ダニの中には動物の血液を好む「吸血性のダニ」がいます。吸血性のダニに噛まれると、強いかゆみがあるだけでなく数々の感染症を引き起こす可能性もあるのです。
しかし、ダニに噛まれたからといって無理やり引き抜こうとしてはいけません。ダニは強い顎を皮膚に食い込ませて吸血するため、引っ張ると体だけがちぎれて頭が皮膚内に残ってしまう可能性があるのです。
また、メスのダニをつぶすと卵が飛び散り、室内で繁殖する原因にもなりかねません。このように、ダニは一度吸血されると非常に厄介な害虫です。そこで本記事では、ダニ対策や予防について詳しく解説します。
【ペット】犬・猫にダニが寄生する原因とは?
犬や猫にダニが寄生する原因はさまざまです。たとえば外へ散歩に出かけた際に、草むらや道にいたダニが身体に付着して、そのまま家へ帰ってしまう場合があります。また、犬や猫だけでなく人間が外からダニやノミを持ち込んでしまうケースもしばしば。
ダニは外だけでなく、家の中でも畳や部屋の隅など湿度が高く暗い場所に潜んでいる傾向があります。こうした場所に潜むダニが知らない間に身体へ付着し、ペットへ寄生してしまうのです。
ちなみにダニは9割以上が卵やさなぎの姿で発見されますが、血を吸うようになるのは成虫からです。そのため卵やさなぎは成虫になるまでに駆除すれば問題ありません。
犬・猫にダニが寄生した際に出る症状
犬や猫に吸血性のダニが寄生した場合、皮膚にしっかりと噛みついて血を吸います。特にマダニに吸血されると強いかゆみが伴うため、ペットがしきりに吸血部をかく仕草が見られます。また、ダニを媒介してさまざまなウイルスに感染してしまうことも。
たとえばアレルギー性皮膚炎や貧血、ダニ麻痺症といった症状が挙げられます。またミミヒゼンダニというダニに噛まれると、耳の中を黒い耳垢が覆うといった症状が出ます。かゆみもあるため、ペットが耳をかきむしるといった症状で気付く場合も。
放っておくと耳が炎症を起こしてしまうだけでなく、中耳炎やほかの感染症の原因になる場合もあります。
犬・猫のダニは人間にも移る?
犬や猫に付いたダニは、人間に移る場合もあります。
ペットが一ヶ所ダニに刺されたからといってあまり神経質になる必要はありませんが、ダニはさまざまな細菌やウイルスを持っていることを把握しておきましょう。
中でもマダニはさまざまな疾患を媒介します。人間に移ると、貧血や高熱、頭痛、呼吸困難など重篤な症状を引き起こす疾患もあります。最悪の場合は死亡することも。また、ダニやノミの死骸でアレルギーを発症する人もいます。
犬・猫に寄生したダニの見つけ方
ダニは湿気のこもった暗い場所を好みます。そのため、犬や猫の身体の中でも耳や脇のした、首輪の周りや尻尾の内側、内ももといった場所によく寄生します。
ダニを探す場合はペットの身体にそっと手を当て、身体のラインに沿って優しく撫でましょう。しこりのようなものが手に当たった場合は、ノミやダニである可能性があります。
また、ブラッシングしたあとのブラシや抜けた毛をチェックするのも有効です。ダニやノミ本体だけでなく、虫の糞が付いている可能性があります。糞だと思われる黒い粒を見つけたら、濡れたティッシュの上に置いてみましょう。赤くにじんだら、ダニの糞である可能性が高いです。
犬・猫に寄生したダニの駆除方法や取り方
犬や猫にダニが寄生した場合、自分で取ろうとせず動物病院で取ってもらうのがもっとも安全です。自分で取る方法もありますが、ダニの卵が飛び散るリスクや、人間への寄生リスクがあることを踏まえておく必要があります。
駆除方法1.専用のピンセットで取る
ダニは手で引っ張ったり、通常のピンセットで引き抜こうとしてもなかなか取れません。なぜならダニにはするどい顎があり、皮膚に顎をしっかりと食い込ませて抜けないようにしているからです。無理に引き抜こうとするとダニの胴体だけが取れ、頭はペットの体内に残ってしまいます。
