太陽光発電を導入したいと考えている人のなかには、高額の設置費用がかかることを心配している人も多いでしょう。ソーラーパネルを設置するならまず費用の相場を把握したうえで、設置費用をどのように賄うかを検討しなければなりません。
こちらの記事では太陽光発電の設置費用や設置後に必要なコスト、そしてお得に太陽光発電を設置する方法などについて解説します。
太陽光発電の費用について知りたい人や、できるだけお得に太陽光発電を設置できる方法が知りたいという人は、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電を設置するための費用相場は?
太陽光発電の設置費用相場を確認しておきましょう。太陽光発電の設置費用は電気容量や発電量によっても異なるため、それぞれ電気容量や発電量と合わせて設置費用相場を紹介します。
容量 | 面積 | 年間発電量 | 2021年の価格相場 |
3kW | 45㎡ | 3000kWh | 91.8万円 |
4kW | 60㎡ | 4000kWh | 122.4万円 |
5kW | 75㎡ | 5000kWh | 153万円 |
6kW | 90㎡ | 6000kWh | 183.6万円 |
7kW | 105㎡ | 7000kWh | 214.2万円 |
8kW | 120㎡ | 8000kWh | 244.8万円 |
9kW | 135㎡ | 9000kWh | 275.4万円 |
10kW | 150㎡ | 10000kWh | 306万円 |
発電量は時間帯によって推移するため一定ではありませんが、年間通してみるとおおよそ上記のようになります。設置費用に関しては、後ほど紹介する経済産業省のデータを参考にしています。
太陽光発電に必要な設備|それぞれの役割も紹介!
太陽光発電に必要な設備としては以下のようなものがあります。
・太陽光パネル
・接続箱
・パワーコンディショナ
・架台
・発電モニター
・電力量計
・蓄電池
それぞれどのような役割を果たす機器なのか、順番に解説していきましょう。
太陽光パネル
太陽光パネルとは、太陽光による光エネルギーを電気エネルギーに変換する機器です。
太陽光パネル1枚1枚は半導体の集積体ですが、太陽光がパネルに当たることでこの半導体の電子が動かされ、その作用によって電力が発生するというしくみ。
半導体の種類には「シリコン系」「化合物系」「有機物系」といった分類があり、素材の違いによって発電効率も異なります。

接続箱
接続箱は、ソーラーパネルによって作られた電気を集めてパワーコンディショナへと送る機器のことです。
太陽光パネルによって作られた電気は配線に流れますが、パネルの数が多いほど配線の数も多くなります。接続箱はこれらの配線を一つにまとめ、パワーコンディショナに接続する機能を果たしているのです。
パワーコンディショナ
パワーコンディショナとは、太陽光パネルによって作られた電気を家庭用の交流電流に変換するための装置です。
パワーコンディショナの変換効率は95%を超え、返還時にほとんどエネルギーをロスしません。また災害による停電したときでも発電した電気をできる「自立運転機能」がついた機種もあります。
架台
架台とは、太陽光パネルを設置するための台のことです。
架台の素材には主にスチール・アルミ・ステンレスの3種類があり、それぞれ異なった特徴を持っています。最も安価なスチール製は錆びやすいうえに耐久性が低いですが、一方ステンレス製は強度が高く錆にも強い分、他の素材よりも高価です。
発電モニター
電力モニターは、太陽光発電システムの稼働状況・消費電力といった情報を確認できる機器です。
製品によって機能は異なりますが、日時ごとの発電量や電気使用量、そして太陽光発電によるCO2削減量などさまざまなデータが把握できます。また電力モニターを設置しなくても太陽光発電はおこなえますが、電力モニターがあれば故障による発電量低下にも気付けるため、基本的には設置したほうがよいでしょう。
電力量計
電力量計は一般的な住宅であれば必ず設置されている機器であり、電力量計によって家庭で使用された電力を計測することができます。
もっとも一般家庭に設置されているのは「買電メーター」というものであり、買電メーターでは電力会社から送電された電力しか測ることができません。
そこで太陽光発電によって発電された電力を測るためには、これとは別に「売電メーター」も必要となります。つまり電力量計には買電メーターと売電メーターの2種類があり、太陽光発電の際、特に必要となるのは売電メーターの方なのです。
蓄電池
蓄電池は発電された電気を溜めておくことができるバッテリーのことです。
太陽光パネルやパワーコンディショナのみでは電気を溜めておくことができません。そのため日中に発電した電気を夜間に使用したり売電したりするためには蓄電池の使用が必須となります。
蓄電池の設置は節電効果の他にも停電時に電気を使用できるといったメリットがあるため、太陽光発電を最大限活かすためには大きく役立つでしょう。
太陽光パネル設置に必要な費用|設置後に必要なコストとは?
