風力発電とは?メリット・デメリット、仕組みや発電方法の種類など徹底解説!

風力発電とは?メリット・デメリット、仕組みや発電方法の種類など徹底解説!

風力発電は日本で昔からおこなわれてきた発電方法であり、比較的普及率が高い再生可能エネルギーです。電力会社を選ぶうえでクリーンな電気であるかを気にする消費者も増えているため、風力発電について興味がある人も多いでしょう。

こちらの記事では風力発電の仕組みや種類に設置方法、そして長所・短所から課題などについて詳しく解説します。最近では家庭用の小型風力発電も出ているため、導入を検討している人もいるのではないでしょうか。

このような小型風力発電を家庭用に導入しようと考えている人も、ぜひ本記事を参考に風力発電のことを詳しく知ってください。

目次

風力発電とは?仕組み発電方法や歴史、普及率を紹介!

風力発電とは?仕組み発電方法や歴史、普及率を紹介!

風力発電とはどのような仕組みの発電方法なのか、歴史、発電所数、日本での普及率などと合わせて解説します。

風力発電の仕組みや発電方法

風力発電は風の力を利用して得た回転エネルギーを、電気エネルギーへと交換する発電方法です。

風力発電のなかで一般的なプロペラ型の風力タービンの仕組みは、まず「ブレード」という羽の部分に風が当たることで風車が回転し、「ナセル」という装置の中に回転が伝わります。

そしてナセルの内部で増速機が回転速度を速めて風力タービンに伝え、電気をつくるのです。また安全性を確保するため、風車の回転速度があがりすぎたときに回転を停止できる機能もついています。

風力発電の歴史

風力発電は1891年、当時から風車の技術力が高かったデンマークで作られた風力発電装置に起源があります。それより昔から風力発電自体は世界各地でおこなわれていましたが、デンマークで開発された風力発電装置が今の風車の原型となっているのです。

そして大容量の発電ができるよう風車の大型化が進められ、現在では100mを超える高さの風車が作られるようになりました。日本では1949年から風力発電の本格的な導入が開始されています。

日本における風力発電量と普及率

日本では北海道や青森・秋田といった東北地域、そして鹿児島などで風力発電がおこなわれていますが、日本の全発電電力量に占める風力発電の割合は2020年時点で0.86%程度にとどまります(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所「2020年の自然エネルギー電力の割合」2021年4月12日)。

また2018 年3月時点における風力発電導入量は 350 万 kWであり(経済産業委員会調査室「日本の風力発電の現状から見る再生可能エネルギーの課題」2018.年12月)、世界と比較して日本の風力発電量は少ないのが現状です。

もっとも近年発電量は徐々に増加しており、今はまだ普及率はあまり高くありませんが、今後さらに普及していくことが見込まれています。

風力発電の風車の種類・発電所の設置方法を解説

風力発電の風車の種類・発電所の設置方法を解説

風力発電の基本的な仕組みについて説明しましたが、風力発電の風車にはいくつかの種類があり、設置方法にも陸上と洋上があります。

ここでは風力発電の風車の種類や設置方法について解説するので、より具体的な仕組みについても理解しましょう。

風力発電の風車の種類

風力発電の風車の種類

風車の種類は、地面に対して回転軸が水平なものと垂直なものの2種類に分けられ、そのなかでさらにいくつかの型に分類されています。

【水平軸風車】
・プロペラ型
・オランダ型
・多翼型
など

【垂直軸風車】
・クロスフロー型
・サポニウス型
・ダリウス型
など

プロペラ型がもっとも発電効率がよく普及率の高い風車ですが、クロスフロー型・サポニウス型には弱い風でもよく回るとった特徴があります。

このように風車によってそれぞれ特徴があるため、設置する場所によってそれぞれ特徴が活かせる風車を選び、もっとも効率よく発電できる風車が設置されるのです。

風力発電所の設置方法

風力発電所の設置方法

風力発電所の設置方法としては、大きく分けて以下の2種類があります。

・陸上風力発電
・洋上風力発電(着床式洋上風力発電、浮体式洋上風力発電)

それぞれどのようなものか、順番に解説します。

設置方法1.陸上風力発電

風力発電の設備は風車についている風力タービンの他に、コンピューターで発電機を管理する監視施設、配電のための陸上変電所・送電線などから構成されています。

風力タービンは高台・山林地などに設置され、陸上変電所から送電ケーブルに電力伝送しますが、送電線までの距離を短くすれば費用を抑えることができます。これまで日本でおこなわれてきた風力発電の多くは、陸上風力発電が活用されています。

