市場連動型プランとは?各電力会社の対策やメリット・デメリットを解説!

市場連動型プランとは

2020年末から、「市場連動型プラン」というキーワードを耳にすることが多くなりました。電気代が値上げになるという声もあり、仕組みや影響が気になっている人も多いことでしょう。

市場連動型プランとは、わかりやすくいえば、電力市場の価格に電気料金が連動するプランのことです。新電力会社の一部で提供されているプランであり、平常時にはメリットも大きいプランです。

しかし、市場価格が高騰した場合に、電気代が大幅に値上げされる可能性があり、その際の対策は会社ごとに大きく異なります。

本稿では、市場連動型プランの仕組みやメリット・デメリット、価格高騰への対策などをわかりやすく解説します。

目次

市場連動型プランとは?わかりやすく解説

市場連動型プランとは?わかりやすく解説します。

電気料金のプランのひとつに市場連動型プランがあります。市場連動型プランとは、わかりやすくいえば市場に連動する料金形態のことです。

電力自由化によって、多くの新電力会社が電力事業に参入しました。

発電設備を持っている大手電力会社とは異なり、新規参入の新電力会社のほとんどは発電設備を持っていないため、すでに発電された電気を購入し、消費者に販売する必要があります。

そこで、電力事業者間が自由に電気を売買できるように、JEPX(日本卸電力取引所)が設立されました。

市場連動型プランとは、消費者に供給する電気の価格が、JEPX(日本卸電力取引所)で売買されている電気の価格(=市場価格)に連動するプランを意味します。

市場連動型プラン:従量料金型

市場連動型プランのタイプのひとつに、従量料金型があります。

従量料金型は、以下のように電気代を算出します。

基本料金+従量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金

従量料金型は、このうち従量料金が市場価格に連動します。

JEPXは30分毎の変動に合わせて従量料金単価を算出するため、変動によって従量料金単価が安くなれば電気代も値下げされ、従量料金単価が高くなれば電気代も値上げされるのが特徴です。

市場連動型プラン:燃料調整費型

市場連動型プランには、燃料調整費型というタイプもあります。

燃料調整費型は、以下のように電気代を算出します。

基本料金+従量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金+燃料調整費+調達調整費

このうち、市場に連動するのは調達調整費です。

発電に必要な天然ガス・原油価格の大幅な騰落を原因として、JEPXの市場価格も大きく変動することがあります。

このとき、調整項目として調達調整費を臨時に加えることによって、燃料価格の変動を電気代に反映します。

このため、燃料価格が安ければ電気代は下がる一方、燃料価格が高ければ電気代も値上げされるのが特徴です。

市場連動型プランのメリット・デメリット

メリット・デメリット

市場連動型プランの仕組みだけではなく、具体的なメリットとデメリットも理解しておきましょう。

どのようなメリットとデメリットがあるのか、電気料金への影響によって考えることで、市場連動型プランへの理解が深まります。

市場連動型プランでは、以下のような理由によって、電気代が安くなる場合もあれば、電気代が高くなる場合もあります

市場連動型プランのメリット

市場連動型プランのメリットは、市場価格が有利なタイミングで電気を使うことによって、電気代を抑えられることです。

従量料金型の解説でも述べた通り、電力の市場価格は常に変動しており、需要と供給のバランスによって決まります。

電力の需要が高い時間帯(主に日中)には市場価格も高く、逆に需要が低い時間帯(主に早朝や深夜)には市場価格も安くなる傾向があります。

したがって、以下のように市場価格が安いタイミングを選べる家庭や職場では、大きなメリットが得られます。

・深夜や早朝の電力消費の割合が多い
・蓄電池を持っており、深夜や早朝に充電できる

市場連動型プランのデメリット

2020年末、電気代の高騰が大きな話題となりました。

JEPXの市場価格が高騰したために、市場連動型プランを選んでいる家庭において、電気代が大幅に値上げされる可能性が生じ、大きく取り上げられたのです。

JEPXで市場価格が高騰した主な原因は、以下の2つです。

・天然ガスの供給不足によって、電力供給が減少したこと
・寒波の影響によって、電力需要が増加したこと

2020年末のように、供給不足と需要増加が深刻なレベルで起こった場合、市場価格は大幅に上昇します。

市場価格が安い時間帯でさえ平常時の数倍に値上げされていることから、電気代の上昇は避けられません。

また、市場価格の高騰は事前に予測できるものではなく、突然高騰したからといって電気の消費をゼロに抑えることはできません。

このような突発的なリスクがあることが、市場連動型プランのデメリットです。

市場連動型プランがある新電力会社

市場連動型プランがある新電力会社

市場連動型プランのメリット・デメリットを知ると、平常時に電気代を抑えられるメリットよりも、突発的に電気代が上がるデメリットの方が大きいと感じた人も多いことと思います。

そこで気になるのが、電気代が大幅に値上げされるリスクが発生したとき、電力会社はどのような対応をしてくれるのかということです。

2020年末の市場価格高騰を受けて、市場連動型プランを提供している新電力会社がどのような対応をしているのかをみていきましょう。

エルピオでんき:電気代高騰への対応

エルピオでんきでは、市場連動型プランから他のプランへの変更を促しています

通常、エルピオでんきの市場連動型プランは、他のプランへの変更を1年に1度のみと制限していますが。この制限を取り払うことで、市場価格高騰への対応を図っています。

平素はエルピオでんきをご利用いただき誠にありがとうございます。

1月に入り、日本卸電力取引所(JEPX)における電力市場価格が高騰しており、
先週から今週にかけて、例年の10倍強の価格をつける時間帯も出ております。

お客様には、弊社市場連動プラン申込時に、高騰リスクもご許容いただいて、
お申込みをいただいておりますが、今回お客様のデメリットが大きいことから、
(1/12-3/31のお申し出に限り)市場連動プランから他のプランへ、
緊急のプラン変更を受付させていただきます。

