費電力が掲載されている場合は、試算の参考にできます。ただし、記載されている数値が定格値なのか、消費電力の範囲なのかを確認してください。
冷房と暖房のどちらが高くなるかも、地域や気温、住宅性能、設定条件で異なります。「暖房は必ず冷房より高い」と一律に判断せず、自宅の使用実績を確認することが大切です。
照明の電気代
照明の電気代は、照明器具の消費電力、点灯する数、勤務中の点灯時間から計算できます。
「LEDなら一律で何円」と考えず、使用中の電球や照明器具に表示された消費電力を確認しましょう。同じLEDでも、明るさや製品によって消費電力は異なります。
例えば、消費電力20Wの照明を8時間使用する場合、1日の消費電力量は0.16kWhです。月20日なら3.2kWhとなり、3.2kWhに契約中の電力量料金単価を掛けて月間の概算額を求められます。
日中に自然光を取り入れられる場合は、画面の見やすさや目の負担に配慮しながら点灯範囲を調整する方法もあります。
ルーター・充電器・周辺機器の電気代
テレワーク中は、Wi-Fiルーター、スマートフォンの充電器、プリンター、スピーカー、USB機器なども使用します。
周辺機器は、テレワークによって新たに増えた使用時間だけを増加分として考えます。以前から常時稼働していたルーターの電気代全額を、在宅勤務による追加費用に含めないようにしましょう。
プリンターのように使用時間が短い機器は、勤務時間すべてではなく、実際に印刷した時間や回数をもとに考えます。使っていない外付け機器を接続したままにしていないかも確認してください。
| 機器 | 消費電力の確認場所 | 計算時の注意点 |
|---|---|---|
| パソコン | 本体、ACアダプター、製品仕様 | 作業負荷によって変動する |
| モニター | 背面ラベル、製品仕様 | 画面の明るさや表示内容でも変わる |
| エアコン | 製品仕様、電力表示機能 | 気温や部屋の条件による変動が大きい |
| 照明 | 電球、照明器具の表示 | 点灯数と点灯時間を確認する |
| ルーター | ACアダプター、製品仕様 | 以前からの使用分と追加分を分ける |
| プリンター | 製品仕様 | 待機時と印刷時の消費電力を分ける |
1日・1か月のテレワーク電気代を試算する手順

家電別の数値を確認したら、1日分と1か月分を順番に計算します。実際の働き方に近い条件を設定し、冷暖房あり・なしの両方を試算すると負担の違いを把握しやすくなります。
計算に使う数値は、インターネット上の平均値よりも、自宅で使用している機器の製品表示や使用記録を優先しましょう。
使用する機器と消費電力を確認する
最初に、勤務中に電源を入れる機器をすべて洗い出します。パソコンだけでなく、モニター、照明、エアコン、ルーター、プリンターなども確認しましょう。
消費電力が分からない機器は、本体ラベル、取扱説明書、メーカー公式サイトの順に確認します。最大消費電力しか分からない場合は、計算結果が実際より大きくなる可能性も考慮してください。
- 常時使用する機器:パソコン、モニター、照明など
- 季節によって使う機器:エアコン、電気ヒーター、加湿器など
- 必要なときだけ使う機器:プリンター、スキャナー、スピーカーなど
- 以前から常時稼働している機器:ルーター、ネットワーク機器など
1日の使用時間と月間の勤務日数を設定する
次に、機器ごとの1日あたり使用時間と、1か月のテレワーク日数を設定します。すべての機器を勤務時間と同じ8時間で計算する必要はありません。
休憩中に電源を切る機器や、オンライン会議中だけ使う機器は、実際の稼働時間に近づけて計算します。
月間の消費電力量は、次の式で概算できます。
1日の消費電力量×月間のテレワーク日数
週によって勤務日数が異なる場合は、カレンダーや勤怠記録を見ながら実際の日数を数えます。出社日や休暇日まで一律に含めないようにしましょう。
冷暖房あり・なしのケースを比較する
冷暖房の使用は、テレワーク電気代の試算結果を大きく変える場合があります。年間を一つの固定額で考えず、冷暖房を使わない月と、夏・冬の月を分けて計算しましょう。
以下は、計算方法を理解するための仮定例です。実際の消費電力や料金単価を示すものではないため、自宅の機器と契約内容に置き換えてください。
冷暖房を使わない場合の試算例
パソコン60W、モニター30W、照明20W、テレワーク開始後に追加使用する周辺機器10Wを、それぞれ1日8時間、月20日使うと仮定します。