設置方法2.洋上風力発電

洋上風力発電は海岸沿いや港湾、洋上などに風力タービンを設置して、洋上変電所・陸上変電所を経て送電ケーブルに伝送されるという仕組みの発電方法です。洋上風力発電では陸上風力発電の設備に加え、洋上変電所・海底送電線・湾岸設備などが必要です。

洋上風力発電には「着床式洋上風力発電」と「浮体式洋上風力発電」がありますが、遠浅が少ない日本周辺においては海底に風車を固定設置しない浮体式の方が適しているため、現在開発が進められています。

陸上よりも大規模な設備を設置できるのが洋上風力発電の特徴ですが、メンテナンスコストがかかるというのが問題点。この点をいかに改善して普及を広げていくかが、今後洋上風力発電を普及していくうえでの課題といえるでしょう。

風力発電のメリットとデメリット|どんな特徴がある?

風力発電のメリットとデメリット|どんな特徴がある?

風力発電にはメリット・デメリットがそれぞれあります。各メリット・デメリットについて、どのようなものがあるかそれぞれ解説していきます。

風力発電6つのメリット|どんな利点がある?

風力発電6つのメリット|どんな利点がある?

風力発電には、以下のようなメリットがあります。

・環境にやさしい|温室効果ガスを排出しない
・エネルギー変換効率が高い|20~40%
・夜間でも発電できる
・陸上だけでなく洋上でも発電可能
・発電コストが低い
・短期間で設備を建設できる

以上6つのメリットについて、順番に解説します。

メリット1.環境にやさしい|温室効果ガスを排出しない

風力発電は、自然界に存在するエネルギーを利用して発電された再生可能エネルギーの一種です。

再生可能エネルギーには二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量が少ないという特徴があるため、風力発電は化石燃料などと比較して二酸化炭素排出量が圧倒的に少ないのです。

昨今では世界的に環境意識が高まりつつあり、クリーンな電気を使いたいという消費者も増えています。そんななかで環境負荷が少なく、クリーンで安全性の高い風力発電は、今後さらに普及していく可能性があるでしょう。

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メリット2.エネルギー変換効率が高い|20~40%

エネルギー変換効率とは、発電に使われたエネルギーのうちどれだけ電気に変換されたかという割合のことです。再生可能エネルギーはエネルギーが形を変化する際、他のエネルギーに分散されてしまうため、100%別のエネルギ―に変換することができないという特徴があります。

そのため自然エネルギーのなかで最もエネルギー変換効率のよい水力発電でも、変換効率は80%程度です。そして風力発電のエネルギー変換効率は20~40%程度で、これは再生可能エネルギーのなかでは水力発電に次ぐ高いエネルギー変換効率なのです。

メリット3.夜間でも発電できる

風力発電は風力を電気エネルギーに交換する発電方法であるため、一定の風速があれば昼夜問わず発電が可能です。たとえば同じ再生可能エネルギーのなかでも太陽光発電の場合、太陽が出ている日中のあいだしか発電をすることができません。

そのため昼夜問わず発電ができるという特徴を持った風力発電は、効率よく電気を作れる発電方法なのです。

メリット4.陸上だけでなく洋上でも発電可能

風量発電は風力エネルギーさえあれば発電できるため、陸上だけでなく洋上でも発電可能です。発電所の設置場所に制限があると、普及率をあげるのにも限界があります。

たとえば再生エネルギーのなかでも水力発電の場合、発電所の建設できる場所が限られ今後の普及率の拡大が大きな課題となっています。

この点洋上でも発電可能な風力発電であれば、設置場所に制限がありません。そのため風力発電は、今後さらに普及率をあげられる可能性を秘めた発電方法といえるのです。

メリット5.発電コストが低い

発電コストは設備の設置費用と運転費用に分けられますが、風力発電は太陽光発電などの再生可能エネルギーよりもコストパフォーマンスに優れています。

風力発電は現在日本ではまだ開発途上ということもあり、設備は条件の違いから一概にコストを計算することはできません。もっとも今後普及が拡大すれば徐々に国際的な価格に近づいていくことが予想され、他の発電方法よりも圧倒的にコストの安い風力発電が期待されているのです。

メリット6.短期間で設備を建設できる

風力発電設備は平均で着工から完工まで1年半程度の期間で足り、他の発電設備よりも建設工期が短いという特徴があります。たとえば火力発電所の場合、建設工期は3年以上、原子力発電所は4年以上かかるのが一般的です。

これらと比べると、風力発電所の設置建設工期は非常に短期間であることがわかるでしょう。このように風力発電は工期が短いぶん効率的にコスト回収ができるのです。

風力発電5つのデメリット|どんな欠点がある?

