ビニールハウスの台風対策を知りたい方へ。
本記事では、ビニールハウスの構造や台風に強いビニールハウスの選び方から、台風被害を抑える補強方法まで大公開!
知っておきたい火災保険の活用方法も紹介していますので、気になった方はぜひ活用してみてください!
ビニールハウス(パイプハウス)の構造は?
ビニールハウスの構造はシンプルです。
大きく分けて、妻面、側面、ビニールに分かれています。
妻面には出入り口や換気扇がついていて、妻柱という縦方向のパイプと、妻梁という横方向のパイプによってつくられています。
側面は肩部や屋根につながるアーチパイプと、アーチパイプと直角に交わる母屋パイプなどからつくられていて、それぞれが金具で連結されています。
アーチパイプは雨や雪など上部からかかる力を支え、強風などの横方向からの力は側面を縦方向に走る母屋パイプなどで支えます。
ビニールハウスは多数のパイプで構成されるのでパイプハウスとも呼ばれています。
台風に強いビニールハウスの選び方|パイプの強さとビニールの質を確認
ビニールハウスは台風などの風災対策を整えておけば家庭菜園から本格的な農業まで幅広く、長期間にわたって使える園芸施設です。
構造がシンプルなので、パイプの強さとビニールの質が高ければ効果的な対策となります。これらを事前に確認し、台風に強いビニールハウスを選びましょう。
しかし、オーバースペックなビニールハウスは費用が高くなってしまうため避けるべきです。
そのためハウスの選び方のコツは、地域に訪れる台風の頻度や最大瞬間風速の記録を確認して、必要な強度を調べておくことになります。
備えておきたいビニールハウス(パイプハウス)の台風対策
パイプの強さとビニールの質を確認して台風に強いビニールハウスを選んだ場合であっても、簡単な方法で更に風災への対策を立てることが可能です。
ここでは4つの具体的な方法をご紹介します。
しっかりとした対策を行い、被害を最小限にしましょう。
事前の台風対策1. 補強用パイプで肩部の補強
肩部とはアーチパイプのアーチが始まる部分のことです。
強風が吹くと風上側の肩部がビニールハウスの内側に曲がり、逆に風下側の肩部が外側に膨らんでしまいます。歪みがひどくなるとアーチパイプが地面から抜け、全壊の可能性も出てきます。
これに耐えるため肩部を補強用パイプによって補強します。補強はタイバーと呼ばれるT字型のパイプによってアーチの変形を防いだり、側面に単管パイプを固定することによって行います。
事前の台風対策2. 妻部分は防風ネットを貼って破れにくくする
ビニールハウスの妻面や側面との接合部は強風時に特に大きな力を受けます。
この対策として妻柱や妻梁といったパイプを補強する方法以外に、妻面や接合部のビニールが破れるのを防ぐため防風ネットを使用する方法があります。
妻面に近い接合部の側面(1スパン、2~3m)を寒冷紗などの防風ネットで覆い補強することで、ビニールが破れるのを防止します。
このほか、妻面の前にポールを立て防風ネットを張ることで妻面に吹く風を防ぐ方法もあります。
事前の台風対策3. 排水溝をこまめに清掃して詰まりを予防
ビニールハウス自体だけでなく、その周囲を清掃しておくことも風災対策のポイントです。
こまめに清掃をしておくことで周囲に散らばったごみや枝が風や雨によって流され、排水溝を詰まらせることを防止することができます。
もし排水溝がつまってしまい、ハウス周辺が水につかってしまうと、ハウスの基礎部分の強度が低下してパイプが抜けやすくなってしまい被害が余計に拡大する可能性があります。
ビニールハウスだけでなく、周囲の環境にも目を配ることが風災への備えになりますよ。
事前の台風対策4. 被覆資材の破れや穴はこまめに補修する
ハウスを覆っている被覆資材に破れや穴があれば補修をしておきましょう。
台風がきたときに被覆資材がやぶれていると風がハウス内に侵入してしまい、破れ目が大きくなったり、ハウスの内側から被覆資材を吹き飛ばしたりする被害がでます。
補修作業は業者に依頼する方法もありますが、自分で補修する場合は農業用品店やホームセンターでビニールハウス補修テープが手軽に手に入りますので、急に必要になった場合に備えあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
予報が出たら行うビニールハウス(パイプハウス)の台風対策
ここまで見ていただいた対策をしておけば基本的な台風対策は出来ていますが、台風接近の予報が出てから行う対策もあります。
どれも簡単なもので、ガラスやプラスチックなど他の温室にも共通するものばかりです。
これらの少しの工夫が被害を食い止めてくれるので、出来る限りの対策をとっておきましょう。
台風前の対策1. 戸締まりをしっかり行う
基本的なことですが、出入り口や天窓などしっかりと戸締りをしましょう。ハウス内に風が侵入した場合は被害が甚大になる可能性が高まります。
ただし、あまり早く戸締りをしてしまうとハウス内の温度が上昇し、カビや作物の病気が発生しやすくなりますので注意しましょう。
また、もしも古い被覆資材を使用していた場合はかえって被害を大きくする可能性があるので、全てはぎ取ってしまうことも防風対策になります。
台風前の対策2. ヒートポンプエアコンを止めて、換気扇を稼働させる
ヒートポンプは強風時に稼働させているとファンに負担がかかり、破損の原因になりますので止めておきましょう。
また、室外機もブルーシートなどで覆い固定させておくと被害を抑えられます。
一方、換気扇は稼働させておきましょう。ヒートポンプの対策と矛盾するようにも思えますが、これはハウス内を負圧にすることで被覆資材のバタつきを抑えて損傷を防ぐために行います。
台風前の対策3. ハウス周辺に飛散する物がないように整理整頓する
農業資材はハウスの周辺においてあることが多いと思います。
強風により資材が飛ばされ、被覆資材を傷つけたり穴をあけたりすることがないようにハウス周辺のものは整理整頓し、出来る限り遠ざけておきましょう。
また枝や石なども可能な限り除去し、もしも燃料タンクなどが近くにある場合は飛ばされないように固定しておきましょう。
台風前の対策4. 浸水の可能性があるなら、排水用ポンプを準備する
ハウスの排水溝やその周辺で可能な限りの対策をしたとしても、雨の強さや地形により浸水する可能性が残ることもあると思います。その場合は排水用ポンプを準備しておきましょう。
ビニールハウスの散水設備が排水にも利用できることがありますし、それができなければ新たに購入をしたり、地域によってはレンタルすることも可能です。
ハウス周辺の地形を見て、浸水の可能性が高い場所と排水できる場所を確認し準備しておきましょう。
台風被害を受けた場合、火災保険が適応できる可能性がある
様々な対策を立てた場合であっても、ビニールハウスや作物に被害がでてしまうこともあります。
その場合に備えて、加入している火災保険の内容を確認しておきましょう。
火災保険はその名前から火災に対する保険と考えられがちですが、その対象は多岐にわたり、ビニールハウスや関連設備が対象になる可能性があります。
この対象の広さが火災保険のメリットですが、逆に言うと、何に保険が適用になるのか、保険の申請をするには何をそろえればよいのか分からない、といったデメリットもあります。
その場合は、火災保険申請ドットコムをおすすめします。
火災保険に関するアドバイスや申請に至るまでまとまったサービスを受けられるので、迷った場合は一度相談をしてみるのがよいでしょう。
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