4機器の合計消費電力は120Wで、月間消費電力量は19.2kWhです。月間の電力量料金の概算は「19.2kWh×契約中の電力量料金単価」で求めます。
冷暖房を使う場合の試算例
上記の機器に加え、エアコンの消費電力が平均して500W相当で推移したと仮定します。実際のエアコンは運転状況によって消費電力が変動するため、計算上の例として確認してください。
500Wのエアコンを1日8時間、月20日使うと、計算上は80kWhが追加されます。ほかの機器と合わせた月間消費電力量は99.2kWhです。
| 機器 | 仮定した消費電力 | 1日の使用時間 | 月20日の消費電力量 |
|---|---|---|---|
| パソコン | 60W | 8時間 | 9.6kWh |
| モニター | 30W | 8時間 | 4.8kWh |
| 照明 | 20W | 8時間 | 3.2kWh |
| 追加使用する周辺機器 | 10W | 8時間 | 1.6kWh |
| エアコン | 平均500Wと仮定 | 8時間 | 80.0kWh |
| 合計 | - | - | 99.2kWh |
この例でも、冷暖房を加えると消費電力量が大きく変わります。ただし、エアコンの実際の消費電力は一定ではないため、請求書の使用量や電力表示機能も併せて確認しましょう。
テレワークの電気代が高くなりやすい条件

同じパソコンを同じ時間使用しても、テレワークの電気代は家庭によって異なります。特に確認したいのは、冷暖房の使用状況、部屋の環境、テレワーク日数、契約中の料金プランです。
請求額が高くなったときは、すぐに一つの家電だけを原因と決めつけず、使用量と生活状況を前月・前年同月と比較しましょう。
夏・冬など冷暖房を長時間使う
夏や冬は、勤務中にエアコンを使う時間が増えやすくなります。外気温と設定温度の差が大きい日や、室温が安定しにくい部屋では、消費電力が増える場合があります。
冷房と暖房のどちらが高くなるかは、地域、気温、機種、住宅性能、使い方によって変わります。一律の金額や順位では判断できません。
季節別の負担を把握するには、冷暖房を使わない月と使う月の使用量を比較する方法が分かりやすいでしょう。前年同月の使用量も確認すると、気温による影響を考えやすくなります。
広い部屋や温度調整しにくい部屋で働く
広いリビングや吹き抜けのある部屋では、仕事をする場所だけでなく広い範囲を冷暖房することがあります。また、窓が大きい部屋や断熱性が低い部屋では、外気温の影響を受けやすくなります。
節電だけを理由に無理に狭い部屋へ移るのではなく、必要な範囲を効率よく空調できる作業場所を選びましょう。
部屋を選ぶ際は、広さだけでなく、日当たり、窓の位置、換気のしやすさ、通信環境、作業スペースも確認します。仕事のしやすさや体調を損なわないことが前提です。
テレワークの日数や勤務時間が長い
週1日のテレワークと週5日のテレワークでは、パソコンや冷暖房を使う日数が異なります。残業や早朝勤務が多い場合は、照明や空調の使用時間も長くなります。
月間の増加額を知るには、標準的な1日ではなく、その月に実際に在宅勤務をした日数を使って計算してください。
勤務時間が不規則な方は、1週間程度でも機器の使用時間を記録すると、試算しやすくなります。休憩時間や業務終了後の消し忘れも確認しましょう。
契約中の料金プランが使い方に合っていない
同じ電力量を使っても、契約中の電力会社や料金プランによって請求額は異なります。テレワークによって日中の使用量が増えた場合、以前の生活に合わせて選んだプランが現在の使い方に合わなくなることもあります。
料金プランを見直す前に、直近数か月分の使用量と請求総額を確認しましょう。1か月だけでは、季節や一時的な使用増の影響を受けやすいためです。
見直す際は、電力量料金だけでなく、基本料金、燃料費等調整額の扱い、契約条件、解約条件も含めて比較します。
テレワークの電気代は誰が負担する?会社負担は規程で決まる

テレワーク中の電気代や通信費を、会社が必ず全額負担するという一律のルールがあるわけではありません。実際の負担方法は、勤務先の就業規則やテレワーク勤務規程、費用精算規程などで確認します。
会社によって、実費精算、定額の在宅勤務手当、従業員負担などの扱いが異なります。自己判断で請求せず、申請条件と必要書類を先に確認しましょう。
会社が全額負担する一律ルールはない
厚生労働省のテレワーク総合ポータルでは、テレワークに伴う通信費や水道光熱費などについて、労使で十分に話し合い、就業規則やテレワーク勤務規程などに定めることが望ましいと案内されています。
