マダニは春から秋に活動が活発になる種類が多いものの、冬でも活動する種類がいるため、寒い季節だからといって注意が不要になるわけではありません。
マダニは山林だけでなく、庭や畑、公園などの身近な屋外環境にも生息しています。冬の犬の散歩や庭仕事、ハイキングなどで草むらに接触する場合は、季節を問わず基本的な予防を心がけましょう。
この記事では、冬のマダニの活動状況と春・秋との違いを整理し、屋外での行動別に実践できる予防対策を解説します。人や犬にマダニが付いているのを発見した場合の相談先も紹介するので、冬の外出時に役立ててください。
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マダニは冬にもいる?冬季に活動する種類がいる

マダニは冬にも存在し、種類によっては冬季に活動します。ただし、すべてのマダニが一年中同じように活動するわけではありません。
マダニにはさまざまな種類があり、活動する季節も異なります。冬の屋外でマダニに遭遇する可能性はありますが、冬だから必ず活動しているとも、寒ければ完全にいなくなるとも判断できません。
多くは春から秋に活発だが冬にも活動する種類がいる
国立健康危機管理研究機構(JIHS)の「マダニ対策、今できること」では、マダニの多くは春から秋にかけて活動が活発になる一方、冬季に活動する種類もいると説明しています。
そのため、マダニの活動時期を春から秋だけに限定することはできません。冬も草地や山林に入る機会がある人は、マダニとの接触に注意する必要があります。
また、マダニは幼ダニ、若ダニ、成ダニという成長段階を経ます。種類や成長段階による違いもあるため、すべてのマダニが特定の月に一斉に活動を開始・終了すると考えるのは適切ではありません。
冬の感染報告もあるため季節だけで安全とは判断できない
冬でもマダニによる健康被害に注意する必要があります。ただし、マダニに咬まれたからといって、必ず感染症を発症するわけではありません。
国立健康危機管理研究機構は、マダニが媒介する感染症の一つである重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、数は少ないものの冬期の感染が確認されていると説明しています。
ただし、SFTSにはマダニの刺咬だけでなく、感染した犬や猫などの動物を介した感染経路もあります。そのため、冬期の感染報告がすべて冬のマダニ刺咬によるものとは限りません。
重要なのは、冬は感染症の心配がないと決めつけず、屋外でマダニに咬まれないための基本的な対策を続けることです。
冬と春・秋でマダニの活動はどう違う?

マダニの活動は季節によって異なりますが、その違いを全国共通の月別危険度で示すことはできません。
春から秋は多くの種類で活動が活発になる一方、冬にも活動する種類がいます。季節ごとの一般的な傾向と、注意したい屋外行動を比較すると次のとおりです。
| 季節 | 活動の一般的な傾向 | 注意したい行動 | 予防の考え方 |
|---|---|---|---|
| 春~秋 | 多くの種類で活動が活発になる | 散歩、登山、農作業、草むらでの活動 | 草地との接触を避け、服装や帰宅後の確認で予防する |
| 冬 | 冬季にも活動する種類がいる | 草地での犬の散歩、庭仕事、屋外活動 | 冬という理由だけで基本的な予防を省略しない |
※活動状況は種類・地域・環境などによって異なります。表は全国共通の発生月や感染症の危険度を示すものではありません。
春から秋は多くの種類の活動が目立つ
KINCHOの「マダニの生態と種類」でも、多くのマダニは春から秋にかけて活動が活発になると説明されています。
この時期は、ハイキングやキャンプなどの屋外レジャーに加え、庭の草取りや農作業などでマダニが生息する環境へ立ち入る機会があります。
ただし、春になればすべてのマダニが活動を始め、秋の終わりに一斉に活動を停止するわけではありません。活動する時期には種類や地域による違いがあります。
冬の活動状況は種類・地域・環境によって異なる
冬のマダニの活動状況は、種類や地域、生息環境などによって異なります。
マダニが冬にも活動するからといって、すべての種類が寒い季節を通じて活発に動き続けるわけではありません。一方で、寒い日が続いたからといって、マダニが完全にいなくなったと判断することもできません。
また、冬に気温が高い日があったとしても、そのことだけでマダニの活動や発生を判断するのは適切ではありません。
気温や暦だけで安全性を判断するのではなく、草むらや山林などに立ち入るかどうかを踏まえて予防を考えましょう。
冬も草むら・公園・庭・山林では接触に注意する
マダニは山林に限らず、住宅の庭や畑、公園など、身近な屋外環境にも生息しています。
国立健康危機管理研究機構は、野生動物が出没する環境のほか、民家の裏山、裏庭、畑、あぜ道などもマダニの生息場所として挙げています。
マダニは草の上などで人や動物が近づくのを待ち、接触した際に衣服や身体へ移ることがあります。そのため、冬でも草むらや植え込みに入る場合は注意が必要です。
ただし、こうした場所に必ずマダニがいるという意味ではありません。個別の場所での生息状況は異なります。
自宅の庭や公園、山林などでマダニが生息しやすい場所を詳しく知りたい場合は、マダニの生息場所と発生時期を解説した記事も参考にしてください。

