猫に被害を及ぼすノミは、室内であれば1年中繁殖します。ふんはアレルギーの原因となり、かまれると激しいかゆみが出ます。活動の活発な夏には、人間もかまれることがあります。
室内で飼っている猫のノミ予防には外の世界に接触させないことが大切です。そうもいかないときには、ブラッシングやポイントとなる場所の清掃を重点的に行います。
駆除には、首輪やシャンプーなどいろいろな方法があります。とくに、子猫のうちは免疫力が低く、特別な注意が必要です。
ノミ退治に不安があるときや、完全に退治したい場合には、動物病院にで獣医師の診察を受けるのが最善です。適切なノミ対策で、猫のいる生活を楽しみましょう。
猫ノミとは?寄生する原因や症状など解説!
猫を飼っていると、ノミがいるかどうか気になるものです。
猫に寄生するノミは猫ノミと犬ノミ。特に90%近くが猫ノミで、ノミに刺される被害は、ほとんどが猫ノミによるものだといわれています。
猫ノミは、室内飼いの猫にも寄生することがあります。寄生される原因やノミによって引き起こされる症状を知っておきましょう。
猫ノミとは?犬ノミとの違いも解説
ノミは体長2~3mmと小さいですが、アレルギー性皮膚炎など病気の原因となるリスクがあります。
生活場所は猫や犬などの小動物の身体や布団など部屋の中で、オス・メスともに吸血し、血液やフケなどをエサとしています。
特筆すべきはそのジャンプ力。体長の100倍以上ジャンプでき、行動範囲が広いです。
猫や犬などの小動物に寄生するノミはおもに猫ノミ・犬ノミの2種類。形状は似ていますが、猫ノミは前頭部が平らで、犬ノミは丸みがあります。
1995年の日本獣医師会の調査によれば、ノミで動物病院を受診した87%の犬や猫に猫ノミが、13%に犬ノミが存在していたという報告も。
このことから、猫ノミは犬にも対策が必要であることがわかります。
猫ノミが大量発生する時期
猫ノミが大量発生するのは、湿度が高く気温も高い夏です。
猫ノミは13℃以上で繁殖すると考えられており、最も生育しやすいのは23℃付近、湿度70%の環境です。
つまり湿度が高く気温も高い日本の夏はノミにとって好適な環境であり、夏になるとノミ活動が活発化して人間にも影響を及ぼします。
ただし夏だけでなく、現代の日本では冬でも室内は暖かく保たれているので、ノミは1年中繁殖できます。
室内飼いの猫であれば、ダニ対策はつねに必要だと考えておく方が安心でしょう。
猫ノミどこから寄生する?
ノミのすべてが猫に寄生するわけでなく、寄生するのは成虫のみです。
成虫はノミの5%にすぎませんが、幼虫や卵、サナギの状態で室内に持ち込まれてもダニは室内の湿度が高い場所で繁殖します。そして成虫になり、猫や犬に寄生するのです。
成虫として猫に寄生したノミは卵を産み、室内でふ化して繁殖のサイクルができます。
また室内のみで飼っている猫であっても、一緒に飼っている犬や猫、野生動物や人間の服や靴に泥とともに付着してきたダニに寄生されることがあります。
そのため室内で飼っていても、ノミに寄生される危険はあるので注意してください。
猫ノミによる症状:人間にもうつる?