会社員の場合、電気代を会社へ請求できるかどうかは勤務先のルールによって決まります。仕事で使ったことだけを理由に、必ず全額が支給されるとは限りません。
勤務先が実費精算を採用している場合でも、計算方法、対象日数、提出期限、上限などが定められていることがあります。人事、総務、経理の担当部署へ確認してください。
費用負担の基本的な考え方は、厚生労働省のテレワーク総合ポータルや、テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインでも確認できます。
従業員負担を定める場合は就業規則などを確認する
テレワークに必要な費用を従業員に負担させる定めを置く場合、就業規則の作成義務がある使用者は、その内容を就業規則などに定める必要があります。
電気代が自己負担と説明された場合も、口頭の案内だけでなく就業規則や関連規程を確認しましょう。
- 電気代や通信費を誰が負担するか
- 実費精算か定額手当か
- 対象となる勤務日と費用の範囲
- 申請方法と申請期限
- 請求書や勤務記録の提出が必要か
- 精算額の上限や計算方法
規程の内容が分かりにくい場合は、担当部署へ「どの費用が対象か」「どの計算式を使うか」を具体的に質問すると確認しやすくなります。
通信費や備品費も勤務先の規程を確認する
テレワークでは、電気代以外にインターネット回線、通信機器、デスク、モニター、プリンター用品、文房具などの費用が発生することがあります。
電気代と通信費、備品費は、同じ扱いとは限りません。費目ごとに会社負担の条件が分かれている場合があります。
| 費用 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 電気代 | 実費精算か定額手当か、計算方法、対象日数 |
| 通信費 | 回線料金やモバイル通信費が対象か |
| パソコン・モニター | 会社貸与か、個人購入時の補助があるか |
| プリンター用品 | 業務上必要な印刷が精算対象か |
| 机・椅子 | 購入補助や貸与制度があるか |
固定回線を以前から契約している場合、テレワークを始めても月額料金が増えないケースがあります。一方、業務のために新しい回線や機器を契約した場合は、契約前に会社の承認が必要か確認しましょう。
在宅勤務手当と実費精算で税金の扱いはどう変わる?

会社から支給される費用が「在宅勤務手当」と呼ばれていても、すべて同じ税務上の扱いになるわけではありません。業務使用分の実費精算なのか、返還を求めない一律の手当なのかによって扱いが変わります。
従業員側で判断せず、勤務先の支給規程と給与明細上の処理を確認してください。
業務使用分を合理的に実費精算する場合
国税庁の在宅勤務費用に関するFAQでは、従業員が負担した電気料金のうち、業務に使用した部分を合理的に計算して会社が精算する方法が示されています。
合理的に算出された業務使用分を実費精算する場合、その精算額は給与として課税する必要がない扱いが示されています。
ただし、従業員が任意の金額を申請すればよいわけではありません。会社が定める計算方法と証拠書類に基づいて精算することが前提です。
税務上の基本的な取り扱いは、国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」で確認できます。
一律の在宅勤務手当が支給される場合
勤務日数や実際の電気代にかかわらず、毎月一定額が支給される在宅勤務手当もあります。
一律の在宅勤務手当は、支給方法によって給与課税の扱いが変わります。手当という名称だけで、課税または非課税を判断することはできません。
支給額を使い切らなかった場合にも返還が不要なのか、勤務日数に応じて計算されるのか、実費の証明が必要なのかを確認しましょう。給与明細の支給項目や課税対象額を見ることも重要です。
会社員が確認したい書類と問い合わせ先
会社員が在宅勤務費用の扱いを確認するときは、制度名だけでなく、支給条件と税務処理を確認します。
就業規則、テレワーク勤務規程、費用精算規程、給与明細の4点を確認すると整理しやすくなります。
- 就業規則やテレワーク勤務規程
- 経費精算のマニュアル
- 在宅勤務手当の支給条件
- 給与明細の課税・非課税区分
- 勤務日数や領収書の提出方法
社内制度については人事・総務・経理、個別の税務判断については税務署や税理士などが確認先となります。同僚の処理をそのまま自分へ当てはめないようにしましょう。
個人事業主はテレワークの電気代を必要経費にできる?

