ソーラーパネルの仕組み|構造や素材の種類、太陽光で発電する原理など徹底解説!

ソーラーパネルの仕組み|構造や素材の種類、太陽光で発電する原理など徹底解説!

最近では節電のために太陽光発電をとり入れる家庭も増えています。そのためこれから太陽光発電を導入しようと検討している人も多いと思いますが、ソーラーパネルの仕組みまでしっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。

こちらの記事ではソーラーパネルの発電の仕組みから構造・素材まで詳しく説明し、太陽光発電のメリット・デメリットについても紹介します。

ソーラーパネルの価格相場や寿命についても紹介するので、太陽光発電やソーラーパネルについて詳しく知りたいという人はぜひ参考にしてください。

目次

ソーラーパネルとは?発電する仕組みについても解説!

ソーラーパネルとは?発電する仕組みについても解説!

ソーラーパネルとは何かをおおまかに理解できるように、ソーラーパネルの仕組みや発電方法について解説します。

まずはソーラーパネルの基本的なシステムについて、簡単に理解しておきましょう。

ソーラーパネルとは?わかりやすく解説!

ソーラーパネルとは太陽光による光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機のような役割を果たす機器のことです。そしてソーラーパネルが発電する仕組みには、太陽光パネルに内蔵されている半導体の特性が関わっています。

太陽光がパネルに当たると内部の半導体の電子が動かされ、その作用によって電力が発生するのです。

半導体の種類は後ほど説明するとおり、「シリコン系」「化合物系」「有機物系」といった素材によって分類することができ、素材の違いによって発電効率も異なります。

ソーラーパネルが発電する仕組みを簡単に解説!

太陽光発電は、半導体を用いて太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するというのが基本的な仕組みです。太陽光パネルはプラスの電気を帯びやすいP型半導体と、マイナスの電気を帯びやすいN型半導体という、2種類の半導体を重ね合わせて作られています。

パネルに太陽光があたると2つの半導体はそれぞれプラス・マイナスの電気を帯び乾電池と同じくプラスとマイナスの両極ができるのです。そしてここに電線をつなぐことで電流が流れます。これがソーラーパネルが発電する仕組みです。

ソーラーパネルの構造

ソーラーパネルの構造

ソーラーパネルはセル・モジュール・アレイという3つの構造によってできています。

それぞれどのようなものかを説明するので、ソーラーパネルの構造を理解しておきましょう。

セル

セルは太陽光パネルの格子1つ1つのことであり、ソーラーパネルを構成する最も小さな単位のことです。

1枚のセルの大きさは約10cm四方程度であり、このセルを基本として次に説明するモジュール・アレイを構成し、ソーラーパネルができてます。

モジュール

セルが集まって複数枚を配列し、パネル状に加工されたものがモジュールです。モジュールの大きさは、100~150cm程度。

モジュールは屋外でも利用できるように、樹脂や強化ガラスなどで保護されて作られています。

アレイ

モジュールを複数枚並べ、並列あるいは直列に結線したものがアレイです。

ソーラーパネルといえば、住宅の屋根に設置された板状の設備を思い浮かべる人も多いでしょう。あのように架台などを使って屋根に設置したパネル全体が、アレイなのです。

ソーラーパネルの素材とそれぞれの特徴

ソーラーパネルの素材とそれぞれの特徴

太陽光パネルは素材によっていくつかの種類に分類することができ、それぞれ特徴が異なります。具体的には、以下の3つの素材があります。

・シリコン系
・化合物系
・有機系

以上の3つの素材につき、それぞれの特徴について説明します。

シリコンの種類と特徴

シリコン系はソーラーパネルのなかでも最も歴史が長く、現在流通するソーラーパネルの大半を占めている素材です。シリコン系ソーラーパネルのなかにも以下のような4つの種類があるため、それぞれの特徴について説明します。

・単結晶シリコン
・多結晶シリコン
・アモルファスシリコン
・HIT(ヘテロ接合型)

単結晶シリコン

単結晶シリコンは、最も歴史が長く世界的に利用されているソーラーパネルであり、安定した発電効率と耐久性が特徴です。

エネルギーを電力に変換する際の損失が少ないため発電効率がよく、小さい面積のパネルでも多くの発電量を得ることができため、広い面積をとれない住宅用太陽光発電に向いています。ただし高性能な分コストが高いというのがデメリットといえるでしょう。

多結晶シリコン

単結晶シリコンは結晶がきちんと整って配列しているのに対し、配列の規則性に難がある素材が多結晶シリコンです。多結晶シリコンは単結晶シリコンと比較して品質や発電効率が劣るものの、その分コストが安く費用回収がしやすいというメリットがあります。

そのため産業用太陽光発電など大規模な面積に設置することで、単位面積当たり発電量の減少をカバーできる場所に適しているといえるでしょう。

アモルファスシリコン

アモルファスシリコンは、単結晶シリコン・多結晶シリコンのような特定の構造を持たないシリコンです。加工が容易であるため生産のコストが低いというのがメリット。

ただし結晶系のパネルと比較すると発電効率が悪く、まとまった電力を得るためには数が必要です。そのためどちらかといえば住宅用よりも、遊休地などで運用するのに適したパネルといえるでしょう。

HIT(ヘテロ接合型)

