オール電化住宅ではガスを使用しないため、一般の住宅よりも火災のリスクは低下します。
そのため「オール電化住宅なら火災保険に加入する必要はないのではないか」と考える人もいますが、火災保険でカバーできるのは火災のリスクだけではありません。
オール電化住宅の場合、火災保険にお得に加入することができる割引制度もあるため、うまく使えば安い保険料で火災保険に加入することもできます。
そこでこちらの記事では火災保険の適用対象を説明したうえで、オール電化住宅向けの割引制度や安い保険会社の選び方について紹介します。
これからオール電化住宅を建てようと考えている方は、ぜひこちらの記事を参考にして火災保険の正しい知識を身に付けてください。
オール電化住宅でも火災保険は必要なの?
まずオール電化住宅といっても、火災が発生する可能性はゼロではありません。
例えば隣家からの引火や放火、タバコが原因による火災のリスクなどあるので、そういった意味で火災保険に加入するメリットはあります。
とはいえやはり、一般的な家庭より火災のリスクが少ないのは事実でしょう。
そこでオール電化住宅で火災保険に加入するのには、火災以外の別の理由があります。それは事故や災害によるリスク軽減できるということです。
つまり、火災保険でカバーできるのは火災のリスクだけではないのです。以下ではこれについて詳しく解説します。
火災保険は “火災” だけでなく自然災害にも適応できる
火災保険というと、住宅に火災が生じたときのための保険であるかのように思えます。
しかし実は火災保険の適用対象は火災のみに限らず、台風や水害などの自然災害に幅広く適用されるのです。
実際火災以外のさまざまな自然災害において、火災保険の保険料が支払われています。
事故事例 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
火災・破裂・爆発 | 7,150 | 6,932 | 7,154 | 7,086 | 7,165 | |
落雷 | 16,408 | 20,227 | 28,478 | 26,987 | 29,048 | |
自然災害 | 風災・ひょう災 | 148,551 | 87,933 | 171,416 | 819,484 | 507,309 |
雪災 | 30,924 | 45,331 | 68,667 | 16,978 | 36,851 | |
水災 | 3,608 | 1,907 | 3,086 | 9,902 | 20,689 | |
その他 | 水濡れ | 40,152 | 38,290 | 42,470 | 42,058 | 47,281 |
水濡れ以外 | 167,264 | 162,942 | 194,641 | 189,165 | 210,503 | |
合計(件数) | 414,057 | 363,562 | 519,912 | 1,111,660 | 858,846 |
2015年度に保険金が支払われた件数は全部で400,000件を超えますが、そのうち火災・破裂・爆破は7,000件程度。
残りは落雷・風災などの自然災害に加えて水濡れその他、さまざまな要因によって火災保険が適用されています。
以上からわかるとおり、やはりオール電化住宅だからといって火災保険に加入しなくてよいとはいえません。
こうした災害・事故から生じる損害のリスクを極力抑えるためには、火災保険の加入は必要であるといえるでしょう。
火災保険の補償対象の範囲はどこまで?
補償対象を理解するためには以下の2点を抑えましょう。
①どういった場合に適用されるのか
②住宅のどの部分に適用されるのか
①について具体的には火災・落雷・爆発・風災・雪災・ひょう災・水災などのような事例が補償対象に入ります。
②についてですが、これについては以下の3パターンに分かれていて契約者が任意でどれか一つ選ぶことができます。
建物 | 建物本体とそれに付随する・塀・物置・浴槽・畳など、基本的には建物にくっついて動かせないものを補償 |
家財 | 家の中にあるテレビ・冷蔵庫などの家具や、衣類その他日用品といった建物に収容している動産を補償 |
建物・家財 | 建物と家財の両方を補償 |
例えば「台風で住宅が損壊した」「洪水による床上浸水で家具・家電が故障した」というような場合に補償が適用されます。
このような事例はオール電化か一般家庭でリスクに違いがないため、やはりオール電化住宅にも火災保険は必要だということがわかりますね。
火災保険にはオール電化割引がある|割引が適応できる条件とは?