個人事業主が自宅で仕事をしている場合、事業に使用した電気代を必要経費として扱えることがあります。ただし、自宅の電気を家事にも使用している場合は、全額をそのまま事業経費にするのではありません。
家事用と事業用を合理的な基準で按分し、事業に使用した部分を区分します。按分率だけでなく、その根拠を説明できるようにしておくことが重要です。
家事用と事業用を合理的に按分する
家事按分では、自宅の電気代のうち、仕事に使用した割合を合理的に見積もります。一律に認められる割合が決まっているわけではありません。
実際の使用状況を説明できる基準を選び、継続して同じ考え方で計算しましょう。
- 仕事専用スペースが自宅全体に占める割合
- 1日のうち業務に使用した時間
- 月間の業務日数
- 仕事用機器の消費電力量
例えば、仕事専用の部屋を使用している場合と、家族も使うリビングで一時的に仕事をしている場合では、合理的な按分方法が異なります。実態に合わない高い割合を設定しないことが大切です。
按分の根拠と電気料金の資料を残す
電気代を必要経費に計上する場合は、支払った金額だけでなく、事業使用分をどのように算出したか分かる資料を残します。
請求書、使用量、業務日数、按分計算表をまとめて保管しておくと、計算根拠を説明しやすくなります。
- 電気料金の請求書や領収書
- 月ごとの使用電力量が分かる明細
- テレワークをした日数や業務時間の記録
- 仕事用スペースの面積が分かる資料
- 按分率と計算過程を記載した表
月ごとに按分方法を変える場合は、変更した理由も記録します。仕事の実態が変わっていないのに、都合のよい月だけ割合を変えることは避けましょう。
判断に迷ったときの確認先
家事按分は、住居の使い方や事業内容によって判断が異なります。自宅兼事務所の状況や使用機器が複雑な場合は、一般的な例だけで判断しないほうが安全です。
按分率や対象費用に迷った場合は、税務署や税理士へ具体的な使用状況を伝えて確認しましょう。
在宅で仕事をする方の税務に関する基礎情報は、厚生労働省ホームワーカーズウェブでも確認できます。会社員の実費精算と個人事業主の必要経費は、別の制度として整理してください。
テレワーク中の電気代を抑える節電方法

テレワークの節電では、室温や照明を無理に制限するよりも、家電を効率よく使うことが大切です。冷暖房、パソコン、モニター、照明の設定を一つずつ見直しましょう。
節電効果は住宅や機器によって異なるため、固定額で判断せず、使用量の変化を請求書や会員ページで確認しながら続けます。
エアコンは必要な部屋だけ効率よく使う
冷暖房の使用時間が長い方は、エアコンの使い方から見直すとよいでしょう。極端な設定温度にするのではなく、体調と作業効率を保てる範囲で調整します。
フィルター清掃や空気の循環、日射対策を組み合わせ、必要な部屋を効率よく空調することがポイントです。
- フィルターの汚れを定期的に確認する
- カーテンやブラインドで日射や外気の影響を抑える
- サーキュレーターなどで室内の空気を循環させる
- 使用していない部屋まで冷暖房しない
- 頻繁な電源操作より、室温や外出時間に合わせて運転を調整する
短時間の外出時に電源を切るべきかどうかは、外気温、機種、部屋の状態によって異なります。一律の使い方ではなく、自宅のエアコンの説明書や使用状況を確認してください。
パソコンとモニターの設定を見直す
パソコンやモニターは、勤務日ごとに長時間使うため、小さな見直しでも継続しやすい節電策になります。
一定時間操作しないときにスリープへ移行する設定や、必要以上に高くなっている画面輝度を見直しましょう。
- 短時間の離席時にスリープ機能を利用する
- 画面の見やすさを保てる範囲で輝度を調整する
- 使用していない外付けモニターの電源を切る
- 未使用のUSB機器や周辺機器を外す
- 省電力設定が業務に支障を与えないか確認する
スリープによって通信が切断されたり、処理中の作業が止まったりすることもあります。重要なデータを保存し、業務用システムの利用条件も確認したうえで設定してください。
照明・待機電力・勤務時間帯を見直す
照明や周辺機器は、1台あたりの消費電力が小さくても、使用する数や時間によって月間使用量が増えます。
必要な場所だけを照らし、使っていない機器の電源や待機状態を見直しましょう。
- 作業場所に必要な照明だけを点灯する
- 自然光を利用できる時間は照明を調整する