冬のマダニ対策|犬の散歩・庭仕事・屋外活動別に解説

冬のマダニ対策では、草むらなどへの接触を減らすこと、肌の露出を抑えること、帰宅後に付着を確認することが基本です。
特別な道具を用意する前に、普段の散歩コースや屋外での作業内容に合わせて、実行できる予防から始めましょう。
| 屋外での行動 | 注意したい環境 | 外出中の対策 | 帰宅後の確認 |
|---|---|---|---|
| 犬の散歩 | 草むら、植え込み、草が茂った場所 | 犬を草むらへ入れず、飼い主も草木との接触を避ける | 犬の被毛・皮膚と飼い主の衣服・身体を確認 |
| 庭仕事・畑仕事 | 庭の草木、畑、あぜ道 | 長袖・長ズボン・手袋・長靴などで肌を覆う | 衣服と身体を確認 |
| 公園の散策 | 草地、植え込み | 草が茂った場所への不用意な立入りを避ける | 衣服と身体を確認 |
| ハイキング | 山林、藪、草木が生い茂った場所 | 肌の露出を減らし、草木への接触を避ける | 衣服・持ち物・身体を確認 |
冬の防寒着も肌の露出を減らす服装として利用できますが、衣服を着ているだけでマダニの付着を完全に防げるわけではありません。
犬の散歩は草むらを避けて帰宅後に付着を確認する
冬の犬の散歩では、草むらや植え込みへの立入りをできるだけ避けましょう。マダニは散歩中の犬にも付着することがあり、寒い季節だからといって接触の可能性がなくなるわけではありません。
練馬区の「マダニにご注意!(ペットの飼主の方へ)」では、犬の散歩では草むらに入らないこと、帰宅後はマダニが付いていないか確認することを案内しています。
散歩から戻ったら、犬の被毛や皮膚を無理のない範囲で確認してください。犬に服を着せていても、それだけでマダニの付着や吸血を防げるとは限りません。服を脱がせた後も身体を確認しましょう。
また、犬だけでなく飼い主自身も、草むらに接触した際にマダニが付く可能性があります。散歩後は飼い主のズボンや靴なども確認し、衣服にマダニを付けたまま室内へ持ち込まないよう注意してください。
犬用のマダニ予防薬や駆除薬については、自己判断で使用・中止せず、獣医師に相談しましょう。犬の年齢や体重、健康状態、使用する製品などによって適切な対応が異なります。
庭仕事・畑仕事では肌を覆い作業後に確認する
冬の庭仕事や畑仕事でも、草木に触れる作業がある場合はマダニ対策を意識しましょう。
自宅の庭や畑は身近な場所ですが、マダニが生息する環境になることがあります。特に草が茂った場所や植え込みの周辺では、衣服や身体が植物に触れる機会を減らすことが重要です。
国立健康危機管理研究機構は、屋外でマダニから身を守る服装として、長袖・長ズボンなどによって肌の露出を減らすことを案内しています。
庭仕事や畑仕事では、次のような点を意識してください。
- 長袖・長ズボンを着用し、腕や脚の露出を抑える
- 手袋や長靴を使用し、草木に直接肌が触れるのを避ける
- 草刈りなどではズボンの裾を長靴の中に入れる
- 作業後は衣服や身体にマダニが付いていないか確認する
また、明るい色の服は、衣服に付着したマダニを見つけやすいという利点があります。
冬の庭仕事では防寒対策も必要ですが、身体を覆うだけでなく、作業後の付着確認まで行うようにしましょう。
公園の散策・ハイキングでは衣服や持ち物も確認する
冬の公園の散策やハイキングでも、草や低木への接触をできるだけ避けることが大切です。
マダニは山林だけでなく、公園や住宅周辺などにも生息することがあります。そのため、身近な散歩コースでも草が茂った場所へ入る場合は注意しましょう。
ハイキングなどで山林に入る際は、長袖・長ズボンを着用し、首元や足首などの肌の露出を抑えます。国立健康危機管理研究機構は、山林ではズボンの裾に靴下をかぶせる方法なども紹介しています。
屋外活動を終えたら、上着やズボン、靴などにマダニが付いていないか確認しましょう。草地に置いたバッグやリュックなどの持ち物にも注意してください。
上着や作業着は、できるだけ室内へ持ち込む前に付着を確認します。帰宅後はシャワーや入浴の際に身体も確認してください。
マダニは衣服や持ち物を介して室内へ持ち込まれることがあるため、屋外活動を終えた後の確認も大切な予防策です。
人用忌避剤は製品表示を確認し服装対策と組み合わせる
マダニへの対策として、人用の忌避剤(虫よけ剤)を利用する方法もあります。
国立健康危機管理研究機構によると、マダニに対応した忌避剤の使用によって付着数は減少しますが、付着を完全に防げるわけではありません。
そのため、忌避剤だけに頼るのではなく、長袖・長ズボンの着用や草むらへの接触回避、帰宅後の確認を組み合わせることが重要です。
人用忌避剤を使用する場合は、製品の表示を確認し、マダニが対象に含まれているか、使用できる部位や対象年齢、使用上の注意などを確認してください。
人用の忌避剤を犬や猫に使用したり、ペット用の駆除薬を人へ使用したりしないでください。ペットのマダニ対策に使用する薬剤については、獣医師へ相談しましょう。
冬にマダニを見つけたときの対応