猫ノミを食べたり、噛まれたりすると、さまざまな病気の原因になります。
ノミにかまれると、傷口に唾液がつき、アレルギー反応をおこします。それが皮膚の炎症になり、とてもかゆくなるのです。
猫ノミは増えれば増えるほど病気のリスクも増え、駆除が厄介になります。かまれなくても、落ちた”ふん”もアレルギーの原因となりますので、早期に発見して適切に退治しましょう。
ノミに寄生された猫は以下のような様子を見せることが多いので、猫の出すシグナルを見逃さないよう注意することが大切です。
・同じところがかゆい様子でかこうとする
・おう吐や下痢症状がある
詳しく知りたい方は、以下のリンクも参考にしてください。
猫ノミの駆除方法・取り方
猫にブラシをかけているときに、ノミを発見したら、一刻も早く退治したい気持ちになりますよね。
しかし猫ノミの取り方にはコツがあり、安易につぶすと余計に面倒なことになるので注意してください。
いざという時にあわててつぶして失敗しないために、ノミの適切な退治方法を覚えておきましょう。
駆除方法1.潰さず水につけたり粘着テープを使う
発見した時に、あわてて潰してしまう方がいますが、体内の卵が散らばってしまうので潰さず水につけたり粘着テープを使うようにしましょう。
ノミの成虫は、1~2ヶ月の間に1,000個近くの卵を産むといわれています。つまりノミの成虫は大量の卵を持っています。
そしてノミをつぶすと体内の卵が飛び散り、床の上やジュウタンの中でふ化し成虫になって後々ノミが増えてしまうのです。
ノミを取ったらそのまま捨てず、水につけるか粘着テープで封じ込めて完全に駆除しましょう。
駆除方法2.クシでブラッシングする
ブラッシングは簡単に利用できるノミの取り方です。
「ノミ取りコーム」といわれる市販のノミ取り用のクシは、間がノミよりも狭くできていてノミをすき取ることができます。ノミ取りコームでこまめにブラッシングをすれば早期にダニを退治できます。
クシでブラッシングしてノミを発見したら水につけるか粘着テープにつけて駆除しましょう。
ただし猫にまんべんなくクシをあてるのは難しく、この方法では100%駆除するのは難しいということには留意してください。
駆除方法3.ノミ取り用の首輪をつける
ノミ取り用の首輪が市販されています。猫に装着するだけで効果を発揮するので手間のかからない方法です。
首輪は猫の口に近く首輪に殺虫成分が入っているので不安に思う飼い主の方もいますが、薬効はおだやかです。
ノミ取り用の首輪に配合されている殺虫剤は、ペットに優しい殺虫成分で、配合量も他のノミ取り剤より低く安全に設計されています。
持続力は製品にもよりますが、おおよそ3ヵ月から6ヵ月は効果が持続します。
また首に装着してから体中で効果が発揮されるまでに1週間ほど必要なので、他のノミ対策と併用して使用するのがいいでしょう。
駆除方法4.ノミ取り用のシャンプーで洗う
ノミ取り用のシャンプーには、薬用成分が入っています。配合されている殺虫剤は製品によって様々です。
シャワーを嫌がる猫もいますので、あまり嫌がるようなら無理せずだんだんと慣らしていきましょう。
洗う場合は、最初にブラシで頭から尻尾に向かって毛の流れを整えてから、体を水でぬらします。ノミは水に弱いので駆除効果が高まりますし、シャンプーが泡立ちやすくなります。
顔にはシャンプーを直接付けずに、身体にシャンプーを付けて全身に広げながら泡立てて洗いましょう。
洗い終わったら、タオルドライをしてブラシをかけながらドライヤーで乾かします。
ノミ取り用のシャンプーはノミ取りの効果が持続しないので、他の退治方法と併用しましょう。
駆除方法5.駆除薬を使う
駆除薬の投与方法には3種類あります。
・スポットオンタイプ
・.内服タイプ
・注射タイプ
スポットオンタイプは筋の後ろに垂らしてダニを殺虫で、簡便な方法として利用されています。費用は、1回1000~1500円程度です。
内服タイプは猫に飲ませるタイプの駆除薬で、シャンプーのタイミングに気することなく使用できます。費用は1回1000~1500円ほどかかります。
注射タイプは猫の体に注射する投与方法で、費用は1回約6000円/と高額です。
駆除薬には市販品もありますが、猫の状態によって適用量が違うこともあるので、動物病院で処方してもらうのが安心でしょう。
猫ノミの予防対策
猫ノミは、退治も重要ですが、なにより予防することが大切です。
猫ノミを予防するには、その生態を知って、重点ポイントをしっかりと実施しましょう。
