猫ノミはペットや人に対し、さまざまな症状を引き起こします。なかには二次被害もあるので、適切に対処して症状を抑えることが重要です。
具体的にどのような症状があるのか、症状が出たらどのように対処すればよいかを知ることで、正しい対策を立てましょう。
こちらの記事では猫ノミによって引き起こす症状について猫と人間に分けて紹介し、症状が出たときの対処法や他の害虫の症状との見分け方などについて解説します。
症状が出ないよう猫ノミの駆除方法や発生予防対策についても説明するので、猫ノミの症状に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
猫ノミによって猫が引き起こす症状・病気とは?
猫ノミに寄生された猫は、さまざまな症状を引き起こします。猫が引き起こす症状・病気には、以下のようなものがあります。
・貧血
・二次感染
・条虫症(瓜実条虫)
・アレルギー性皮膚炎
・猫ヘモプラズマ感染症
それぞれ具体的な症状や発症する原因について説明します。
【猫】症状・病気1.貧血
ノミから大量の血を吸われることで、貧血の症状を引き起こすことがあります。
貧血は赤血球の減少によって引き起こされる症状ですが、血液が体外に排出されることで赤血球が失われ、貧血の症状が出ます。ノミは体長1mm〜2mmほどのごく小さな生物なので、数匹寄生された程度で貧血になることはありません。
しかし寄生される数が多いと大量の血を失うため、身体が小さい子猫であれば貧血になることもあり得ます。貧血になった猫は疲れやすくなり、元気のない様子がみられるようになります。
【猫】症状・病気2.二次感染
猫ノミに刺されると体中がかゆくなるため猫が体を掻いてしまい、掻いた箇所が傷つき細菌が入り込みます。こうして二次感染が引き起こされるのです。
二次感染の主な症状としては、掻いた箇所の皮膚が化膿するといったものです。また感染とは別の二次症状ですが、身体がかゆいことからくるストレス症状も軽視できません。強いストレス症状を引き起こすと脱毛したり、身体が痩せてしまったりします。
二次感染をはじめとした二次的な症状は、ノミに刺される直接的な症状ではないため見落としがちですが、場合によっては深刻な症状が出るので注意してください。
【猫】症状・病気3.条虫症(瓜実条虫)
瓜実条虫(サナダムシ)に寄生されたノミを体内に取り込んでしまうと、瓜実条虫症(サナダムシショウ)を引き起こします。
ノミは瓜実条虫に寄生されると運動量が低下するので、グルーミングをした際などに猫が身体を舐めたときに体内へ取り込まれやすくなるのです。
そして体内に取り込まれた瓜実条虫の幼虫は猫の腸の中で成虫となり、下痢や嘔吐といった症状が出ます。さらに寄生された数が多い場合、腸炎を発症することもあるでしょう。
ノミを潰すと瓜実条虫の卵が散乱し、その卵をノミの幼虫が食べることで猫が瓜実条虫症を発症するリスクが高くなります。そのためノミを取る際は素手ではなく、必ず粘着テープや掃除機などで取るようにしてください。
【猫】症状・病気4.アレルギー性皮膚炎
刺された際にノミの唾液に触れることで、アレルギー性皮膚炎を発症します。アレルギー性皮膚炎を発症すると赤い発疹ができ、全身にかゆい箇所が出ることに加えて痛みが出ることもあります。
またアレルギー性皮膚炎はノミが刺した箇所だけでなく全身に症状が出るので、身体がかゆいことによって猫が自分の身体を掻き過ぎて出血してしまうこともあります。
そして一度アレルギー性皮膚炎を発症してしまうと、少しノミが寄生しただけで皮膚炎を発症するようになってしまうので注意が必要です。アレルギー性皮膚炎の完治には時間がかかるので、アレルギー性皮膚炎のに発症には注意しなければなりません。
【猫】症状・病気5.猫ヘモプラズマ感染症
猫ヘモプラズマ感染症は、ヘモプラズマという細菌感染によって引き起こされる感染症です。ノミの吸血によって赤血球に病原体が寄生し、赤血球が破壊されることで発熱や貧血を起こします。
先ほどノミに血液を吸われることで貧血を引き起こすと説明しましたが、猫ヘモプラズマ感染症は赤血球に細菌が付いて壊れ、血液中の赤血球が減少するという溶血性の貧血です。
そのため貧血症状を引き起こすという点では、先ほどの説明と共通する部分があります。主な症状は発熱のほかにも元気消失や食欲不振、脱水、血色素尿などです。
猫ノミによって人間が引き起こす症状・病気とは?