オール電化住宅は一般の住宅に比べて火災のリスクが低いため、火災保険に加入する際オール電化割引が適用されるというメリットがあります。
もっとも現在オール電化割引の制度がある保険会社は数が限られているため、こちらではオール電化割引のある保険会社と適用の条件、またその割引率について解説します。
オール電化割引がある火災保険会社
2021年6月現在で火災保険を提供している会社は、大手損保・ネット損保などで14社ほどありますが、オール電化割がある火災保険会社は以下の2社に限られています。
・AIG損保
・セコム損保
以前はもっと多くの保険会社でオール電化割を取り扱っていました。
しかし2010年の保険法改正によって保険の制度が簡素化され、ほとんどの会社で火災保険の割引が廃止されたのです。
そのため現在損保ジャパン・東京海上日動など大手損保ではオール電化割の取り扱いがなく、上記に2社でのみ今もオール電化割が提供されています。
火災保険のオール電化割引が適用される条件
オール電化割引が適用される条件は文字通り「オール電化住宅であること」ですが、厳密には以下のとおりです。
・家庭内で用いるエネルギーをすべて電気でまかなっている
・家の中では火を使わない
オール電化割が適用される理由は、一般の住宅に比べて火災のリスクが低いため保険会社側のリスクが少ないからです。
このことから、上記のように電気しか使わず火災のリスクが少ないことが条件になっています。
ちなみにセコム損保によれば、石油ストーブやファンヒーターを使うのは「火を使わない」という条件に反し認められませんが、カセットコンロ程度であれば認められるとされています。
火災保険のオール電化割引の割引率
AIG損保・セコム損保のオール電化割引を参考にしたおおよその割引率は5~20%程度です。
火災保険の割引率は基本的に住宅の構造上災害のリスクが少ないほど割引率が高くなるため、造りの頑丈な住宅であれば20%程度の割引が受けられる可能性もあります。
もっとも割引率のに関しては各保険会社次第なので、より詳しいことが知りたいときは実際に契約する保険会社に問い合わせ、確認するようにしましょう。
新築物件の方へおすすめの火災保険割引プラン
オール電化住宅の建築を検討している方には、オール電化割引以外にもいくつかおすすめできる割引制度があります。
ここでは新築割引とホームセキュリティ割引の2つを紹介するので、これからオール電化住宅を建てようと考えている方はこちらも参考にしてください。
新築割引
火災保険の新築割引は、建物の新築から1年以内に保険を開始した場合に適用される割引です。
これは老朽化が進んでいない新築の方が、災害等により住宅が破損するリスクが少ない分保険料も割引されるという制度です。
新築割は火災保険の取り扱いがある保険会社のほとんどすべてが取り扱っている制度ですが、その内容は会社によってさまざまです。
まず新築だけでなく、築後2年から10年程度の住宅にも割引が適用される「築浅割引」というのがあります。
さらに新築と築浅を厳密に区別することなく、築年数に応じて割引率が決まるというような割引制度もあるのです。
割引率としては全体的にみておおよそ1~10%くらいであり、築年数が浅ければ浅いほど割引率も高いといったようになっています。
ホームセキュリティ割引
ホームセキュリティ割引はホームセキュリティを導入している家庭に適用される割引のことで、現在火災保険を取り扱っている会社のなかではセコム損保のみ適用される割引制度です。
セコム自体がセキュリティ大手であることから派生している割引制度なので、ホームセキュリティ割引はセコム損保特有の割引といえるでしょう。
割引率は建物の構造にもよって異なりますが、以下のような割引率となっています。
建物の構造 | 割引率 |
M構造 コンクリート・レンガ造りの共同住宅 |
7~40% |
T構造 コンクリート・レンガ造りの共同住宅以外の建物 |
5~26% |
H構造 木造・土造 |
4~25% |
割引率は災害リスクに比例しており、コンクリートのような頑丈な建物ほど割引率が高くなるというしくみです。
オール電化割引や新築割引が最安値とは限らない!
オール電化住宅に適用される割引制度について紹介してきましたが、いくら高い割引率が適用されても元の保険料が高ければ結果的には費用は多くかかります。
ですからオール電化割引や新築割引の割引率のみでは、最安値の保険会社はわかりません。
そこでおすすめなのが、火災保険の比較サイトを使って保険会社を選ぶという方法です。
比較サイトでは建物の築年数・構造・広さなどから考えて、最適な保険会社を提案してくれるというサイトです。
もしも火災保険選びで迷ったときは、ぜひ比較サイトを使って最適な火災保険会社を選んでください。
オール電化住宅も火災保険には加入すべき!
オール電化住宅であっても災害のリスクは一般の住宅と変わらないので、火災保険に加入することは必須といえるでしょう。
オール電化住宅で火災保険に加入する場合、オール電化割引をはじめとした新築割引・ホームセキュリティ割引など各種の割引制度を活用すれれば保険料をお得にすることができます。
もっとも保険料は割引制度の割引率だけでは決められないので、もしも迷った場合には比較サイトを活用して最適な保険会社を診断してみましょう。
これからオール電化住宅を建てようと考えている方は、ぜひこちらの記事を参考にしてお得な火災保険会社を選んでください。
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