日常的に注意するポイントと予防的に殺虫剤を使用する方法をご紹介します。
予防対策1.野良猫・犬などと接触させない
野良猫や犬は、常に外で過ごしています。ノミは直射日光の当たらない縁の下や草むらに多く生息するので、野良猫や犬は高確率でノミに寄生されていると考えた方がいいでしょう。
ノミは、とんで移動できますから、近くにいるだけで寄生されるリスクがります。野良猫や犬とは接触させない方が賢明です。
猫や犬は、なるべく室内で飼う方が安心できます。
そうもいかない場合には、外に出たあとにはブラシやクシをかけたり体を観察したりして、早期に対処しましょう。
予防対策2.部屋を掃除し清潔な環境を保つ
こまめに部屋を掃除するのもノミ対策には大切です。
猫の身体から落ちた”ふん”はアレルギーの原因になりますし、卵やサナギは繁殖し、ノミが増える原因になります。
以下の場所には特に注意して掃除機をかけましょう。
・カーペットの毛足の根元部分
・布製のソファや枕、座布団の下
・たたみの合わせ目やくぼみ
毛足の長いカーペットはブラシをかけてから掃除します。
ノミの繁殖サイクルにあわせて、3週間に1度は念入りに吸引しましょう。
予防対策3.くん煙剤などの殺虫剤を使う
くん煙剤は、部屋の隅々まで殺虫してくれますし、卵がふ化してもしばらくは成長を防いでくれます。
基本的に人体に悪影響を及ぼすことはありませんが、くん煙前は食器棚を閉め、エサ皿などは袋に入れたほうが安心です。
くん煙後は部屋の空気を入れ替え、一定時間放置します。
室内に入ると刺激感を覚えることがありますが、時間とともに解消します。
しばらく部屋が使えなくなりますので、計画的に実施しましょう。
予防対策4.虫除けスプレーを使う
虫よけスプレーは、外に出る猫に効果的です。ノミを寄せ付けず猫を守ります。ノミ以外にも、蚊やダニをよせつけない効果を持つ製品が多く発売されています。
使用方法も手軽で、散歩前など外に出るとき、首筋のまわりに吹きかけます。1日に1~2回の使用で効果を発揮します。
念のため猫がなめるところを避けて使いましょう。
予防対策5.ノミ駆除業者に依頼する
ノミの退治が手に負えないようなら、費用はかかりますが、業者に頼む方法が確実です。
信頼できる業者に依頼すれば、効果的かつ安全にノミを駆除してくれます。ペットの数や状況にもよりますが、料金の目安は2万円から8万円。
しかし、なかには詐欺まがいの業者もいます。駆除を依頼する前には、信頼できる業者かどうか確認しましょう。
例えば再発生時に保証があるのか、駆除方法や薬剤は何を使用するか、追加料金を払う条件などについて納得いくまで確認しましょう。
子猫のノミを駆除・予防対策する際の注意点
子猫は成猫と比べて皮膚も弱く、薬への耐性が低いので、特別な注意が必要です。
生後1週間ほどの子猫の場合、駆除方法は限られます。タオルなどは、できれば毎日洗濯し、ノミが繁殖しないようにしてあげましょう。
生後3ヵ月までは、ノミ取り用のクシを使って、丁寧にブラッシングをする方法で対処します。風呂も可能ですが、体力を消耗しますので短時間でサッと洗います。
それでも、対処しきれないときには動物病院で健康状態をチェックしてもらい、獣医師の指示をあおぎましょう。
猫ノミを完全駆除するには病院がおすすめ
猫ノミ対策にはいろいろありますが、自分で行うのには限界があります。
手間もかかりますしノミが駆除できないこともあるようです。殺虫剤を使うので猫の健康に不安を覚える方もいることでしょう。
完全に猫ノミを駆除したい、猫にあわせて安全に駆除したいと思うなら、動物病院で診てもらうのが安心です。
動物病院ならば、ついているノミの数や健康状態にあわせた駆除方法を指導してもらえます。
費用は、1,000円~1,500円程度のことが多いようです。
まとめ
猫がノミに寄生された場合の症状や、その原因、ノミの予防や駆除の方法についてご紹介しました。
猫に被害を及ぼすノミは、猫ノミです。血液を栄養とし、かまれると激しいかゆみやおう吐や下痢をひきおこしますし、ふんがアレルギーの原因となることもあります。
活動の活発な時期には、人間もかまれることがあり、見過ごすことはできません。
猫は大切な家族の一員です。不快な症状は、なるべく避けてあげたいものです。
ノミ対策は、まず、ご紹介した予防策をこまめに実施しましょう。もし、寄生された場合にも早めに対処すれば、大きな病気につながることは少なくなります。
動物病院や業者も賢く利用して、猫のいる生活を楽しみましょう。