最近では節電のために太陽光発電をとり入れる家庭も増えています。そのためこれから太陽光発電を導入しようと検討している人も多いと思いますが、ソーラーパネルの仕組みまでしっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。
こちらの記事ではソーラーパネルの発電の仕組みから構造・素材まで詳しく説明し、太陽光発電のメリット・デメリットについても紹介します。
ソーラーパネルの価格相場や寿命についても紹介するので、太陽光発電やソーラーパネルについて詳しく知りたいという人はぜひ参考にしてください。
ソーラーパネルとは?発電する仕組みについても解説!

ソーラーパネルとは何かをおおまかに理解できるように、ソーラーパネルの仕組みや発電方法について解説します。
まずはソーラーパネルの基本的なシステムについて、簡単に理解しておきましょう。
ソーラーパネルとは?わかりやすく解説!
ソーラーパネルとは、太陽光による光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機のような役割を果たす機器のことです。例えるならば、太陽の光がソーラーパネルに当たると、内部にある特殊な素材である半導体が太陽光のエネルギーを吸収し、それを電気に変換する仕組みとなっています。
ソーラーパネルは、半導体と呼ばれる素材を使用しています。半導体は電気の通りにくい性質を持っており、特定の条件下では電気の通りやすい性質に変化します。ソーラーパネルの半導体には、主に「シリコン系」「化合物系」「有機物系」という3つの素材が使用されており、それぞれ異なる特徴と発電効率を持っています。
例えば、シリコン系のソーラーパネルは最も一般的であり、長い歴史と安定した発電効率が特徴です。その中でも単結晶シリコンは高い発電効率と耐久性を持ち、多結晶シリコンはコストが低く費用回収がしやすいメリットがあります。
化合物系のソーラーパネルは、シリコン系の素材不足を補うために開発されました。CISやCIGSなどの化合物系の素材は、変換効率が高くて生産コストが低いという特徴があります。ただし、まだ開発途上であり、発電効率などの課題もありますが、今後の技術革新が期待されています。
さらに、有機物系のソーラーパネルは、シリコン系や化合物系の課題を克服するために研究されています。有機薄膜や色素増感型などの有機物系の素材は、軽くて薄く、低コストで製造が可能です。また、デザイン性にも優れており、さまざまな用途に適しています。
ソーラーパネルが発電する仕組みを簡単に解説!
太陽光発電は、半導体を用いて太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するというのが基本的な仕組みです。太陽光パネルはプラスの電気を帯びやすいP型半導体と、マイナスの電気を帯びやすいN型半導体という、2種類の半導体を重ね合わせて作られています。
パネルに太陽光があたると2つの半導体はそれぞれプラス・マイナスの電気を帯び、乾電池と同じくプラスとマイナスの両極ができるのです。そしてここに電線をつなぐことで電流が流れます。これがソーラーパネルが発電する仕組みです。
ソーラーパネルの構造

ソーラーパネルは、セル・モジュール・アレイという3つの構造によってできています。それぞれどのようなものかを説明します。
セル
まず、セルとは太陽光パネルの格子1つ1つを指します。セルはソーラーパネルを構成する最も小さな単位であり、1枚のセルの大きさは約10cm四方程度です。このセルが基本となり、次に説明するモジュールやアレイが構成され、最終的にソーラーパネルが完成します。
モジュール
次に、モジュールとは複数のセルが集まって配列され、パネル状に加工されたものです。モジュールの大きさは約100~150cm程度であり、屋外でも利用できるように樹脂や強化ガラスで保護されています。
アレイ
最後に、アレイとは複数のモジュールが並べられ、並列あるいは直列に結線されたものです。一般的には、住宅の屋根に設置された板状の設備を指すことが多いです。アレイは架台などを使って屋根に設置されるため、ソーラーパネル全体を指します。
ソーラーパネルの素材とそれぞれの特徴

太陽光パネルは様々な素材を使用しており、それぞれの素材には特徴があります。以下では主な素材とその特徴について説明します。
シリコンの種類と特徴
まず、シリコン系の素材はソーラーパネルの中でも最も一般的な素材であり、現在流通しているソーラーパネルの大半を占めています。シリコン系のソーラーパネルは次の4つの種類に分けられます。
単結晶シリコン
最も歴史が長く世界的に利用されているソーラーパネルです。安定した発電効率と耐久性が特徴であり、小さい面積のパネルでも多くの発電量を得ることができます。ただし、高性能な分、コストも高くなる傾向があります。
多結晶シリコン
単結晶シリコンと比較して、結晶の配列に規則性が少ない素材です。そのため品質や発電効率は劣るものの、コストが低く費用回収がしやすいメリットがあります。大規模な面積に設置することで、単位面積当たりの発電量の減少をカバーすることができます。
アモルファスシリコン
特定の構造を持たないシリコンであり、加工が容易でコストが低いというメリットがあります。しかし、結晶系のパネルと比較すると発電効率が低くなるため、まとまった電力を得るためには多くのパネルが必要です。遊休地などでの利用に適しています。
HIT (ヘテロ接合型)
複数のシリコンを組み合わせて作成されるハイブリッド型のシリコン素材です。変換効率が高く熱にも強い特徴があり、高温時でも安定した電力供給を維持できます。しかし、製造コストが高くなるため、その点がデメリットとなります。
化合物の種類と特徴
次に、化合物系の素材もソーラーパネルに使用されます。シリコン系の素材不足を補うために開発された化合物系のソーラーパネルは、以下の2種類があります。
CIS (銅・インジウム・セレン)
銅、インジウム、セレンを主成分とするソーラーパネルです。光を吸収しやすく変換効率が高い特徴があります。大量生産ができるため、生産コストを抑えることができます。ただし、一部の製品には人体に有毒なカドミウムが含まれていることがあります。
CIGS (銅・インジウム・ガリウム・セレン)
CISの原料にガリウムが加わったものです。変換効率が高く、生産コストが低いという特徴があります。また、高温時でも出力低下が少ないため、真夏でも効果的に利用できます。
有機物の種類と特徴
さらに、有機物系の素材も注目されています。有機物系のソーラーパネルには以下の2種類があります。
有機薄膜
個体の半導体薄膜であり、軽くて薄い特徴があります。印刷機器で製造し、塗布することで発電が可能であり、低コストで実用化ができるメリットがあります。また、有機半導体は着色が可能で、デザイン性に優れたソーラーパネルを作ることができます。
色素増感型
色素の色を変えられるため、カラフルでデザイン性に優れたソーラーパネルを作ることができます。コストも低く、さまざまな分野での活用が期待されています。ただし、変換効率は比較的低いというデメリットもあります。
ソーラーパネルのメリットやデメリット