猫ノミが寄生するのは猫だけではなく、人間にも寄生して症状を引き起こします。猫ノミによって人間が引き起こす症状・病気には、以下のようなものがあります。
・ノミ刺咬症
・猫ひっかき病
・条虫症(瓜実条虫)
それぞれ具体的な症状や発症原因について、解説します。
【人間】症状・病気1.ノミ刺咬症
ノミ刺咬症は、直径数mm~1cm程度の紅斑・水ぶくれができて、強い痒みを発症します。発症経路は猫のアレルギー性皮膚炎と同じであり、ノミに刺されたときノミ唾液に対するアレルギーが原因です。
ノミ刺咬症は遅延反応が特徴であり、刺されてから数十分~1時間程度で痒みが出始めます。痒みは1週間くらい続き、症状が治まれば痒みも引いて元に戻りますが、水ぶくれになった箇所を掻き過ぎてしまうと二次感染の被害が出る可能性もあるので注意しましょう。
二次感染が起きると水ぶくれになった箇所が化膿していしまい、治りも遅くなるため、痒みが出ても患部を掻き過ぎないようにしてください。
【人間】症状・病気2.猫ひっかき病
猫ひっかき病はノミに寄生された猫にひっかかれたり噛まれたりすることにより、バルトネラ菌を原因として発症する症状です。
猫がノミに寄生されると毛に糞が付着し、グルーミングの際にそれを爪や歯に付いて、人が接触したときにバルトネラ菌人にが付いて猫ひっかき病を発症します。
主な症状は発熱・頭痛などです。バルトネラ菌は猫にとって無害な菌であるため、宿主である猫自身は症状を発症しません。そのため猫にひっかかれたり噛まれたりした飼い主に症状が出るまで気付かないことが多く、発見するのが遅れやすいという特徴があります。
【人間】症状・病気3.条虫症(瓜実条虫)
条虫症は猫だけでなく、人間にも発症して下痢などの症状を引き起こします。
人が条虫症に感染する経路としては、瓜実条虫に寄生されたノミを手に取って潰したときに手に卵が付き、その手で食べ物を食べたりして卵を体内に取り込んでしまうといったものです。
条虫症にかからないために、ノミを発見したときは絶対に手で潰さず、粘着テープなどで取るようにしましょう。
猫ノミによる症状が出た時の対処法
猫ノミによる症状が出た時はまず患部を冷やして応急処置をしましょう。
腫れや痒みが出るような症状の場合、患部を掻くことで二次感染して症状が悪化する危険があるので、まずは症状を少しでも抑えることが大事です。
また症状を抑えるには患部に痒み止めを塗るのも効果的ですが、市販薬を自分で選ぶと症状に合わないものを選んでしまう可能性があります。
そのため正しく治療するためには、皮膚科で処方してもらうのが確実です。
ペットが感染した場合も同様に、動物病院で診察を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。
猫ノミとその他害虫との症状の違いや見分け方
猫ノミの他にもダニや蚊など、刺されることで痒みを発症する害虫はいくつかいます。これらの害虫と猫ノミによる症状にはいくつかの見分けるポイントがあるので、以下のポイントを抑えておきましょう。
・発症期間が長い
・膝から下に集中して何箇所も刺される
・刺された箇所に噛み跡が残る
猫ノミの症状の一番特徴的な点は、症状の持続期間です。蚊に刺されの痒みは1日程度でダニの場合は1週間から10日なのに対し、猫ノミは最長で1ヵ月程度痒みが続きます。
またノミは膝から下を集中して噛むのも特徴です。ほかにも噛み跡によって見分けることができ、ノミに噛まれた跡は赤く腫れあがり、水ぶくれができることがあります。
以上のようなポイントを抑え、症状からノミによる症状であるかどうかを見分けましょう。
猫ノミの駆除方法!予防対策も紹介
猫ノミはペットだけでなく人にも危害を及ぼすので、発生したらできるだけ早く駆除しなければなりません。そして駆除後は予防対策を徹底して再発を防ぐことも大事なので、最後に猫ノミの駆除方法と発生予防対策についても解説します。
猫ノミの駆除方法
猫ノミの駆除方法はいくつかありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
・粘着テープで取る
・シャンプーで洗う
・駆除剤を使う
ノミは手で取ると潰れて卵が散らばる危険があるので、発見したらコロコロのような粘着テープで取ってください。またシャンプーで洗って全身のノミを落とすのも効果的です。
そして駆除薬を使えば確実にノミを駆除できますが、駆除薬にはいくつかの種類があるので適宜使い分けましょう。駆除方法については、下記の記事も参考にしてください。
・猫ノミの駆除方法・取り方|予防対策や退治する際の注意点など紹介!
猫ノミの予防対策
猫ノミを寄せ付けないための主な予防対策を紹介します。
・野良猫や犬との接触接触を避ける
・部屋を掃除して清潔な環境を保つ
・くん煙剤などの殺虫剤を使う
他の猫や犬がノミに寄生されていると、接触した際に猫の体に飛びうつる可能性があるので、野良猫や犬との接触接触は避けましょう。また部屋に生息するノミを繁殖させないために、カーペットや布製のソファなどをきちんと掃除して清潔な環境を保つことも大事です。
部屋の隅々まで駆除するのであれば、燻煙剤など殺虫剤を使うのも効果的でしょう。予防対策については、下記の記事でも詳しく解説しています。
・猫ノミの駆除方法・取り方|予防対策や退治する際の注意点など紹介!
まとめ
猫ノミは貧血や条虫症、アレルギー性皮膚炎などさまざまな症状を引き起こします。また人に対しても猫ひっかき病やノミ刺咬症の被害が出て、二次感染の危険もあるので放置しておくことはできません。
もし被害に遭ったら患部を冷やすなどの応急措置ができますが、症状がひどいようであれば病院で診察を受けて適切な治療を受けましょう。
猫ノミの被害に遭ったら徹底的に駆除をして、予防対策に努めてください。
本記事を参考にノミの被害を最小限に抑え、ペットとの快適な生活を実現しましょう。