近年オール電化住宅でエコキュートを活用し、電気代を節約している家庭も増えています。
室外に設置されているエコキュートは故障することも多いですが、そんなとき住宅の火災保険がエコキュートの修理に適用されることがあるのです。
こちらの記事ではエコキュートの修理に火災保険が適用できる具体例と、適用できない具体例、そして故障したときの手続きの方法・流れについて解説します。
エコキュートはメーカーによって100万円近くする高額なものもあります。
ですから万が一故障したときにどのような対処すればよいか判断できるよう、きちんと正しい知識を身に付けておきましょう。
エコキュートの修理に火災保険は適応できる?
まず結論として、エコキュートの修理にも火災保険の適用はあります。
ただし故障の原因によっては火災保険の補償対象外になってしまいます。
そこで火災保険の補償内容・補償対象に関する一般的なことを確認したうえで、エコキュートの修理はどこに入るのかということを確認しておきましょう。
火災保険の補償対象は?
まずは火災保険とはどのような制度なのか、火災保険の補償対象を確認します。
補償対象を理解するためには以下の2点を抑えましょう。
① どういった場合に適用されるのか
② 住宅のどの部分に適用されるのか
①についてですが、火災保険は自然災害等の不測かつ突発的な事故によって生じた損害全般が補償対象です。
具体的には火災・落雷・爆発・風災・雪災・ひょう災・水災などのような事例が補償対象に入ります。
次に②についてですが、これについては以下の3パターンに分かれていて契約者が任意でどれか1つ選ぶことができます。
建物 | 建物本体とそれに付随する・塀・物置・浴槽・畳など、基本的には建物にくっついて動かせないものを補償 |
家財 | 家の中にあるテレビ・冷蔵庫などの家具や、衣類その他日用品といった建物に収容している動産を補償 |
建物・家財 | 建物と家財の両方を補償 |
以上が住宅火災保険における基本的な補償対象の考え方です。
エコキュートは火災保険「建物」の契約で補償できる
上記の3パターンのうち、エコキュートは「建物」としての補償を受けることができます。
エコキュートは建物の給湯設備として屋外に設置され、建物と取り外しが出来ないような状態になっているためです。
したがって火災保険をエコキュートの故障に適用するためには、「建物」もしくは「建物・家財」で契約している必要があります。
もっとも戸建て住宅なら基本的に火災保険は「住宅・家財」で加入しているので、多くの家庭ではエコキュートは補償対象に入っていると考えてよいでしょう。
火災保険が適応できるエコキュートの故障事例
先ほど火災保険の補償内容を紹介しましたが、具体的にエコキュートの場合はどのような故障が対象になるかを確認しましょう。
補償対象 |
・火災による物損 ・落雷による過電流での故障 ・台風による転倒 ・強風で飛ばされてきたものが衝突 ・屋根からの落雪 ・ひょうがぶつかり破損 ・洪水による水没 ・盗難に遭った ・子どもが遊んでいたボールがエコキュートにぶつかり破損 など |
ただし一般的な火災保険では水災・盗難・外部からの物体落下や衝突に対応していないこともあります。
この場合、補償範囲の広い「総合補償」のタイプに加入しなければなりません。
また後ほど説明するように、水災による補償には条件があるのでこの点も注意しましょう。
エコキュートの修理に火災保険が適用できないケースもある
火災保険の補償対象は幅広いですが、補償対象に入りそうで実は入らないというケースもあります。
こちらではよく誤解されるものを3つピックアップしてご紹介します。
補償対象外1. 経年劣化による故障
火災保険が適用されるのは、不測かつ突発的な事故を原因として故障した場合です。
しかし経年劣化はあくまで日常使用による故障に入るため、突発的な事故とはいえません。
したがって、経年劣化によって部品が破損・故障したような場合には火災保険の適用ができないのです。
ちなみに経年劣化のような製品そのものの不具合を生じたときには、火災保険ではなく通常メーカー保証が利用できるでしょう。
メーカー保証と火災保険は互いに補う関係にあるので、基本的に経年劣化のようなメーカー保証が利用できるときは火災保険の適用がないと考えてください。
補償対象外2. 地震による故障