- 業務終了後にモニターやプリンターの電源を確認する
- 充電が完了した機器を必要以上に接続し続けない
- 時間帯別の料金設定がある場合は、勤務時間との相性を確認する
勤務時間を変える場合は、会社のルールや取引先との連絡時間を優先します。電気料金だけを理由に、業務に支障が出る時間帯へ移す必要はありません。
健康や作業効率を損なう節電は避ける
電気代を抑えるために、暑さや寒さを我慢したり、暗い部屋で長時間作業したりするのは避けましょう。
節電よりも、適切な室温、照明、換気、休憩を確保することが優先です。体調を崩したり集中力が落ちたりすれば、仕事の継続が難しくなります。
節電策を取り入れた後は、室温や画面の見やすさ、肩や目の疲れ、作業速度に問題がないか確認してください。無理なく続けられる方法だけを残しましょう。
電力会社・料金プランを見直すときの比較ポイント

節電を続けても請求額が気になる場合は、電力会社や料金プランを比較する方法があります。ただし、電力会社の切り替えは、家電の消費電力量そのものを減らす方法ではありません。
同じ使用量でも契約条件によって請求額が変わる可能性があるため、自宅の使用実績に合うプランを比較します。
乗り換える前に毎月の使用量を確認する
料金プランを比較するときは、最初に直近の電気使用量を確認します。検針票や電力会社の会員ページから、月ごとのkWhを整理しましょう。
夏・冬と中間期では使用量が異なるため、可能であれば複数月分を用意してください。
- 月ごとの使用電力量
- 月ごとの請求総額
- 契約容量や契約プラン名
- テレワークの日数
- 冷暖房を使用した時期
使用量が分からないまま「安いと紹介されているプラン」だけを選ぶと、自宅では想定どおりにならないことがあります。
料金単価だけでなく請求総額を比較する
電力会社の比較では、目立つ料金単価だけを見るのではなく、自宅の使用量を当てはめた請求総額を比べます。
基本料金、電力量料金、燃料費等調整額の扱いなどを含め、同じ使用量・同じ期間で比較してください。
キャンペーンが実施されている場合も、特典だけで決めず、適用条件や受取時期、通常料金を確認します。特典終了後も継続しやすい料金かを見ることが大切です。
供給エリア・契約条件・解約条件を確認する
電力会社や料金プランによって、申し込める地域や契約条件が異なります。比較記事で候補を絞った後は、各社の公式サイトで自宅が対象か確認しましょう。
申し込み前に、供給エリア、契約期間、解約条件、支払い方法を確認してください。
- 自宅の住所が供給エリア内か
- 現在の設備や契約種別で申し込めるか
- 契約期間の定めがあるか
- 解約時に確認すべき条件があるか
- 希望する支払い方法に対応しているか
料金、供給エリア、キャンペーン、契約条件、解約条件は変更されることがあります。申し込み時点の公式情報を基準に判断しましょう。
複数の電力会社を同じ条件で比較する
比較するときは、電力会社ごとに異なる使用量や期間を使わず、同じ条件を当てはめます。
現在のプランを基準に、候補となる複数社の請求額と契約条件を横並びで確認しましょう。
| 比較項目 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 使用量 | 同じ月間使用量を当てはめる | 1か月だけで判断しない |
| 請求総額 | 基本料金などを含めて比較する | 一部の単価だけで比べない |
| 燃料費等調整額 | 算定方法などを確認する | 時期により変動する場合がある |
| 供給エリア | 自宅の住所が対象か確認する | 地域や設備で条件が異なる |
| 契約・解約条件 | 契約期間や解約時の条件を見る | 申し込み時の公式情報を確認する |
| キャンペーン | 適用条件と受取方法を見る | 特典だけで契約先を決めない |
全国の候補を広く確認したい方や、東京電力エリア・関東エリアで比較したい方は、以下の関連記事も参考にしてください。


個別の電力会社も比較候補に含める場合は、自宅の使用量を同じ条件で当てはめたうえで判断しましょう。
テレワークの電気代に関するよくある質問

テレワークの電気代について、会社員や個人事業主が疑問を感じやすいポイントをまとめました。金額や会社負担、税務上の扱いは、使用条件や勤務先の規程によって異なります。
テレワークを1日8時間すると電気代はいくら増えますか?