太陽光パネル設置に必要な費用と、設置後に必要な費用についてそれぞれ解説します。
実際に一般家庭で導入するためにはいくらかかるのかということもシミュレーションするので、きちんと金額を把握しておきましょう。
設置する際に必要な費用
太陽光パネル設置に必要な費用は住宅用・産業用で異なりますが、住宅用の場合は1kWあたり約30.6万円です。この相場の内訳は、下記のとおり(経済産業省 調達価格等算定委員会「令和2年度の調達価格等に関する意見」参照)。
パネル | 19.5万円 |
パワーコンディショナー | 4.5万円 |
架台 | 2.3万円 |
工事費 | 6.5万円 |
その他 | 0.3万円 |
値引き | -2.4万円 |
合計 | 約30.6万円 |
一般家庭の太陽光発電では4.5kWの容量が平均とされているため、これをもとにして設置費用を計算してみましょう。
30.6(万円)×4.5(kW)=137.7(万円)
以上の通り、一般家庭で設置する場合おおよそ137.7万円もの費用がかかるので、初期費用だけでもかなり高額になることがわかります。
設置後に必要な費用
設置後にかかる費用は主にメンテナンス費で、金額としては一回につき2万円程度と考えておきましょう。
パネルは20~30年、パワーコンディショナは10~15年が寿命といわれているため、寿命がきたらこれらの機器も買い替えなければなりません。交換の金額としてはパネルが約30万円、パワーコンディショナが約15万円です。
メーカー保証の期間内であれば機器の修理・交換は無償になるため、基本的には寿命がくるまで買い替えの費用はかからないと考えてよいでしょう。
お得に太陽光発電を設置する方法
太陽光発電を家庭に導入するためには、高額の初期費用が大きな壁になります。
そこでお得に太陽光発電を設置する方法をいくつか紹介するので、初期費用の高さから導入をためらっている人は、ぜひこちらを参考にしてください。
自治体の補助金を活用する
太陽光発電の導入を促進している自治体も多いため、太陽光発電の設置費用に対して補助金が出る自治体が多数あります。
たとえば東京都がおこなう「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」では、太陽光発電1kWあたり10万円の補助金が支給されます。また神奈川でも同様の事業で対象経費の1/3または1kWあたり5万円の補助金が支給されます。
その他にも静岡県熱海市、京都市などでも補助金制度があるので、住んでいる自治体に利用できる制度があるかどうかは事前に確認してみましょう。
ローンを活用する
太陽光発電の初期費用を抑えるためには、ローンを活用するという方法もあります。活用できるローンは以下の2種類です。
・ソーラーローン
・住宅ローン
それぞれ解説します。
ソーラーローン
太陽光発電の設置にかかる費用を分割して支払うのが、ソーラーローンです。
ソーラーローンの特徴は、発電した電気を売電して得られた収入を返済に充てることができるということ。つまり、実質無料で太陽光発電を導入できる画期的なローンなのです。
ローンの返済が終了すれば、そのあとは売電収入がすべて利益になるので、初期費用をかけずに太陽光発電を導入したい人にはおすすめできます。ソーラーローンの金利は1.5~3.0%程度が平均です。
住宅ローン
太陽光発電を新築の際に導入すれば、設置費用を自宅の住宅ローンに組み込むことができるのです。
一軒家の住宅ローンなどは一般的にソーラーローンよりも金利が安く、また30年以上の長期ローンになることが多いため月々の返済の負担も少なく済みます。
さらに太陽光発電の設置費用も一定の要件を満たせば住宅ローン控除の対象になるので、税法上も優遇措置が受けられるのです。
一括見積もりで業者を選定する
設置費用は業者によって価格が大きく異なるため、お得に太陽光発電を設置するにはできるだけ安い業者を選ぶことが重要です。しかし自分で一つひとつ業者を選んで見積もりをとっていくのは手間がかかるので、ぜひ一括見積もりサイトを利用しましょう。
一括見積もりサイトであれば複数の業者から一気に見積もりをとって比較できるので、価格が安い業者を簡単に選ぶことができます。一括見積もりサイトは基本的に無料で利用できるので、できる限り安い業者を選ぶためにはぜひ活用してください。
【2022年】太陽光発電の費用対効果|設置するのはお得?
太陽光発電の設置がお得かどうかを考えるうえでは、初期費用回収期間から費用対効果をみることが重要です。
太陽光発電で得られるプラスの効果は大きく分けて売電収入と節電効果の2つ。仮に売電収入と節電効果合わせて月々1万円分の利益があるとすれば、1年間で12万円、10年間で144万円の利益になります。
一般家庭における太陽光発電の導入費用は約137.7万円なので、10年でもとをとれるということです。1kwあたりの設置費用は昔と比べて徐々に下がってきているので、2022年現在の方が以前よりも費用対効果が高くなっているといえます。
一方、FIT制度を利用した電気の買い取り価格も年々下落してきているため、今後も買い取り価格が右肩下がりで推移していくと、逆に費用対効果は低くなっていくでしょう。
費用対効果を見極めて、太陽発電設備を上手に活用しましょう!
太陽光パネルを一般家庭で設置するにはおおよそ137.7万円もの費用がかかります。導入の際はまず、住んでいる地域の自治体で利用できる補助金制度がないかどうかを確認しましょう。
またソーラーローン・住宅ローンを活用することもできるので、初期投資を抑えたいという人はローンの活用も検討してください。そして業者の選定には一括見積サイトの利用がおすすめです。一括見積サイトで安くて優良な業者を選び、お得に太陽光発電を設置しましょう。
2022年現在太陽光発電の費用対効果は昔より高くなっているので、ぜひ太陽光パネルの設置を前向きに考えてみてください。
【関連記事】この記事を読んだ方は、こちらの記事も読んでいます。
・接続箱とは?太陽光発電における役割や種類、設置場所、選び方など紹介!
・パワーコンディショナとは?太陽光発電における役割や機能、仕組みなど徹底解説!
・太陽光発電の寿命は?パネルやパワコンの耐用年数や劣化原因、対策など解説!