またダニがメスだった場合、胴体がつぶれると卵が飛び散って室内でダニを繁殖させてしまうことにもなりかねません。そのため、引き抜くには専用のピンセットが必要となります。ダニ取り用のピンセットは通販で購入可能です。使う際はダニをつぶさないよう、慎重に行いましょう。
駆除方法2.酢やアルコールを使
“続いて有効なのは、酢やアルコールを使う方法です。コットンにたっぷり酢またはアルコールをしみこませ、ダニにかぶせましょう。
このときのコツは、ダニの口元にしっかりと酢やアルコールがしみこむようにぴったりとかぶせることです。10分ほど放置し、コットンを取るとダニも一緒に取れる場合があります。
その際ペットの目に酢やアルコールが入らないよう、注意しましょう。この方法で取れない場合は動物病院へ行くことをおすすめします。
駆除方法3.専用シャンプーを使う
ダニ取り専用のシャンプーを使うのも1つの手です。
動物用シャンプーの中には、ダニを殺虫する有効成分「フェノトリン」が含まれているシャンプーがあります。こうしたシャンプーを使うことで寄生したダニを駆除し、新たなダニの予防も可能です。商品を選ぶ際は、低刺激で犬や猫の皮膚に優しいものを選びましょう。
また、既に皮膚炎や傷のあるペットへの使用は避けましょう。シャンプーの成分が染みて痛みを伴ったり炎症が悪化したりする場合があります。
駆除方法4.駆除薬を使う
4つめは、ダニやノミの駆除剤を使う方法です。ペットに使えるダニやノミの駆除剤は、ホームセンターや通販などで手軽に購入できます。直接皮膚に付けるものから、置き型でダニを捕獲するものまでさまざまです。
用途に合わせて商品を選ぶ必要がありますが、必ずペットのいる環境で使用できる商品を選びましょう。中にはペットのいる場所で使うことを想定されていない駆除スプレーなどもあるため、注意が必要です。また駆除剤がペットの目や口に入らないよう、注意して使いましょう。
駆除方法5.動物病院に連れていく
動物病院に連れて行く方法が、もっともリスクがなく安心です。
ダニやノミやさまざまな病気を媒介するため、噛まれたらできるだけ速やかに取り除くことが望ましいとされています。そのため、近くにすぐ行ける動物病院があれば自分で色々な方法を試す前に連れて行っても良いでしょう。
皮膚炎といった症状が悪化してから治療を始めると、通院が長引く場合もあります。日頃からダニやノミのチェックをして、見つけたらできるだけ早めに獣医の先生へ診てもらいましょう。
犬・猫にダニを寄せ付けないための予防対策
ダニやノミは、そもそも犬や猫に寄せ付けない予防が大切です。具体的には、日ごろから以下のポイントを意識しましょう。
・草むらを避けて散歩する
・野良犬や野良猫に近寄らせない
・ブラッシングをする
・室内をきれいに保つ
予防対策1.草むらなどを避ける
ダニやノミは草むらなどに多く生息しています。そのためペットを散歩させる際は、草むらにあまり入って行かないよう配慮することでダニやノミの寄生を防げるでしょう。
また猫は自由に外に出て行せず、散歩の際はリードを付けるといった工夫が必要です。どうしても散歩で草むらに入ってしまう場合は、家へ帰って来てらブラッシングやシャンプーをして清潔に保ちましょう。
予防対策2.野良犬・猫に近寄らせない
野良の生き物から寄生虫をもらあわないよう、ペットは野良犬や野良猫に近づけないようにしましょう。
ダニやノミだけでなく、さまざまな感染症や寄生虫の予防にも繋がります。野良犬や野良猫は、ダニやノミに寄生されている場合が非常に多いです。特に寄生されると黒い耳垢が出る「ミミヒゼンダニ」は、野良犬や野良猫に寄生している確率の高いダニです。
予防対策3.ブラッシングをする
ペットをしっかりブラッシングして、毛並みや皮膚を清潔に保つこともダニやノミ予防につながります。普段は一般的なくしでブラッシングすれば問題ありませんが、ダニやノミがついてしまった場合はダニ取り用のくしを使ってブラッシングしましょう。