地震も大きな自然災害のうちの1つなので火災保険の適用がありそうに思えます。
しかし地震によってエコキュートが故障した場合にも、火災保険の適用はありません。
地震による被害を担保するためには、火災保険と合わせて地震保険にも加入しておく必要があります。
これは地震による被害は大規模なものになりやすいため、保険会社の支払い能力を超えてしまう場合が多いからです。
また地震による直接の被害だけでなく、地震が原因で発生した津波による水災も火災保険の補償の対象にはなりません。
補償対象外3. 水害による故障|一部補償あり
まず水災の場合、火災保険のなかでも水災補償を含むプランに加入している場合のみ補償対象にはなるのが一般的です。
ただし水災補償を含むプランに加入していても、以下のような基準を満たさなければ補償対象にはなりません。
・建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
・床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水によって損害が生じた場合
以上の基準があるため、例えば床下浸水の場合や損害額が少ない災害の場合には補償対象とはならないのです。
ちなみに凍結で給水管が破裂して室内が浸水したなどの事例は「水濡れ」といって水災とは区別され、こちらも別途水濡れの補償に加入している必要があります。
エコキュートが故障した際の補償額
補償額は以下の計算で出すことができます。
損害額ー免責額=補償金額
「損害額」とはエコキュートの故障によって生じた修理代のことで、「免責額」とは契約の際あらかじめ決めている損害の自己負担分のことをいいます。
免責額を高く設定することで損害が発生したとき自己負担が大きくなりますが、代わりに月々の保険料が安くなるという仕組みです。
それでは修理に20万円かかり、免責額を10万円にしていたとして仮定して実際に補償額を計算してみましょう。
損害額20万円ー免責額10万円=補償金額10万円
20万円の損害のうち10万円の補償金が出るので、残りの10万円は自己負担ということになりました。
免責額の設定はリスクと負担のバランスなので、基本的には発生する可能性が高い災害・事故には免責を設定しないようにするのがポイントです。
火災保険の請求の流れ|請求方法をわかりやすく解説します。
具体的な請求方法の流れとしては、以下の通りです。
①破損部分を写真撮影する
↓
②業者に修理見積書を出してもらう
↓
③保険会社に連絡
↓
④必要書類を記入し、保険会社に送付
↓
⑤現地調査
※無い場合もあります
↓
⑥保険金受給
火災保険の際には破損箇所の写真・動画の提出が求められるので、まず保険会社へ連絡する前に写真などを撮影しておきましょう。
また火災保険の対象にある補償額は実際に修理・交換にかかった費用なので、事前に業者などで修理の見積もりを取っておく必要もあります。
その後に保険会社に連絡をして事故の報告をすると請求に必要な書類が届くので、届いた書類を記入して提出してください。
保険会社から派遣された担当者が破損箇所の現地調査をし、補償対象と認められれば支払いがなされます。
こちらが請求方法に関する全体のおおまかな流れです。
エコキュートが故障したら、火災保険をチェックしてみて!
エコキュートの故障には火災保険の適用がありますが、対象となる事故の内容は一定の場合に制限があります。
もっとも火災保険に加入しているからといってなんでも補償対象になるわけではないので、水災・盗難などは加入プランをよく確認しましょう。
また経年劣化・地震・床下浸水など火災保険の対象になりそうで実はならないという事例もあるため、火災保険対外の場合もきちんと抑えておいてください。
あとはもしエコキュートが故障してしまったら、こちらでご紹介した支給方法の流れに沿って実際に請求の手続きをしましょう。
エコキュートは高額な機器なので、万が一の場合に備えて適切に扱うことが大事です。
また火災保険はエコキュートだけではなく、建物全般に活用出来る保険です。築10年以上の建物であれば、高確率で火災保険金が受け取れます。ぜひこの機会に火災保険申請を検討してみてくださいね。詳しくは以下のURLからご確認ください。
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