使用するパソコン、モニター、照明、エアコンの消費電力と、契約中の料金単価によって異なるため、一律の金額はありません。
各機器について「消費電力÷1,000×8時間×電力量料金単価」で計算し、合計してください。
1か月分は、1日分の消費電力量または電力量料金の概算に、実際のテレワーク日数を掛けます。冷暖房を使う日と使わない日を分けると、より実態に近づきます。
テレワークの電気代は会社に請求できますか?
会社が必ず全額負担する一律ルールがあるわけではなく、勤務先の規程によって異なります。
就業規則、テレワーク勤務規程、費用精算規程で、対象費用と申請方法を確認してください。
実費精算が認められている場合も、勤務日数、計算式、提出書類、申請期限などが定められていることがあります。申請前に人事・総務・経理へ確認しましょう。
在宅勤務手当には税金がかかりますか?
在宅勤務手当の税務上の扱いは、支給方法によって異なります。
合理的に計算した業務使用分の実費精算と、一律に支給される手当は分けて考えます。
手当の名称だけでは判断できないため、勤務先の規程や給与明細を確認してください。個別の税務判断が必要な場合は、勤務先の給与担当者、税務署、税理士などへ相談しましょう。
パソコンとエアコンではどちらの電気代が高いですか?
冷暖房を長時間使う場合は、エアコンの消費電力量がパソコンより大きくなる可能性があります。ただし、機種や使用条件によって異なります。
自宅の機器の消費電力と使用時間をそれぞれ計算し、同じ料金単価で比較してください。
エアコンは外気温や部屋の環境で消費電力が変わるため、製品仕様だけでなく、使用月の電力使用量も確認すると判断しやすくなります。
個人事業主は電気代の全額を経費にできますか?
自宅の電気を家事と事業の両方に使っている場合、全額ではなく事業使用分を合理的に按分します。
仕事専用スペース、業務時間、勤務日数、仕事用機器の使用状況などをもとに按分し、根拠を残してください。
一律の按分率が決まっているわけではありません。自宅や事業の状況に合う方法か判断できない場合は、税務署や税理士へ確認しましょう。
電力会社を変えるとテレワークの電気代は安くなりますか?
現在の使用量と料金プランの組み合わせによっては、請求額が下がる可能性があります。ただし、すべての家庭で安くなるとは限りません。
現在の請求総額と候補プランを、同じ使用量・同じ期間で比較してください。
電力量料金だけでなく、基本料金、燃料費等調整額の扱い、供給エリア、契約条件、解約条件も確認します。申し込み時点の公式情報を基準に判断しましょう。
まとめ|電気代を計算し、勤務先の規程と節電策を確認しよう
テレワークで増える電気代には一律の金額がなく、使用する家電、勤務時間、季節、契約中の料金単価によって変わります。
まずは「消費電力÷1,000×使用時間×電力量料金単価」の式で、家電ごとの増加額を計算しましょう。消費電力がkWで表示されている場合は1,000で割る必要はありません。特に冷暖房を使う月は、冷暖房なしの月と分けて試算すると負担を把握しやすくなります。
- 家電ごとの消費電力と使用時間を確認する
- 契約中の電力量料金単価を使って計算する
- 会社負担は就業規則やテレワーク勤務規程で確認する
- 実費精算と一律の在宅勤務手当を分けて考える
- 個人事業主は事業使用分を合理的に按分する
- 健康と作業効率を損なわない範囲で節電する
節電しても負担が気になる場合は、直近数か月分の使用量と請求額を確認したうえで、電力会社や料金プランを比較します。料金の一部だけでなく、請求総額や契約条件まで確認して判断することが大切です。