お申し込み方法
・弊社コールセンターにて受付 0120-23-5556 (平日9:00-18:00)

対象
・エルピオでんき「市場連動プラン」をご利用のお客様

プラン変更は、変更のお申込み後、2営業日後からの料金が対象となります。
今回は特別措置とさせていただくため、期間外のお申込みは受付できないことがございます。

何卒、宜しくお願い致します。

引用元:エルピオでんき

自然でんき:電気代高騰への対応

自然電気では、エリアごとの大手電力会社の電気料金を基準として、基準を超える部分の電気料金を値引きする対策を打ち出しています。

ただし、値引き額の上限は、1月・2月の請求分から最大3万円としています。

このほか、以下のような対応も行なっています。

・時間帯別の電気料金の確認と節電を促す
・他の電力会社への移行をサポートする

・措置内容
 お住まいの地域の大手電力会社(注)の電気料金を基準として、それを超える分の電気料金につきまして、30,000円を上限として電気料金より値引きさせていただきます。
 (1月7日にご連絡いたしました事業運営費をゼロとする対応に加えて、上記値引き措置を実施いたします)
 現時点の電気料金をご確認いただける機能を本日マイページにてリリースいたします。また、基準となる大手電力会社の電気料金との比較について、追ってマイページでご確認いただけるよう準備しております。

・値引対象のご請求
 1月ご請求分、2月ご請求分
 ※1月ご請求分と2月ご請求分の値引き合計を最大30,000円といたします。

・対象となるお客様
 ①「自然電力のでんき」に低圧電力または従量電灯でご契約のお客様
 ②12月26日以降、「自然電力のでんき」をすでにご解約・または解約手続きを進めているお客様
 ※複数契約をされているお客様につきましては、1契約ごとの値引き措置を実施いたします。

引用元:自然でんき

ダイレクトパワー:電気代高騰への対応

ダイレクトパワーでは、市場連動型プランのみを提供しています。

通常、契約切り替え時期以外の解約では2,000円の解約手数料が必要です。今回は、解約手数料無料とすることで、他の電力会社への切り替えを促しています。

このような状況を踏まえて、お客様の価格高騰回避のために、できる限りスムーズな対応を取りたいと考えています。

通常、当社プランは契約切替時期以外に頂戴している解約手数料2000円(税別)を無料といたします。

お客様には、次の電力会社をご検討・切替手続きして頂くと、解約手数料なしで当社電力から切替が可能になります。

引用元:ダイレクトパワー

テラエナジー:電気代高騰への対応

2021年2月3日現在、テラエナジーでは、他の新電力会社のように電気料金の値引きや解約手数料の減免といった対策は打ち出していません

現時点では、契約者に節電を促し、インスタグラムの公式アカウントで節電方法を紹介するなどの対応にとどまっています。

ハチドリ電力:電気代高騰への対応

ハチドリ電力では、大手電力会社の従来プランを基準として、それを上回る異常高騰分をすべてハチドリ電力が負担する対応策を打ち出しています。

負担上限額も定められておらず、請求金額は大手電力会社と変わらない料金になることを明言しています。

ハチドリ電力は電気を購入する費用に利益を乗せずにお客様にお届けしておりますが、今の調達価格そのままではお客様に請求する電気料金が2~3倍またはそれ以上となる可能性もあります。

これを避けるため、今回の電力取引価格の異常高騰が収まるまでの間、ハチドリ電力が割引をする形で負担させていただければと存じますのでご安心ください。

この異常高騰分の電気料金負担により月に数千万円の赤字が見込まれますが、ハチドリ電力の仲間になってくださった皆さまのご期待に背くことのないよう最善を尽くしてまいります。

引用元:ハチドリ電力

市場連動型プランはないが影響を受ける電力会社

市場連動型プランはないが影響を受ける電力会社

新電力会社の中には、市場連動型プランを提供していない会社もあります。

ただし、市場連動型プランではなかったとしても、市場価格高騰の影響を受ける場合があります

例えば、以下の新電力会社では、市場連動型プランではないにもかかわらず影響を受ける可能性があります。

・ハルエネでんき
・エフエネ
・おトクでんき
・みんな電力
・めぐる電気

電気代が値上げされる理由は、各社でほとんど同じです。

わかりやすくいえば、各社で定める基準値を市場価格が超えた場合に、調整単価を算定し、電気代に反映するという仕組みです。

ただし、調整単価を算定するための期間は異なります。

上記の新電力会社のうち、ハルエネでんき・エフエネ・おトクでんきは、毎月1日からその月の末日までのの平均値を基準としています。

一方、上記に挙げた会社のうち、みんな電力・めぐる電気は、過去6ヶ月間の市場価格の平均で調整単価を算定しています。

算定期間が1ヶ月の場合と6ヶ月の場合を比較してみると、以下の差があり、追加請求にも大きな違いが出ます。

2021/1/1~2021/1/31の平均価格:約63円/1kwh
2020/8/1~2021/1/31の平均価格:約17円/1kwh

以上のように、市場連動型プランを提供していない新電力会社でも、市場価格高騰の影響は様々です。

自分の契約内容をしっかりと確認し、影響を確認することが欠かせません。

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