冬にマダニを見つけた場合は、人や犬の皮膚に食い込んでいるのか、衣服や床などに付着しているだけなのかを区別することが大切です。
皮膚に吸着しているマダニを無理に取り除こうとすると、口器が皮膚に残るなどの問題が生じる場合があります。発見した状況に応じて、適切な相談先を選びましょう。
| 発見した状況 | 最初に取る行動 | 避ける行動 | 相談先・詳しい情報 |
|---|---|---|---|
| 人の皮膚に吸着している | 無理に取り除かず、医療機関で相談する | 無理に引き抜く、潰す | 皮膚科等の医療機関 |
| 犬の皮膚に食い込んでいる | 無理に取り除かず、動物病院へ相談する | 自己判断で引き抜く、薬剤などを直接使用する | 動物病院 |
| 衣服や室内に付着している | 皮膚に吸着していないか確認し、周囲への付着にも注意する | 素手で潰す、人やペットに家庭用殺虫剤を使用する | 未吸着マダニの駆除方法を確認する |
人の皮膚に吸着していたら無理に取らず医療機関へ
人の皮膚にマダニが吸着している場合は、無理に引き抜こうとせず、皮膚科などの医療機関で適切な処置を受けましょう。
マダニは口器を皮膚に差し込んで吸血するため、無理に取り除くと口器が皮膚の中に残り、化膿することがあります。
また、マダニに咬まれた後は、数週間程度は体調の変化に注意してください。発熱などの症状が現れた場合は医療機関を受診し、マダニに咬まれたことや、屋外で活動した状況を医師に伝えましょう。
刺咬直後に痛みやかゆみなどの自覚症状がないこともあります。症状がないという理由だけで、皮膚に吸着したマダニを放置したり、受診の必要がないと判断したりしないことが大切です。
犬の皮膚に食い込んでいたら動物病院へ
犬の皮膚にマダニが食い込んでいる場合は、無理に取り除かず、動物病院へ相談してください。
犬の被毛に付着しているだけの場合と、皮膚に食い込んで吸血している場合とでは、適切な対応が異なります。
皮膚に吸着しているマダニを自己判断で引き抜いたり、酢やアルコール、家庭用殺虫剤などを使って取り除こうとしたりすることは避けましょう。
練馬区も、ペットの皮膚にマダニが食い込んでいる場合は動物病院へ相談するよう案内しています。
また、犬の様子に変化が見られる場合も、獣医師へ相談しましょう。使用する薬剤や必要な処置は、犬の状態に応じて判断してもらうことが重要です。
衣服や室内で未吸着のマダニを見つけた場合
衣服や室内でマダニと思われる虫を見つけた場合は、まず人やペットの皮膚に吸着していないか確認しましょう。
マダニは屋外から衣服や持ち物、ペットなどに付着して室内へ持ち込まれることがあります。室内で見つかったからといって、必ず室内で繁殖しているわけではありません。
国立健康危機管理研究機構は、衣服に付いたマダニを取り除く方法として、粘着テープや粘着カーペットクリーナーの利用を紹介しています。
この方法は衣服に付着した個体への対応です。人や犬の皮膚に食い込んでいるマダニには使用しないでください。
あわせて、外出時に使用した上着や靴、バッグなどにほかの個体が付いていないか確認しましょう。床などで見つけた虫がマダニか判断できない場合は、素手で触ったり潰したりせず、状態を確認してください。
室内や庭で見つけた未吸着のマダニへの対処については、マダニの駆除方法を解説した記事で詳しく紹介しています。