太陽光発電にはさまざまなメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。以下では太陽光発電の代表的なメリットとデメリットについて簡単に紹介します。
メリット
再生可能エネルギー
太陽光は再生可能なエネルギー源であり、環境に負荷をかけずに持続的に利用することができます。
無料のエネルギー源: 太陽の光は無料で利用することができます。ソーラーパネルを設置すれば、太陽光からのエネルギーを捕捉して電力を生成することができます。
電気代の削減
太陽光発電によって自家消費できる電力を得ることで、電気代を削減することができます。長期的に見れば、ソーラーパネルの設置費用を回収し、節約された電気代で経済的なメリットを享受することができます。
環境への貢献
太陽光発電は環境に優しいエネルギー源です。化石燃料を使用しないため、二酸化炭素の排出削減に貢献し、気候変動の緩和に寄与します。
デメリット
設置費用
ソーラーパネルの設置には初期費用がかかります。設備や機材の購入、施工費用などが必要です。ただし、長期的に見れば電気代の削減による経済的なメリットが得られます。
スペースの要件
ソーラーパネルを設置するためには一定のスペースが必要です。特に大規模な太陽光発電所を建設する場合には広大な敷地が必要となります。屋根や地上に設置する場合も、十分なスペースが必要です。
天候の影響
天候の変化によって発電量に影響を及ぼすことがあります。曇りや雨の日には太陽光の量が減り、発電効率が低下します。また、夜間は太陽光が得られないため、発電ができません。
メンテナンスの必要性
ソーラーパネルは定期的なメンテナンスが必要です。パネルの清掃や不具合の点検などを行う必要があります。これには追加のコストや手間がかかる場合があります。
以上が、ソーラーパネルの主なメリットとデメリットです。設置を検討する際にはこれらの要素を考慮し、自身のニーズや環境に合った適切な選択を行うことが重要です。
ソーラーパネルの発電量と変換効率

ソーラーパネルを用いた太陽光発電の年間発電量は、おおよそ1kWあたり1000kWh程度です。ただし、発電量は季節や設置環境などによって異なるため、これは一つの目安として考えてください。
ソーラーパネルのエネルギー変換効率は約10%です。再生可能エネルギーの中では比較的低い数値です。風力発電のエネルギー変換効率は約25%、バイオマス発電は20~25%、水力発電は約80%になります。
ソーラーパネルの寿命はどのくらい?

ソーラーパネルの寿命は一般的には20~30年程度とされています。ただし、メンテナンスや使用環境によって異なることがあります。固定買取制度の期間である10年間には寿命が来る可能性は少ないでしょう。
現時点では太陽光発電の歴史が比較的浅いため、寿命に達するまでの実際の使用事例はまだ限られています。しかし、20~30年間使用すれば劣化が進むことは確かです。
ソーラーパネルの価格相場は?

ソーラーパネルの価格はメーカーや性能によって異なりますが、おおよそ1kWあたり30万円程度が相場とされています。この価格には標準的な性能と設置費用が含まれています。
国産メーカーよりも中国産のパネルの方が一般的には安価ですが、安価な製品は変換効率が低下する可能性があります。価格だけでなく、製品の性能も考慮して選ぶことが重要です。
まとめ
以上がソーラーパネルについての詳細な解説です。太陽光発電の仕組みや構造、素材について詳しく説明しました。シリコン系、化合物系、有機物系といった様々な素材が使用され、それぞれに特徴があります。
太陽光発電は再生可能なエネルギー源であり、環境への貢献や電気代の削減といったメリットがあります。しかし、設置費用やスペースの要件、天候の影響、メンテナンスの必要性といったデメリットも考慮する必要があります。
ソーラーパネルの発電量は1kWあたり約1000kWh程度であり、変換効率は約10%です。寿命は一般的には20~30年程度であり、価格相場は1kWあたり約30万円程度です。
これらの情報を参考にして、自身のニーズや環境に合ったソーラーパネルの選択を行いましょう。
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