キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース】とは?条件や申請方法について解説します。

キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース】とは?条件や申請方法について解説します。

数ある助成金の中でも、多くの企業にとって利用しやすく、メリットも大きなものとして、キャリアアップ助成金が注目されています。キャリアアップ助成金の7つのコースのひとつに、賃金規定等改定コースがあります。

賃金規定等改定コースとは、賃金規定を増額改定し、有期雇用労働者の処遇を改善した企業に、助成金を支給する制度です。賃金規定等改定コースを活用するためには、具体的な取り組みの内容、支給を受けるための条件、申請方法などを把握しておく必要があります。

本稿では、賃金規定等改定コースの活用に欠かせない、基本的な情報をわかりやすくまとめていきます。

キャリアアップ助成金についてのまとめ記事

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目次

キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース】とは?

キャリアアップ助成金では、7つのコースが設けられており、その中のひとつに賃金規定等改定コースがあります。賃金規定等改定コースとは、有期契約労働者の賃金規定を一定以上増額改定した企業に、助成金を支給する制度です。

最低賃金の引上げが毎年のように続いている昨今、人件費の上昇にうまく対処していくべきです。賃金規定等改定コースを活用すれば、賃金の一部を助成金によってカバーできます。

最低賃金の引上げは政府の方針であり、避けられないものです。賃金規定等改定コースを活用し、助成金によって負担の軽減を図るのが賢明です。

賃金規定等改定コースの概要

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースでは、有期契約労働者の賃金規定を2%以上増額改定することで、助成金を受給できます。ポイントとなるのは、「2%以上」という増額率です。というのも、平成25年以降の最低賃金は、年間の2%以上の引き上げが続いているためです。

助成金の支給金額は、増額の対象者数、賃金の増額率などによって異なりますが、対象労働者の枠は大きく、多額の受給も可能です。最低賃金の引き上げに対応していくためにも、賃金規定等改定コースを活用しない手はありません。

賃金規定等改定コースの支給金額

賃金規定等改定コースの支給金額は、

・増額の対象者は有期契約労働者のすべてであるか、一部であるか
・賃金増額の対象者は何人であるか
・賃金の増額率は何%であるか

によって、細かく設定されています。

なお、支給申請の上限人数は100人まで、1年度あたりの申請回数は1回までです。支給金額の詳細については、キャリアアップ助成金のパンフレットの31ページを参考にしてください。

賃金を2%以上増額した場合

賃金の増加率をできるだけ抑えつつ、賃金規定等改定コースを活用するならば、2%以上の増額に取り組むのが良いでしょう。賃金規定を2%以上増額改定する場合、助成金の支給金額は以下のように定められています(カッコ内は生産性要件を満たした場合)。

・すべての有期雇用労働者を対象とする場合

対象労働者数 支給金額
1~3人 1事業所当たり9万5,000円(12万円)
4~6人 1事業所当たり19万円(24万円)
7~10人 1事業所当たり28万5,000円(36万円)
11~100人 1人当たり2万8,500円(3万6,000円)

・一部の有期雇用労働者を対象とする場合

対象労働者数 支給金額
1~3人 1事業所当たり4万7,500円(6万円)
4~6人 1事業所当たり9万5,000円(12万円)
7~10人 1事業所当たり14万2,500円(18万円)
11~100人 1人当たり1万4,250円(1万8,000円)

なお、支給金額は変更される可能性があるため、パンフレットの31ページでも確認してください。

職務評価を実施した場合

賃金規定等改定コースでは、職務評価を実施した上で賃金規定を増額改定した場合に、助成金が加算されます。職務評価とは、職務の大きさを相対的に比較し、職務に応じた賃金が支給されているかどうかを点検するものです。

職務評価によって加算される金額は、1事業所当たり19万円(24万円)です(カッコ内は生産性要件を満たした場合)。ただし、職務評価による加算を受けられるのは、1事業所当たり1回のみとなっています。

職務評価の実施は、助成金が加算されるだけではなく、賃金の適正化にもつながり、延いては従業員の満足度向上・職場への定着率向上も期待できるため、ぜひ取り組むことをおすすめします。職務評価の詳細は、パンフレットの36ページに記載されています。