よくある質問

冬のマダニについて、積雪時の判断と犬の予防薬の扱いを確認しましょう。
雪が積もっていれば冬のマダニ対策は不要ですか?
雪が積もっていることだけを理由に、マダニ対策が不要とは判断できません。
マダニの活動状況は種類や地域、環境などによって異なります。積雪や寒さによってすべてのマダニがいなくなるとは限りません。
雪のない草むらや植え込み、山林などへ立ち入る場合は、冬でも肌の露出を減らす服装や帰宅後の付着確認を心がけましょう。
犬のマダニ予防薬は冬も続けるべきですか?
冬の予防薬を継続するか、中止するかは、かかりつけの獣医師に相談して判断しましょう。
冬にもマダニが活動する可能性はありますが、犬の生活環境や健康状態、使用する薬剤によって適切な予防方法は異なります。
冬だから必ず予防薬を中止してよいわけではなく、すべての犬に同じ薬剤を通年使用すべきとも限りません。
散歩コースや草むらへの立入り状況、犬の年齢・体重・健康状態、現在使用している薬剤などを獣医師に伝え、必要な対策を相談してください。
まとめ:冬もマダニの活動可能性を踏まえて予防しよう
マダニは春から秋に活動が活発になる種類が多いものの、冬にも活動する種類がいます。そのため、冬になったからといってマダニとの接触の可能性がなくなるわけではありません。
冬の犬の散歩や庭仕事、ハイキングなどでは、草むらへの立入りを避け、肌の露出を減らす服装を意識しましょう。帰宅後は衣服や身体、犬の被毛や皮膚にマダニが付いていないか確認することも大切です。
また、人の皮膚にマダニが吸着している場合は医療機関へ、犬の皮膚に食い込んでいる場合は動物病院へ相談してください。無理に取り除こうとせず、適切な処置を受けましょう。
冬のマダニ対策では、季節だけで安全と判断せず、屋外での行動に合わせた予防と帰宅後の確認を続けることが重要です。