風力発電5つのデメリット|どんな欠点がある?

風力発電には多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

・発電量が風速に左右される
・低周波・騒音被害が発生する
・設置できる場所が限定される|設備や景観面の問題
・自然環境へ被害が出る恐れがある
・自然災害による故障のリスク|台風・落雷など

以上5つのデメリットについても、それぞれ解説します。

デメリット1.発電量が風速に左右される

風力発電は風が吹かなければ電気を作ることができないため、発電量が風速に左右されるというデメリットがあります。

水力発電のようにダムに水を溜めて発電量を調節するといったこともできないため、電力供給の安定性に欠けるという問題点があるのです。そのため風力発電所を建設する場所や設置する風車の種類をよく考え、少しでも効率的に発電できる工夫をしなければなりません。

デメリット2.低周波・騒音被害が発生する

風力発電では風車を回転させるときにブレードが風を切る音が出るほか、設備内部から機械音を発生させることもあるため、騒音被害が発生という問題点があります

また風車は耳で聴いてもわからないような低周波音を発しているともいわれており、耳鳴りや抑うつなどの症状を発する危険もあるのです。

このような問題点を踏まえると、風力発電所は人が住んでいる場所から離れた地点に設置する必要があり、設置場所が制限されてしまうことが短所といえるでしょう。

デメリット3.発電所を設置できる場所が限定される|設備や景観面の問題

風力発電は風力エネルギーを電気に変える発電方法であるため、発電所は年間通して一定以上の風が吹く場所でなければなりません。また風力発電所を設置することで景観が損なわれるという問題点もあり、発電所の設置には周辺環境への影響も配慮しなければならないのです。

以上のような理由から、風力発電所は設置できる場所が限定されるというデメリットがあります。比較的設置場所の制限が少ない洋上風力発電の場合も、この点の配慮は必要となるでしょう。

デメリット4.自然環境へ被害が出る恐れがある

風力発電は二酸化炭素排出量が少ないクリーンな発電方法ですが、環境被害がでないわけではありません。

たとえば風力発電設備は高さ100mを超えるものも多いため、先ほど説明した通り設備を建設することで景観が損なわれます。また回転するブレードに鳥類がぶつかることを「バードクラッシュ」といいますが、風力発電はこのようなバードクラッシュの危険もあるのです。

自然環境へ被害については、今後風力発電を普及させるうえで一つの課題となっています。

デメリット5.自然災害による故障のリスク|台風・落雷など

風力発電設備は屋外に設置されるため、自然災害による故障のリスクが高いというデメリットがあります。たとえば台風が吹けばブレード等の設備が破損する恐れがあり、また落雷によって故障するといった危険もあるでしょう。

特に風力発電設備は背が高く周りに何もない場所に設置されることから、落雷のリスクは避けられません。このように他の発電設備と違い、風力発電は常に自然災害から被害を受けるリスクにされされているのです。

風力発電の課題と今後について|一般家庭での導入も可能

風力発電の課題と今後について|一般家庭での導入も可能

これまで日本は陸上風力発電中心に普及を拡大していきましたが、陸上風力発電の開発が進んだことで適地が減少してきました。そこで最近では、陸上に比べて風況の安定性が高く巨大な風車を建設することのできる洋上風力発電が注目されています。

今後さらに風力発電を普及していくためには、いかに洋上風力発電所を増やしていくかが課題となるでしょう。

また家庭用の小型風力発電が出たことで、風力発電が一般家庭用にも導入されるようになりました。家庭用の小型風力発電ではFITを活用して売電することはできませんが、電気代の削減に活かすことはできるので、節電対策の一環として注目されています。

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まとめ

風力発電は二酸化炭素排出量の少ないクリーンな再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーのなかでもエネルギー変換効率が高く、夜間でも発電が可能というメリットもあります。

一方発電が安定しない、騒音被害・環境被害が発生するといった問題点もあるため、これらの長所・短所を踏まえたうえで、いかに課題を克服していくかが大事でしょう。

日本は風力発電の普及率があまり高くありませんが、洋上風力発電を中心にまだ発電所を増やすこともできるので、今後の普及拡大に期待できます。

また家庭用の小型発電機を活用して節電対策もできるので、風力発電に興味を持っている人はぜひ家庭用風力発電の導入を検討してみてください。

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