賃金規定等改定コースの上限金額

賃金規定等改定コースを最大限に活用した場合、上限金額はかなり大きなものとなります。上限金額を受給するための条件は、以下になります。

・すべての有期雇用労働者を対象とすること
・対象労働者数を100人とすること
・賃金の増額率を5%以上とすること
・職務評価を実施すること

これらの条件を全て満たした場合、上限金額である684万円の受給が可能です。もっとも、実際には無理のない範囲内で取り組むため、上限金額を下回るのが普通です。

キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース】支給申請の条件

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースの支給申請の条件のうち、主な条件は以下の通りです。

・増額改定前の賃金規定を3ヶ月以上運用していること
・増額改定後の賃金規定を6ヶ月以上運用しており、定額で支給している諸手当を減額していないこと
・増額改定した日の前日から起算して3ヶ月前から増額改定後6ヶ月以上の期間にわたって雇用されている有期雇用労働者を対象としていること
・増額改定した日以降の6ヶ月間、対象者が雇用保険被保険者であること

必ず押さえておくべき条件は以上の通りですが、このほかにも細かな条件が設定されています。すべての条件は、パンフレットの31~33ページでチェックしてください。

キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース】支給申請の方法

キャリアアップ助成金の各コースでは、おおむね同じ方法によって支給申請を行います。このため、申請の流れや必要書類、記入例なども大差ありません。

ただし、賃金規定等改定コースでは、職務評価を実施する場合に、職務評価に関する書類の提出が求められます。取り組みの内容に応じて、正確な方法で支給を申請することが大切です。

必要書類

賃金規定等改定コースの支給申請で特に求められる必要書類は、以下の通りです。

・支給要件確認申立書
・支払方法・受取人住所届(未登録の場合)
・キャリアアップ計画書の写し(認定済みのもの)
・対象労働者の増額改定前・増額改定後の雇用契約書
・対象労働者の賃金台帳または報酬支払簿
・対象労働者の出勤簿
・増額改定後6ヶ月分の賃金支給に関する確認書
・職務評価結果を踏まえて増額改定したことが分かる書類(職務評価を実施して助成金の加算を受ける場合)

必要書類の詳細は、パンフレットの33ページに記載されています。

記入例

賃金規定等改定コースを利用するには、多くの書類を提出しなければなりません。不備のない書類を提出するためにも、記入例を参考にしながら揃えていくのが良いでしょう。

キャリアアップ助成金のすべてのコースで、キャリアアップ計画書の作成が求められます。キャリアアップ計画書の記入例は、パンフレットの13ページに記載されています。

また、支給申請書の記入例もパンフレットの71ページに詳しい説明があります。このほか、増額改定後の賃金規定の作成例はパンフレットの34~35ページ、職務評価を実施した場合の職務評価表の作成例はパンフレットの35ページが参考になります。

申請の流れ

賃金規定等改定コースの手続きの流れは、以下の通りです。

1.キャリアアップ計画を作成・提出し、管轄労働局長の認可を受ける。
2.賃金規定等の増額改定を実施する。このとき、対象者には増額改定後の雇用契約書と労働条件通知書を交付しておく。
3.増額改定後の賃金に基づき、6ヶ月分の賃金を支給する。
4.取り組み完了後、必要書類を揃え、期間内に支給を申請する。
5.審査を受け、問題がなければ支給が決定される。

注意点

賃金規定等改定コースの注意点は、計画的に増額すること、支給申請期間内に申請することの2点です。

最も注意すべきことは、計画性をもって取り組むことです。助成金の支給金額を増やしたいからといって、増額率が高すぎたり、対象者が多すぎたりすると、将来的に人件費に悩まされる可能性があります。

賃金規定等改定コースのメリットは、賃金増額によって従業員の処遇を改善し、長期的な成長につなげ、なおかつ負担を軽減することです。計画的に利用しなければ、本末転倒になりかねません。

また、キャリアアップ助成金の他のコースとも共通しますが、支給申請期間内に申請しなければ、助成金を受給できなくなるため注意が必要です。

もちろん、企業ごとに注意点は異なるため、パンフレットにはしっかりと目を通し、自社が注意すべき点がないかをチェックする姿勢が欠かせません。

 

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