またブラッシングは、散歩から帰ってきたときとシャンプーをしたあとに行うのが効果的です。散歩にあまり行かない場合や完全に室内飼育の場合は、1日に1回ほどの頻度でブラッシングするのが理想です。
予防対策4.室内の対策もする
室内をきれいに保つことも、ダニやノミの予防につながります。
たとえば畳やカーペットにはダニやノミが潜みやすいため、定期的に掃除機をかけましょう。また掃除機だけでなく、粘着テープのローラーを使うとダニがよく取れます。またダニは熱に弱い性質があるため、晴れている日に布団を天日干しするのも効果的です。
布団乾燥機や布団クリーナーがある場合は、積極的に使ってダニを予防しましょう。詳しくは、以下の記事もご覧ください。
【ペット】犬・猫のダニ対策におすすめのグッズ
ここからは、犬や猫のダニ対策におすすめのグッズを紹介します。価格も手ごろで、有効成分の入っている商品を多数ピックアップしました。ペットの身体に直接使用するものからお部屋のダニ予防に使えるものなど、種類別に解説するためぜひ用途に合わせてお使いください。
おすすめグッズ1.アース・ペット ダニノミとり粉
すでにダニやノミに噛まれてしまったペットにもおすすめの商品です。
粉を患部に適量ふりかけ、毛に馴染ませます。そして2~3分放置し、ブラッシングするとダニやノミがポロリと取れる薬です。有効成分のフェノトリンが含まれており、駆除にも予防にも使えるのが特徴です。無香料のため、ペットへの負担も人間へのストレスもありません。
おすすめグッズ2.サンスポット 薬用 大型犬用 3.2g×3本入
この商品は首から尾にかけて薬液をポタポタと垂らすことで、1ヶ月ほどダニやノミ予防の効果が持続します。本商品は大型犬用で3ヶ月分の内容量ですが、別商品で小型犬用や猫用もあります。
ダニやノミへの有効成分フェノトリンのほか、ジョチュウギクエキスやピリプロキシフェンといった有効成分も配合。愛犬や愛猫をしっかり寄生虫から守ります。
おすすめグッズ3.アース・ペット 薬用 ダニ・ノミ退治 400g
この商品は室内のダニやノミを駆除するためのグッズです。2ヶ月に一度、規定量をカーペットなど気になる場所に振りかけ、30分放置してから掃除機をかけるだけ。この間ペットは他の場所に移動させましょう。
掃除機で吸った粉は燃えるごみとして捨てられます。洗濯機で洗えないカーペットも、本商品を使えばダニやノミのリスクを低く抑えられます。
おすすめグッズ4.アース・ペット 薬用ノミマダニとり&蚊よけ首輪 子犬用
この商品はペットに付ける首輪タイプのダニ・ノミよけです。ダニやノミへの有効成分が含まれているため、散歩で草むらへ入って行きたがるペットにおすすめ。
また本商品は子犬用ですが、成長に合わせて長さを調節できます。成犬用の商品ラインナップもあるため、ぜひそちらもご覧ください。ダニ・ノミよけの効果は約半年間持続します。
おすすめグッズ5.ドギーマン ノミ取りグシ
ダニを取るためのピンセットとくしがセットになった商品です。ダニ取りは3種類のサイズが入っているため、ダニの大きさによって使い分けられます。
ダニは血を吸うと体が大きくふくらむため、大きいダニにも対応できるのはうれしいですね。また目の細かいくしが付いているため、散歩した後のブラッシングにもおすすめです。
まとめ
犬や猫のダニ・ノミ対策について紹介しました。
ダニやノミは非常に身近な虫ですが、一度被害にあうと自分では中々駆除しにくい害虫です。また、繁殖力が高いため一度家に持ち込んでしまうとあっという間に増えて被害が拡大してしまうケースも。
人間への健康被害もある害虫のため、日ごろから予防や対策はしっかりと行っておきましょう。特にペットの身体と室内を清潔に保つことは、ダニやノミ対策のポイントです。
ぜひ本記事を参考に、最愛のペットと健やかな生活を送ってください。