ヘテロ接合型シリコンは、複数のシリコンを合わせて作成するハイブリッド型のシリコンです。変換効率が高く熱にも強いという特徴があるため、気温が高い夏場でも安定した電力供給を維持できるというメリットがあります。

ただし構造が複雑な分、製造コストも高いため、この点がヘテロ接合型シリコンのデメリットといえるでしょう。

化合物の種類と特徴

シリコン系のソーラーパネルの普及によってシリコン不足が懸念されたことで、シリコン以外の元素を組み合わせて作る化合物系のソーラーパネルが研究されました。

この化合物系ソーラーパネル開発途上のため発電効率などの点では課題があるものの、シリコン系のパネルに比べ低コストで作れるため今後のさらなる開発が期待されている素材です。ここでは化合物系のソーラーパネルのなかで、以下kの2種類について説明します。

・CIS
・CIGS

CIS

CIS銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)を原料としたソーラーパネルです。光を吸収しやすく変換効率が高いという点が特徴。大量生産ができるため生産コストを抑えることができます。

ただし製品によっては人体に有毒なカドミウムが含まれていることがあるので、この点がCISのデメリットといえるでしょう。

CIGS

CISの原料にガリウム(Ga)が加わったものがCIGSです。基本的な特徴はCISと変わらず、変換効率が高くて生産コストが低いというのがメリット。

高温時での出力低下が少ないため、真夏であっても活用できるといった特徴があります。

有機物の種類と特徴

シリコン系・化合物系が抱える原材料やコストの課題を克服するため、現在開発がすすめられているのが有機物系のソーラーパネルです。

有機系パネルについては、以下の2種類をそれぞれ説明します。

・有機薄膜
・色素増感型

有機薄膜

有機薄膜は個体の半導体薄膜であり、軽くて薄いという特徴があります。プリンターのような印刷機器で製造し、塗布することで発電が可能であり、低コストで実用化できるのが大きなメリットです。

有機半導体は着色が可能である問う特徴があり、デザイン性というソーラーパネルにこれまでなかった価値を付加できるというメリットがあるため、実用化が大きく期待されています。

色素増感型

色素増感は色素の色を変えられるため、勇気薄膜と同じようにカラフルでデザイン性に優れたソーラーパネルが作ることができます。コストも低く、さまざまな分野での活用が期待できるでしょう。

ただし色素増感は変換効率がそこまで高くないといったデメリットもあります。

ソーラーパネルのメリットやデメリット

ソーラーパネルのメリットやデメリット

太陽光発電にはさまざまなメリットがありますが、その反面いくつかのデメリットもあります。ここでは太陽光発電のメリット・デメリットについて代表的なものを簡単に紹介しましょう。

メリット デメリット
・電気代を削減できる
・売電収入を得られる
・災害・停電時でも電気が使える
・設置費用が高い
・ランニングコストがかかる|メンテナンスが必要
・設置スペースが必要
・昔と比べて売電価格の低下

ソーラーパネルの発電量と変換効率

ソーラーパネルの発電量と変換効率

ソーラーパネルを使った太陽光発電の年間発電量は1kWにつき1000kWh程度です。もっとも発電量は季節や設置環境にパネルの性能といったさまざまな要因よって左右されるため、これは一つの目安と考えてください。

またエネルギー変換効率は約10%であり、これは再生可能エネルギーのなかでは比較的低い数値です。たとえば風力発電のエネルギー変換効率は約25%で、バイオマス発電は20~25%程度、そして発電効率がよい水力発電は約80%にもなります。

ソーラーパネルの寿命はどのくらい?

ソーラーパネルの寿命はどのくらい?

ソーラーパネルの寿命は20~30年程度といわれていますが、メンテナンスや使用環境によっても異なります。ただ少なくとも固定買取制度の期間となる10年間のあいだに寿命が来る可能性は少ないでしょう。

もっとも太陽光発電導入からまだ歴史が浅いため、寿命になるまで使われた事例が少ないのが現状です。そのため現時点で正確な寿命はわかっていませんが、20~30年使用していれば少なからず劣化していくことは確かであるといえます。

ソーラーパネルの価格相場は?

ソーラーパネルの価格相場は?

ソーラーパネルの価格はメーカーによって変わってきますが、おおよそ1kWあたり30万円程度が相場といってよいでしょう。これは標準的な性能に工事費を合わせた価格です。通常、一般住宅で設置する積載量は平均4~5kW程度なので100万円以上はかかります。

価格は国産メーカーよりも中国産の方が安い傾向にありますが、安い製品は変換効率が悪いといったデメリットもあります。そのため設置を検討する際は価格だけでなく、製品の性能にも注目して選ぶようにしてください。

まとめ

ソーラーパネルの発電の仕組みや構造・素材について詳しく説明しました。現在主流のシリコン系の他にも今後実用化が期待されている有機薄膜などがあり、太陽光発電は今後さらなる発展が期待されています。

家庭用に導入する際は、太陽光発電のメリット・デメリットもしっかりおさえておきましょう。電気代を節約できるのが最も大きなメリットですが、設置費用やスペースの問題などがデメリットです。

そしてソーラーパネルを選ぶときは価格だけでなく、製品の性能も考慮したうえで、自分に最も合った製品を選ぶようにしてください。

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